*本記事は『つよきすCHRONICLE』(『つよきすFull Edition』→『つよきす三学期Full Edition』)の流れのもとで記述されており、また筆者は制作背景に関わる全てを重視しておらず《物語そのもの》の視点で語っていることにご注意。
▼関連記事
「アニメ化」とはつまり原作の批評行為なんじゃないか?(Fate/stay night)
舞台裏、制作背景、開発環境は「作品を評価」する上で何ら関係がない。無価値だ
(1)再解釈されるつよきす(作品紹介)
『つよきす(&Full Edition)』(以下無印版)の各ヒロインと結ばれるお話を全てなかったことにして、『つよきす三学期 Full Edition』(以下三学期)は新たに各ヒロインとの恋愛模様を描く作品になっている。
無印版の共通√・各ヒロインの特徴をほそぼそ引き継いでいるものの――先述したように個別√を無かったことにしたこと、季節が春から冬へと移行したこと、新キャラクターが続々投入したことから本作は実質「つよきすの再解釈・再構成」を試みたと言っていい。
リメイク作品は往々にして「ドット絵から3D」「ボイス無からボイス有」「ピコピコ音から滑らかなサウンド」といったふうに作品外形の強化が行われるものだが、「中身」つまり物語の大筋・骨格と呼べるものは触れない傾向にある。その理由のひとつとしてシナリオの大幅な変更をしてしまえばそれはもう原作とは別の作品になってしまうからであり、例え中身に触れるとしても原作を尊重した上での追加要素・不適切な表現の削除に留まるのが多いのではないだろうか。絵も違う、音楽も違う、シナリオも違うとなったらそれは「◯◯のリメイク」という体裁を整えなくなってしまうだろう。
しかし『三学期』においてその「中身」まで書き換えられたため、本作は"リメイク"ではなく"原作の再解釈"作品という位置づけで見ていきたいと思う。
続きを読む