死にたい?もう生きたくない? じゃあ『CARNIVAL』やろうよ

f:id:bern-kaste:20150719035253j:plain

 

だからと言って、『CARNIVAL』はあなたが抱えている死への想いを解き放ちはしないだろう。

生きていることに疑問を持ち、死ぬか躊躇っている人を引き止めるモノではないし、安易な幸せを差し出すわけでも、平和で無限の日常を描いているわけでもない。

逆に死の希求を後押してしまうような作品だ。なぜならCARNIVALで描かれているのは、この世界がどこまでも狂っていて壊れているからだ。

そんな剥き出しの──思わず納得してしまう──現実を突きつけられて、「世の中辛いことばっかりだけど僕はもう大丈夫だ」「生きれいればなんとかなるよ」なんて思えるようにはならない。絶対に。

むしろ、死にたくて死にたくて仕方なくなるに違いない。シニタクテシニタクテシニタクテシニタクテ堪らなくなるなるに違いない。明日への活力なんて生まれず、生きることの喜びなんて得られない。

 

けれどそれでいい。


あなたが感じている現実の空虚さ、そして希死はより強くなるだろう。強化される。しかし同時に複雑にそして螺旋上に絡まったその鬱屈だけは鮮やかに解放してくれるはずだ。

夜空に花火が爆発するその一瞬のエネルギーが内から外へ向かう運動性と同じくらいにはね。

 

 

理紗「うーん、幸福ってなに?」

学 「またすごい質問だなあ」

理紗「なんだと思うの?」

学 「そうだなあ、わからないけど、なんとなく、今思ってるものだけどいい?」

理紗「うん、なに?」

学 「ガラクタ」 

 

――CARNIVAL


 

『CARNIVAL』がもたらす芸術体験とはそういうものだよ。

だからこそ今現在多幸感にくるまれている人間がやったところで何かしら寄与するものはないし、「CARNIVALってこんなもの?」と思ってしまうだろう。これは死と生の間で苦しんでいる人間に手向けられたものだからこそ、その懊悩を有している者にこそ彼と彼女達の慟哭は突き抜けていくんだ。

つまり、プレイするタイミングは間違えないように注意してもらいたい。もう"ダメだ"と思った時にやってみて欲しい。


興味でてきた? ならば是非に。

 

 

CARNIVAL
 
  (DL版。めちゃ安い)