天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA~感想レビュー/テキストは悪文だがそこを差し引いても満足できるRPGだった

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(1)概要

1999年にエウシュリーから発売された『戦女神』、これに新要素・新展開を追加したのがリメイク作『天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA~』である。

物語は「女神の肉体を持った主人公」が力を失った状態でスタート。復調するには他人の精気を吸わなければならず、また契約・従僕化のために交接をしなくてはならない。つまり「強く」なるためにどうしても他者と●する必要が出てくるのである。

(この媒体と相性ばっちりね!)

そんな主人公が行方不明の王女を探せという命を受けるものの、単純な捜索話に留まらない壮大な陰謀に巻き込まれていくお話だ。

 

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――天秤のLa DEA。戦女神MEMORIA

 

ダンジョンを探索しつつ敵を倒し、集めた素材で武器を強化し、力を取り戻すため●をしてストーリーを進行させていくのだが、街の勢力や選択肢によって「√」が分岐していくので全てのENDを見るには周回しなければならない。

つまり、何度もやり直すことを強いられる。引き継ぎ機能もあるのでそこまで大変じゃないが、そういう意味では長丁場なRPGだ。(ちなみに管理人は一周目は35時間でクリア)

ちなみに、本作の全体像はこの4つのパートを繰り返していくと考えるとよいかも。

①ADVパート

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②コマンドパート(自発的にイベントを見れるようになっており、アイテムの売買、ダンジョン選択もここから行う)

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③ダンジョンパート(謎解きもあるよ)

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④バトルパート(写実調の3Dモデルなので違和感あるかもしれないけどその内慣れるはず)

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――天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA

 

戦闘パートの「技によってフレーム数が違う」「キャラごとにサイズが決められそれを組み合わせて出撃させる」といった面白いギミックも説明したいが、あんまり話してもよくわからなくなってくると思うので割愛。

少々難点もあるが、全体としてみれば楽しいRPGなので(ハマれば一瞬で時間が溶ける)興味あれば手を出して損はないと思う。

よければどうぞ。

さて。ここからは気になった部分と良かった所を列挙していきたい。未プレイ者は一応自己責任でお願いします。

 

 

(2)天秤のLa DEAの気になった所&良かった所

基本的には「楽しかった」という感想だが、言いたい事はいろいろあるので書き残しておきたい。

 

a]セシカとシュリ街訪問時のCGのパースがおかしい

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――天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA

 これを見たとき、「セリカってこんな小さいんだ」と思ったものである。

私は『戦女神シリーズ』は本作がはじめてなので、セリカがどのような存在か分からなく「神殺し」「女神の肉体を持つ男」という情報しか与えられなかった。

だからこのCGを基準とすれば彼は妖精の類かなにかの「小さい生物」かなと思ってしまったのである。

でも実際はセリカは人間大の存在であり、そんな描写が一切されないまま話が進むので混乱した。

なぜそう感じてしまったのかと言えば、↑のセリカとシュリ街訪問時のCGのパースが狂っているからに他ならない。

本来ならばカメラはアオリで低位置にあるので、セリカがあの位置にいるならばシュリは「足元」か「ふくらはぎの辺り」しか見えないはず。なのにシュリは「ほぼ全体像」を映すというおかしな画面になっている。

……と思うのだけど、私のアイレベル/パース知識不足とかなだけなのか?と疑いつつも、やはり見れば見るほどおかしな画面のように感じてしまう。

 

 

b]アイテム屋は

結局使わなかったなー……と。

破術の札だっけ?呪いアイテムを解除するものを数回買ったくらいで、回復薬もダンジョンでわんさか手に入るし、例えお金が溜まっても欲しい武器/防具が売られていないので「アイテム屋は何のためにあるんだろう?」と常々思っていた。

アイテム屋は「購入通算金額」が一定値を超えると――ツリーも解放しなくてはいけないけど――新商品を入荷する&買えなかった商品が購入できるようになることに気づいたのは2周目だった。

ちらっとそんなことをハイシェラあたりが言っていたのは覚えていたけど、一周目はいらないアイテムを買うことに意味が見いだせなかったのと、章が進むごとに自動的に新商品が陳列されると思っていたから、その時に買えばいいかな?と、

そうして、最終章まで全く機能しないアイテム屋を生み出してしまったorz 

 

 

c]攻撃回数と肉体速度の意味に気づくと戦闘は驚くほど簡単になり、苦戦することがなくなる

本作は耳慣れないステータス「攻撃回数」「防御回数」「肉体速度」「精神速度」の4つがあり、説明書見ない私は華麗にスルーしてた。

物攻物防魔攻魔防を重点的に上げて、属性を合わせて、戦闘に挑んでいたのだけど、あるとき「装飾・腕輪」系を装備してみたところ驚くべき攻撃力が出て「そういう意味だったか……」と納得した。

肉体・精神速度はフレームの短縮に効果あるのにもこの時気づき、攻撃力よりも攻撃回数を上げ、なるべく速度も上昇させるようにしたところ敵キャラはプリンのように切り裂き死んでいった。

そして、驚くほどに戦闘が簡単になってしまったのである。

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――天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA

エルモン~シュヴェルトライテまで「ぎりぎりの戦い」とか「苦しい戦い」に見舞われることはなくなった。プリンのように死んだ。

またLevel172+EXPERT難易度の「ムールムール」もLevel74のセリカで撃破できてしまうくらいに、これに気づくと緊張感がなくなってしまったなと。(それでも死にかけてはいるが)

 

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 ――天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA

 

 「Level差」による「戦闘難易度の変化」って私はいいものとは思っていないので、そういう意味では本作はいいRPGなのかもしれない。ただ「ある要素でゴリ押しできる」というのは微妙なラインかなとも思っている。

それでもそこそこよい戦闘バランスであり、楽しめたのだが、もうすこし「戦術」でバトルするスタイルだったら尚更嬉しかったなと私的に思う。

属性による相性の組み合わせで武器変更とか鎧変更するのは大好きなのだけど。

 

 

d]シリコンPIE

キャラクターの「肌の質感」「胸の造形」があまり好きではなく、シリコンのような、人工皮膚で覆われたダッ☓☓☓フのように感じてしまった。

これは好みの問題なので、だからどうという感じなのだが、色っぽくなく、噓くさい肢体のように私には見えてしまったなと。

あとヒロインのみんな露出度の高いファッションセンスでげんなり。ロカさんの服こいつあ……ぐぬぬ。いやまそういうジャンルで媒体なのは分かっているんだけどね。それでも受け入れ難い。

 

 

e]攻撃属性と防御属性が分かれていること

よくあるRPGは属性は「攻防」どちらにも反映することが多い。

だが本作は「攻撃属性:神聖」「防御属性:暗黒」といったふうに2つに分かれているので、敵を組み敷くさい、対応する属性「鎧」「武器」を当てなければならない戦術性が生まれる。

覚えるの大変だけど!これがなかなか楽しい。

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――天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA

 

 

システムにパッド設定があって重宝。本作はキーボードやマウスよりもパッドのほうが絶対的に操作しやすいなと思う。

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――天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA

 タイトル通り、クリックやキーボードよりもパッドの方がすごく快適にプレイできた。

パッド設定あるゲームがなんとなく好きなのは、そのせいかもしれない。というよりRPG/STG作品はデフォルト常備していると嬉しい人。

 

 

f]スキップ多用してしまう程に、テキストが悪文

本作の悪い部分をあげるならば、ここだと思う。

トーリーではなくテキスト、つまり文章ひとつひとつが冗長で長ったらしい。数瞬で終わる応対に数行が費やされ、またその説明自体もまどろっこしいときてる。

例えば、以下のシーン。

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――天秤のLa DEA~戦女神MEMORIA

 

セリカは「こちらから説明しよう」と発話し、次のト書きで「エウシュリーちゃんの事情を説明した」と記述しはじめる。

「説明する」「説明する」を繰り返すだけでまともな説明をしないセリカさんにはうんざりだし、一度で説明しなよと思ってしまう。

セリカ「それに関してはこちらから説明しよう」

もう一回刺せば治るかしらと物騒なことを口にする彼女に、エウシュリーちゃんの事情を説明する。

 

さらにエウシュリーちゃんが「記憶喪失」なのはこれまで別の場所で言及されてきたので、殊更繰り返す必要はない。「黒翼の少女にエウシュリーちゃんの事情を説明した」に類する一文で終わる応対を

記憶喪失であり、自分の名前以外のほとんどを忘れていることや、俺と共に本と仲間を探していることなど一連の事情を説明する。

このように説明するのは些かくどさを感じてしまう。

あと毎回語尾に「説明する」とつけるのは何故なのか問い詰めたくなる。

対する少女の返答もパンチに欠ける。

黒翼の少女「記憶喪失……何て美味しい立ち位置なの。汚いわね、さすがエウシュリーちゃん……その設定、私に譲りなさい」

セリカがト書きで「エウシュリーちゃんは記憶喪失である」と記述してるのに、尚もBエウシュリーが「記憶喪失……何て美味しい立ち位置なの」って繰り返すのほんとくどい。

このように叙述力がないので、キャラクターは「説明しよう」「説明する」「説明する」と三重に説明したがりシーンが無意味なほどに冗長になってしまっている。また『発話』『ト書き』において、同じ意味内容を繰り返すことが本作は多い。

他にはテキストのリズムが単調だとか、一文が単純に読みにくいとかいろいろ言いたいことはあるが、結局のところ「ザ・悪文」という言葉に勝るものはないだろう。

それくらい目が滑るテキストである。読みにくい。読んでいて楽しくない。

私は嫌気がさして拾い読み(=断続的なスキップ)でなんとかしのぐものの、ストーリーは追えるし、RPGはバトルパート・ダンジョンパートが面白ければ特に問題ないので困ることはなかったが………ここがよかったらもっと評価は上がっていたと思う。

 

もちろん「冗長だから悪い」と結論付けるわけではなく、「冗長を採択した故の魅力」が無いからこそ本作のテキストはダメなものに成り下がってしまっていることを強調したい。

 

 

g]ヴァレフォルちゃんの回避性能すごーい

彼女がいるだけで全滅になる可能性が格段に下がる。避けて避けて避けまくりの回避スキルに回避アイテムをつけると、もはや魔人の域に達するほどの回避性能。

ヴァレフォルちゃんに何度も助けられたので、スタメンだったり。

 

 

 h]エンカウント率たかーい

正確な時間ははかっていないが、体感的にはダンジョンマップを走ってると「1秒」感覚でエンカウントする。数十歩歩いたら戦闘、戦闘、戦闘のオンパレードなので「ちょっと多くない?」と思いはするものの、戦闘自体楽しいのでそこまで苦痛ではなかった。

ただやっぱりエンカウント率、他のRPGと比べると1.5倍くらい高い気がする。

 

 

 

(2)戦女神の感想

 

楽しいRPGだった。

ヴァレフォルちゃんのアイテムゲッツスキル+憑石+錬成機能のおかげで、ひとつひとつの雑魚戦が楽しいのである。

レアアイテムを蒐集する楽しみがそこにはあり、要らない武器でも錬成に溶かせばどんどんチームを強くすることができる。その循環に、ストーリーが邪魔にならないように入ってくるのが心地よかった。

もちろん先述したように「悪文」「戦闘難易度が簡単すぎる」といった難点もあるが、それを拭えるくらいにはバトル/ダンジョンパートは魅力的だと思う。駆け抜けるように一周目使徒ENDを迎えたので、全体的には良いRPGだったなあという気持ちが強いのだ。

ただ2周目からはダレてしまって「これで終わりにしようかな……」と悩みながらカチュアEND、アビルースENDを踏破。ロカENDは精魂尽き果てまだやれていませんorz

(いつか…いつかやるよ……)

ちなみに私は『戦女神シリーズ』はこのリメイク版が初めてなので、この流れで『戦女神2』をやりたいところ。ただ『2』もテキストが似たような感じだと、躊躇してしまうんだけど……どうなんだろうか。

同じような感じだったら嫌だな…と思いつつ。

私的満足度:★★★(3.7)
疑似客観視:★★★(3.7)

 

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