とりあえず突っ込めば勝てるSLG『キャッスルファンタジア~聖魔大戦~ 』は面白いのだろうか?

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満足度:★★★

 

『キャッスルファンタジア~聖魔大戦~リニューアル版』は巫女とかサングラスとか忍者とか魔法とか出てくる何でもありな中世ファンタジー作品であり、昼行灯でだらしない指揮官・ヒューイ=エルザードを主人公とした戦争SLGだ。

本作の特徴としては、文章を読む「ADVパート」と戦闘を行う「SLGパート」が繰り返されながら物語の結末へ向かっていくことが挙げられるだろうか。

ADVパートは"地の文"がほぼ存在せずキャラクターの会話のみで進むため軽快かつテンポがよい。その分詳しい情景描写などはないが、そこはADVの持ち味である「背景絵」や「キャラクターの表情差分」で補っているため特に気にならないと思う。

さっぱりした感じは若干あるかもしれないが。

 

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via:キャッスルファンタジア~聖魔大戦~リニューアル/Studio e.go!

 

そしてSLGパートの方というと、戦闘難易度が低いのでとりあえず味方ユニットを突撃すれば勝ててしまう。……これがおもしろいかと言われると…まあ面白くはない。戦略性が皆無なので後半に行くほど作業感が強くなってしまうのだ。

個人的な要望としては戦闘難易度をプレイヤー側で設定できるようにするか、戦略を立てないと勝てそうに無いくらいゲームレベルを引き上げて欲しかったなと思う。

ボス戦でも脳筋のごとく攻撃しているだけで勝てちゃうのは…どうなんだろ……。

 

(ターン制)移動・攻撃・防御・魔法を駆使し、敵ユニットを殲滅していく。

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via:キャッスルファンタジア~聖魔大戦~リニューアル/Studio e.go!

 

 

たまーにSLGをプレイするくらいのユーザーならば、これくらいの出来でも特に文句は出ないかもしれない。私自身そこまでSLGをたしなむわけではないのでキャッスルファンタジアのように「ぬるげー」だとしても息抜きにはなったのも確かだ。

しかし、本作はヒロインが8人おりつまり物語を8周しなければならず(スキップできる戦闘があるものの)その膨大な戦闘回数をこなさなければいけない+先頭自体つまらないとあればすこし嫌になってしまったのもまた事実だった。

ヒロインのENDもちょっと言いたいことがあって、というのも彼女たちのエンディングはほぼ同じようなものを迎えることであり、別にそれはいいんだけど、その似たようなENDを見るのに似たような戦闘(SKIPできない)が続くのは苦しいかったですはい。

 

絵柄は懐かしさある

 

↑の立ち絵を見てもらえば分かるとおり絵柄は1990年代の印象が見受けられ(実際発売されたのは1998年とのことなので当たり前ですね)懐かしいものがある。

とはいえ2015年にプレイしてもCGの出来はよく、今見ても可愛らしいキャラクターになっている。オカズに使う人は使えなくもないレベルだがそういうシーンはことごとく"薄い"ためその方向で期待するのはよしたほうがいいだろう。

 

ちなみに『キャッスルファンタジア』の絵柄はどことなく『キャプテン翼』似ていると感じたのは私だけだろうか? 手足が長く、目と目の離れる位置、口角などの造形がキャプ翼っぽい雰囲気を感じさせるのだ。

特に開始1分で表示されるヒューイの稽古CGとかまさに。

 

死亡フラグ

 

本作は戦争が舞台なため「死亡フラグ」を立てたり立てなかったりするのだけれども——この戦が終わったら結婚しよう!等——2015年の私から見るとそれは迷いがない素直な「表現」であるためもしかしてこの頃には死亡フラグっていう概念が生まれていなかったのかも、と思ったりもした。

参照→死亡フラグの歴史(後編) - 戯れ言

どうやら2002年頃らしい。なるほど。

なんというか、ひねりがないストレートな死亡フラグ(つまりメタ化されていないもの)って逆に新鮮味があるなと(--

 

で、私が思ったのは生き死にがかかっているとき未来の約束をしなければ悲惨な戦争なぞに奮起できないのも確かで、外側にいる私たちはついついそれを「死亡フラグ」などと揶揄してしまうが実際にその世界で生きる者にとって「戦争後の約束」(未来に想いを馳せる行為)は大事なことなんだな、としみじみ思ったりもした。

それが拠り所になるからこそ、希望となりえるのだと。

 

 

キャッスルファンタジアはどんな人に勧める?

 

『キャッスルファンタジア~聖魔大戦~リニューアル』はSLGをあまりプレイしたことがなく、SLGに期待値が低い人はいい息抜きになる作品だとは思う。

だがランスシリーズといったゲームシステムが高レベルで練り込まれた作品を愛好している人からすれば、本作は厳しい評価になるかもしれない。

これといって「ダメ!」って文句をいいたくなる部分はないかわりに、「これだ!」と熱烈に褒めたくなる部分も存在しない作品なのではないかなと思う。

 

ちなみに今回私がプレイした『キャッスルファンタジア~聖魔大戦~リニューアル』はTECH GIAN(雑誌付録)についてきたものだ。*1

この号でさらに『群青の空を越えて』というもう一作品ついてくるため——むしろこっちのほうを目当てに購入——お買い得感高いと思う。『キャッスルファンタジア』は『群青の空を越えて』のおまけだと思うとわりかし不満はなかったりする。満足満足。

逆にキャッスルファンタジアを単品で買っていた場合、ガッカリしていたかもしれないが……。

 

そしてその『群青の空を越えて』はいいゲームだったので(こちらもまた戦争を題材にした作品)TECH GIAN 2015年10月号はよい号だったなと思う。

 

 

 

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*1:『キャッスルファンタジア』っていろいろシリーズが出ているらしく、この「聖魔大戦」はあるひとつのチャプターに過ぎないのだろうな。過去にいろいろあった感じも劇中でするし、さらにゲームEND後もわりと不確定な印象を受けるので。