『D.C.II P.S.』という7年前のゲームを追想する

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*DC2が好きな人は気分悪くされるかもしれません

 

 

はじめてプレイしたDC

 

ダ・カーポシリーズをはじめてやったのが『D.C.II P.C.』だった。これはPC用に発売した「D.C.II 」をPS2版に移植した「D.C.II PS」をさらにまたPCに逆移植したものなんだけど、最初その手法を聞いた時なんじゃそりゃって思った。

PC用のビジュアルノベルコンシューマゲームに移植することはよく聞くけれど、それをさらに「逆移植」する事は私にとって初めて聞くものであり、新鮮で、最初からその完成版出せばいいのにしゃらくさいなあとも感じていた。

(D.C.II →D.C.II P.S. →D.C.II P.C.)

これが巷にいわれる曲芸商法であり、そしてまだまだ片鱗に過ぎないことをあの日の私は知らなかったんだ(以下略)

ゲームの内容はというと、いわゆる恋愛アドベンチャー+島の謎という体裁で、多くの(それは多くの)ヒロインのお話を見ていくことで最終的に不思議な謎に迫っていくというもの。

一年中桜が咲き誇る初音島、桜の木の暴走、手から和菓子を出す能力、魔法のような出来事の数々。そんな不思議なダ・カーポワールドを多くのボーカル曲が彩るのも本作の魅力なのだろう。

つまりダ・カーポ2の魅力はそんな「島の謎を中心にしたヒロインとの恋愛」「多彩な楽曲」なのだと思う。

 

前作「ダ・カーポ」をやっていない身からすると、その流れによる面白さというのはうまく実感できなかったが、やらなくてもよいのかなー、でもⅠをやってからⅡをやったほうがより面白そうな気はする。

やっぱりこれは「続編」なので。

 

 

D.C.II P.S.』の退屈なところ

 

ただいかんせん、当時の私にはDCⅡPCはだるかった記憶がある。

まず「12人」以上のヒロインの√を見なければいけないという量的な問題があって、いくらなんでも未体験の物量に戸惑った。CLANNADよりも多い。それもメインヒロインの朝倉音姫朝倉由夢以外のヒロインのお話はつまらなく、退屈で、好きになれなかったことが「だるかった」という気持ちに拍車をかけたのだろう。

なんというか……こんなにも大勢のヒロインを読む必要性を感じられなくて……(薄いんだもんorz)もう音姫と由夢の2人だけでいいんじゃないかなって。逆にいえばこの2人のお話は好きで、特に由夢はDC2の中で一番好きなヒロインだったりする。

 

こんなことを言うとファンに目くじらを立てられてしまうかもしれないが――誤解を恐れずに言えば――ダ・カーポ2のテキストってあまりレベル高くない。

さきにメインヒロイン2人のお話は「好き」だとは言ったけど、それはDC2内での好きであって他作品と比較した相対的な評価だと「ふつう」となってしまう感じのレベルなのだ。

おそらくこれは『kanon』『AIR』『CLANNAD』という名作を既にプレイしてしまった後に『D.C.II P.S.』をプレイしてしまったからなのかもしれない。もし初めてギャルゲーに手を出したのがこれだったならばもっと面白く思えたかもしれない。

 

ただひとつ言えるのは、今プレイしたら、多分、もう最後まで読み続けられる気がしない……投げ出しちゃうかも……。

 

 

ここからは本作のネタバレアリアリです。

なので、気になる人はご注意。

 

 

 

好きなところ

 

芳乃さくらが「寂しい」という理由で義之の存在を願ってしまったこと、家族を欲してしまったこと、それを呟いたところががDC2で大好きな所だ。

当時の私は「寂しい」という理由で――ただそれだけの理由で――間違いだと分かりながらも間違いを起こしてしまったり、多くの人間を不幸に巻き込むといった出来事を引き起こしてしまうことが新鮮だったし感動した。

さくらさんの告白は、人間の弱さと根源が描かれていて、ああそうか、そうなんだ、そうか……なんて納得したりもした。何を納得していたのか解らないけど、ただ私はあまりにも幸せだったのだろう、孤独がこんなにも辛いことをうまく理解できていなかったのだから。

――D.C.II P.S.』の"結晶点"はまさにここで、この為に、彼女の願いと懺悔にこの物語はあった。なんて、そんなことを思ってしまうくらいにここのシーンは好きだったりする。

 

 

 了