戦国ランス 感想
2006年にアリスソフトから発売された本作は、ランスが織田信長家の影番を務めながら全国統一を目指す『地域制圧型戦略シュミレーションゲーム』である。
北は北海道から、南は鹿児島まで進軍しては地域から金を巻き上げたり、その大金で雑兵施設を建造したり、敵武将を説得して仲間にできる自由度の高さがウリだ。
そして自由度が高いだけではなく、1ターンに2回しか行動できない部分や、敵勢力を知るために[斥候](=投入した味方はこのターン行動不能)する必要がある「制約」の部分もうまい。
「もっといろいろ行動したい」「もっと味方を投入したい」という欲求は中々実現できず歯がゆい思いをするだろう。しかしそれが次ターンの"引き"になっており、「次回は万全の兵力で伊賀に進軍しよう」という具合にあれよあれよと時間を投入してしまうのである。
気付いたら2時間とかザラだ。
『戦国ランス』はそんな「できる事とやりたい事が多く」かつ「制約」が咬み合っているのでとても楽しい。楽しいのだが、一気にプレイしてしまうことも多いので土日などはぐったりする程に疲れてしまうこともあった。
一周目を終えたときなんか既に三周目をプレイしているような達成感がそこにはあり、「ゲームクリア後の特典」「別ENDもあるよ」とメッセージが流れても「いやいやもう結構ですから」(結局全END見ましたが)と思っちゃうくらいにヘトヘトになる感じだった。
登場人物はみな魅力的
私はランスシリーズは『鬼畜王ランス』しかプレイできていないが、『鬼畜王ランス』時の織田信長/お香さんのキャラデザの比較や、五十六さんほんと変わってないのね(!?)とか、ゼス・リーザスの仲間が登場したときの「お久しぶり」感が味わえたりもした。そういった昔懐かしいキャラクターに加え、徳川家は天麩羅大好きな妖怪たぬきが牛耳っていたり、上杉謙信はもろ女の子だったりと俗説・史実を織り交ぜたユニークなキャラクターたちも必見である。
特に徳川家のたぬき一味はほんっとーに可愛い!最高!なにこの愛玩動物! もう可愛すぎて彼らの各種 [???]エピソードは癒やされたぞ。家康を天婦羅で仲間にしたあと天井裏でスねる忍者たぬきとか、鈴女に馬乗りされて喜ぶ変態たぬきとか、ずっとぐうぐう眠ってる足軽たぬきとかニヤニヤしてしまうじゃないですかこの野郎っ。
特にお気に入りエピは、ランスが眠っているとき自分を湯たんぽにする忍者たぬきのお話。なにこの子……可愛すぎ……可愛すぎっ。私のところにも来てほしいなあ、と切に願うなど。
あと鈴女ちゃんの底知れない包容力や、見当かなみちゃんの簡単に好意抱いてくれないつんつん力、独眼流政宗の愛らしい目玉姿、アギレダちゃんの呆れた表情などとにかく好きになっちゃうキャラが多いこと。
『戦国ランス』のゲーム構造からして登場人物の過去・内面は特別掘り下げられないのだけれど、でもちょっとした発言や態度、小話、見た目でお気に入りになりやすかった。これってすごいことだなと思う。
カオスな世界観はつまり器が広いってこと
独眼流政宗とその仲間たちのハイコンテキストな会話は私には全く分からなかったけど、分からなくてもいいしわからないなら分からないなりに楽しもうと思えるところもいい。「分からない」ことが障害になりにくいのがランスシリーズの「世界観」だと思う。忍者、魔人、妖怪、和文化、モンスターの生態系、各々の人脈などなど。ごっちゃ煮のなんでもありだからこそあらゆるものを引き受けられる器の広さがここにはある。
おすすめ作品
私は81時間で大まかなCG・エピソード・イベントを見終えたのでゲームを終えた。まだ集めきれてないものも少しあるが、これ以上『戦国ランス』に触れると(楽しいが)疲れてしまうのでやむをえなくといった感じだった。
1周目でぐったりし2周目でげっそりするくらいに疲労感が半端なく――でも楽しい……っ!――の2つに羽交い締めにされる感覚お分かりになるだろうか。この疲労を踏まえてでもおすすめしたくなるSLG作品なので是非やって欲しいなと思う。そしてぐったりしてください。
ちなみに公式HPにて『ボス林のランス日記』という企画記事がわかりやすく(かつ面白く)戦国ランスを説明してくれているので必見。本作がいかなる作品なのかより分かると思う→http://www.alicesoft.com/rance7/special.html
私的満足度:★★★★(4.8)
擬似客観視:★★★★(4.5)
以下、ちょっとした雑感(ネタバレ注意)
序盤てんてこまいに
織田家内部分裂の戦闘がおわって最初の1ターン目。
とにかく戦闘がしたかったので、他国を制圧しようと試みるもののそれっぽいコマンドが表示されない。「まだ戦闘できないのかな?」と思い数ターン待っても攻め込めないので試行錯誤していると他国コマンドに「次の合戦準備(0%)」を発見した。
「今は0%だからこれを100%にすれば攻め込めるのではないか」そう思った私は10ターンくらいずっと徳川家で合戦準備してましたよ!ええ!(白目)
そしたら足利家が慰謝料要求してたので仕方なく払い続け金釣り上げられとうとう耐え切れなくなって使者を惨殺。見事開戦したと思ったら原家がかぶせるように宣戦布告してきて北と南で突き上げられてんてこまいに。こんなのってないよ……。
2家の攻撃を凌いでいると、武田家は北条家を吸収し、魔軍はその武田家を吸収しラストでは東西から攻められてた。もうどうすればいいんだよ……と思うものの防衛で凌げばやがて余裕が出ることがわかってひたすら頑張ってた思い出。
結局100ターンくらいで「正史√」をクリアしたんだけど、この時点でものっっっそーーーい達成感があった。クリア時に「五十六√、謙信√あります」と言われてもいやいやもう無理ですよもう無理ですって、、、と次のゲームに移ってもいいだろうと思えるほどの疲労感も同時にあった。
『戦国ランス』は面白いんだけど、その面白さゆえに際限なく時間が吸われる。だからこその反動が大きかった。私的にね。やや辛さを感じた。(土日に寝食忘れて一気にプレイしちゃったせいかもしれないが)
武田家強い、強すぎるよ……
「正史√」では魔軍に武田家を潰されたため彼らの力を見ることはなかったが、難易度★「蘭√」にてようやくその戦ぶりを知ることになった。
武田軍集結からの→4連合戦は2戦しか凌ぎきれず、馬場、山さん戦は苦汁を飲み、そして負けた。彼らは強すぎていつも負けてしまう。特に山さんは手塩にかけ育てた「歌舞けた前田」を2撃で壊滅せしめるし、足軽隊がほんと紙状態。謙信ちゃんが軍神ならあの人は鬼紙だな全く。
それもクリアボーナスで武田軍を出すには、あの4連合戦を凌いで、かつ武田軍壊滅後各地に散らばった高田、馬場、山をそれぞれ捕獲しなければならないという。4連合戦だけでも苦労したののに、そこから彼ら3人を捕獲するのがこれまた一苦労だった。
まず武田軍壊滅後、散らばった彼らを他国に仕官させなければならないので、他国の武将を討死か捕獲せなばならない。そして他国で遭遇できるかは運が絡んでくるので、狙ったタイミングで現れるわけでもなく、出会ったとしても倒せるかどうかも問題だった。
高田、馬場あたりならなんとか壊滅に至らせられるもののやはり山さんは相応の足軽隊と火力がないと無理。さらに「スキル・落ち武者狩り」だと捕獲率が低いので「スキル・手加減攻撃」を持った武将(乱丸とか)を前線に出さなければいけないのも火力が安定しづらい所以か。
そういった障害をひとつひとつ乗り越えての武田4武将を揃えたときの達成感はほんと……やった!……やったぜー!ってなった。でもクリアボーナス40P必要ということで結局使えないというオチね涙
この時は「正史」「五十六」「謙信」「蘭」+14P(=計24P)しか獲得してなかったわけで・・・仕方ない。
◆
捕獲後、山さんのステータス見ると攻防知速オール8。ははは(乾いた笑い)。これでスキル・風林火山の攻防知速付与+1000-3000人の騎馬隊で殴ってくるんだから、そりゃ死んじゃうよなと納得。
(了)
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次はリーザス03か光01を買いたい。あるいはⅥでもいいと思うのだけれど、最新作気になります。