『天体のメソッド』のEDはなぜ気持ち良いのか、そしてどうして気持ち悪くなるのか

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*一般化できないかもしれない感覚

 

 

1)天体のメソッドのEDは気持ち良い

 

『天体のメソッド』EDを見て「楽しい!」「気持ちいい!」という感想を抱いた人は多かったんじゃないでしょうか。少なくとも私は見ていて気持ちいい!と思いました。

その要因になっているのは「身体全体を使った大きな揺れ」、を登場人物が繰り返すからでしょう。

一度上体を左へと移動させた後ゆっくりと右へと戻す動き――これは『天体のメソッド』EDでは(多少の差異はあるものの)6回確認でき、このEDアニメーションのキモとなっているのは間違いないと思います。

そして「身体全体を使った大きな動き」というのは視聴者のミラーニューロンに強く働きかけやすく、劇中の登場人物の動きと視聴者の身体感覚がリンクするその「同期性」に快感を覚えるのかもしれません。

かくいう私も当該動作を見る度に、自分もまた頭や体がゆらゆらと動いています。汐音達の動作を真似(ミラーリング)することが単純に楽しいんですよね。

迫力のある戦闘アニメーション(=例えばFate/UBW)に惹きつけられるのは、何も画面の華やかさだけではなく、その大胆な剣裁き・おおぶりな腕や脚のねじれが私たちの身体感覚と結びつく快楽に関係している。のかもしれません。

 

しかしその代わり、このEDアニメーションは何度も見ていると気持ち悪くなってしまう。乗り物酔いのような船酔いのような胸の奥底がぐちゃぐちゃになっていく嘔吐感。むかむか感でげろ感が沸き起こってくるのは「同期しすぎた」結果でしょう。

(え? 私だけかな?そんなことないよね?)

一度見る分にはいいんですけど、何度も見ると、大きな揺れを擬似的ながらも繰り返し続けるので視聴者(私)の三半規管はおかしくなってしまうんじゃないかな(遠い目)

 

 

2)天メソの身体全体を使った揺れアニメーション

 

さてそれではその「身体全体を使った大きな揺れ」が、EDのどこにあったか見ていくとします。

 

 

① 柚季

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まず上画像のように

  • 柚季が上体を→に反らした後
  • ゆっくりと←へと戻っていきます。

[右・左]

 

② 汐音

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「①柚季」の揺れが終わった後すぐに画面が切り替わり、汐音が後ろ向きから90度顔をずらしつつ振り返ります。

  • この振り向きざまに→に顔全体を傾け
  • ゆっくりと←へ戻っていく。

彼女の長髪も一緒に揺れ動くのもポイントでしょうか。

[右・左]

 

 

③ こはる

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  • 女の子に手を引っ張られた抵抗で、こはるは後方へ身体を引きます。
  • すぐさま身体全体を移した別カットへ切り替りつつ(こはるからすれば前方へ)私たちから見れば←のほうへ歩き
  • そしてまた別カットに切り替わり(こはるからすれば後方へ身を引いていき)私たちからすれば→へ揺れが戻っていきます。

 

①「柚季」②「汐音」の揺れ方とは明らかに違っていて、一度後方へ引いた後、今までのようにすーっと元の位置へ戻っていくのではなく、「とん・とん・とん」といったリズムで歩くシーンが挿入された後に、今までのようなすーっと元の位置へ戻ろうとする揺れ方に入ります。

「タメ」と言われる奴なのかもしれません。(ちょっとアニメーションの表現知識に疎いので言葉使いが間違っているかも)

[後方・タメ・右]

 

 

④ 乃々香

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④では

  • 乃々香が原っぱへと座った状態から始まります。
  • そして立ち上がろうとし(画面が←へ移動し)
  • 完全に立ち上がり(→へ画面が移動)
  • そのまま←へ走っていきます(画面は彼女に固定)。

今までは「登場人物」が左右に動いていたのが、左・右・左という揺れ、そして「画面」が揺れる変化になっているのかなと思います。

[左・右・左]

 

 

⑤ ノエル

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⑤では

  • ・右下からひょっこりノエルが現れ
  • ・←へと上体を移動させ
  • ・→へと移動していきます。
  • ・後にこのダブルピース笑顔をしつつ、すこしだけ←へと揺れが収束。

[左・右・左]

 

 

 

⑥ 乃々香

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ノエルの笑顔を見た乃々香が「うんそうだね」という感じで頷きつつ←へ身体全体を動かし、→へ戻っていきます。

[左・右]

 

 

 

おわり


EDでの一番迫力がある「乃々香が空中へ舞うシーン」もまた、「揺れ」の中に入るかなと思います。あそこだけ前述した6つの「前後左右」による揺れとは違ってて、「回転」と「無重量」による揺れなんですよね。

ただあそこ、私には言語化無理だと判断したので割愛しました。いつか書き足すかもしれません。

 

  ◆

 

天メソのED『星屑のインターリュード』では「揺れる」という歌詞もあって、こういうEDなのかもしれません。

はじまりから汐音さんバスの中でゆらゆら動いてますし、みんななにかしら揺れているので。ゆーれーるー。

 

 

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