1)Scarlettとねこねこソフト
『Scarlett』を起動してまず思うのはキャラかわーー!!
もう一度言うがキャラクターが可愛いのである。ここ大事。まじ大事。超大事。頬がぷっくりしてるロリィーなイラストは魅力的でこれだけを目当てに同メーカー作品に触れてみたい思わせてしまうくらいに良い絵だと思うし、特にしずかがお好みで、金髪蒼眼とかドストライクなんですけど……くっ。
しずか様~~~!!!
…
…ごほん。
上記のしずか以外にも登場する女性キャラクターはみんな可愛い。のだが本作は「ヒロイン」という概念が希薄であり、ある種のキャラはヒロインという立ち位置にも関わらずヒロイン然として扱われていなかったりする。
いちゃいちゃ、告白シーン、付き合い始めて……そんな恋愛に関わるファクターはどこかあっさりしているし、あるいは無かったりする。18的場面も申し訳程度に添えられている感じだ。
それは『Scarlett』に主人公が複数いること、女性キャラより男性キャラのほうが出番が多いこと、そして本作が魅せたいのは裏社会で繰り広げられる諜報戦から "滲む" 彼らの日々の営みであり、恋愛ではなく、「日常」を軸にした作品だからだろう。
大事なことなのでもう一度言う。
本作は恋愛要素がプッシュされてないので萌えゲーを求めている人は気をつけて欲しい。また本作を評価しているプレイヤーは、この物語からたゆたう心地よい雰囲気を注視していると思われるので、そういったゲームだと考えた方がよいと思う。
2)スカーレットの特徴3つ
『Scarlett』のSystem敵な特徴は、「辞書機能」「マルチビュー」「チャプター機能」の3つである。
2-1)辞書機能
辞書機能はシュタゲやRemember11のように、一般的な会話で見聞きしない専門用語の説明を適時別画面で表示できる機能のことである。例えば『ベレッタM92F』や『嘉手納基地』のことであり、それらを詳しく知ることができるが、しかし活用する機会は思いのほかない。
2-2)マルチビュー
本作では複数の主人公がいて、「どちらの視点」で物語を進めるかを選ぶ事ができる。これは通常ノベルゲームの選択肢のように、定められたポイントで「和泉九郎」または「大野明人」いずれかを選ぶようすすめられる。
しかし実情としてこのマルチビュー機能は機能していない状態にある。というのも、どちらを選んでも物語はほぼ変化せず、九郎を選んでもその後に明人視点も展開されるし、明人を選んでも後に九郎の視点も展開されるのだ。
(こんなふうに場面に応じてView選択が表示される)
2-3)チャプター機能
文字通りに物語が分割されており、クリア後に振り返るときは使い勝手がいい機能である。ただプレイ中は使うことはまずないだろう。
3)Scarlettをどんなユーザーにすすめる?
本作はマルチ主人公なため「主人公だけで作品を見る人」とは相性が悪い。
「この主人公には感情移入できない」「この作品には俺が感情移入できるキャラがいない」「主人公が多すぎてどいつに感情移入すればいいか分からない」―――とよく言ってしまう人は、登場人物の視点がバンバン切り替わる『Scarlett』はストレスが溜まると思われる。
参照→「主人公だけで作品を見る」受け手にどう対応するか - Togetterまとめ
群像劇タイプなので、そういうのが苦手な人は手を出さない方がいいし、逆に好きな人は手を出してもらたい。
ちなみにボリュームはやや短く、もう少しプレイしたい/物足りないという人も出そうだ。しかし裏を返せばさくっとプレイできるという事になる。
テキストも飽きず・ダレず・ラストシーンはどきっとするくらい素敵なものになっているので、もしよければプレイして欲しい。
ただ本作が持つ3つの特徴は実質的に無意味だったり、Systemユーザービリティが低かったりするので、そこらへん目を瞑れるかどうかだろうか。特にチャプター機能で毎回「次のチャプターに進みますか?」と無意味な選択肢が表示されるのは地味にイラッとした。
◆
まとめると、『Scarlett』は恋愛要素にあまり価値を置いていないことを了解しつつ、雰囲気が素敵な、短めの、群像劇ノベルゲームを求めている人におすすめしたい作品だ。
スカーレット記事
・『Scarlett』総括―非日常に憧憬し、日常へ揺り戻される者達―
・ねこねこソフト『Scarlett』の男性ボイスが合っていないと感じるのは私だけだろうか
ぶらっと買った『Scarlett』は私にとってはじめてのねこねこソフト作品だったのであった。『銀色』『サナララ』『すみれ』でメーカー名は知っていたけど今まで買ったことはなく、でもいつかやりたいなと思っててようやく機会が恵まれ、Scarlettプレイ終了後、好きなメーカーになりそうだなと思ったのでこれから少しづつやっていきたいな(--