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【少女を監禁する事情】感想_それは首を締め、好きを殺した夜でした。(12543文字)

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それはある夜の事でした。
首を絞めた夜の事です。
血を拭いた夜の事です。

それは最後の夜でした。
   好きを殺した夜でした。

   *


『Sessions!!~少女を監禁する事情~』の3つ目の物語【少女を監禁する事情】です。今回はうざノリで感想を書いてみました。書いてて面白かったです。

 

 

 

 

 

 

正義揚羽なる女の子について

 

「ズルは無しですよ、蝸牛さん」

―――正義揚羽

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正義……揚羽?……???

"正義葵"じゃなくて"正義揚羽"?

別れさせ屋アイロニー』でいた葵が、『少女を監禁する事情』にいる揚羽と同一人物だと仮定しよう。すると、揚羽は揚羽という名前を棄てて「正義葵」と名乗ることにしたんだろうか?

そして彼女が未だに吹っ切れない相手が、蝸牛朝日なんだろうか?

へーほー。なるほどね。


蝸牛「あれだったら、女性とセックスしている方が未だ楽しいね。どう、正義さん。今夜相手は」

正義「申し訳ございいませんが。私、低層は占いと決めておりますので」

蝸牛「固いところがまたソソるぜ」

正義「それは良かった」

私の体なんて、全然興味無い癖に。
…………いや、違うのでしょう。
きっと、興味はあるのだろうけれど。もし私がそれに応えてしまったら、彼はきっと、がっかりしますから。

ああ矢張り詰まらなかったと。自嘲気味に嗤うのですから。私はそれが嫌だから。きっとそんなものに堪え切れないのですから。だから、お固い女の振りをするのです。本当は私だって、今すぐにでも彼に応えたいと云うのに。

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うん、片思いだ。


一緒に繋がることよりも、彼の落胆する気持ちが嫌だ。そんなふうに見られるのが嫌だ。彼が今まで私に感じていいた価値が、体を繋げることで消え去るというのなら、演じなくちゃね……―――みたいな正義さんの乙女心は可愛い。

しかし、蝸牛という男の短期幸福という体質も……想像を絶するほどに最悪な体感なんだろう。その体質に耐えられちゃう生き抜いちゃう彼もまたなんというか立派な壊れた人間……か。



 

 

 

幽霊と神と『居る』とはなにかについて

 

白崎「何故重力が良くて幽霊はダメなの?目撃証言が少ないから?それとも、嘘の証言が混ざっているからかしら」

龍平「分からなくは無い考えですけどね。とは言え、『程度』と言うのは矢張り重要なのだと思いますよ。それに、幽霊には決まった法則が無いでは在りませんか。それは、曖昧です」

白崎「全てが凡て、法則が在るとは思わないのだけれどね

龍平「人が識る物は、それだけですよ。それ以上の物は語るべきでは無いんです。どうしたって識る事が無いのですから」


白崎「それじゃあ、詰まらないわ。考えなきゃ。考察しなきゃ。だって、それは甘えだわ。識る事が出来ないから考えないの? それじゃ、人は人を超えられない」 

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思わずにやけてしまう龍平と白崎の会話。龍平が言う「程度問題でしょ」と「人が識りえない物を語っても仕方ない」という言葉にはうんうんと頷いてしまう。

「程度」を間違える人は破局を迎える。そりゃね、当たり前なのだよ。"行き過ぎ"た思考は自分を雁字搦めにするものだし、"やり過ぎた"行動は足元をすくわれる。いつだって極端は、人生から嫌われちゃうのよね。

だから「程度」は大事。いつもいつも中庸に心がけるのが大切。凡ての事象は1か0かじゃないし、答えも選択肢も2つではない。グラデーションのように変わるバーを真ん中の位置に心がける50%、そういう意識がとっても大事。


それに「語ってはいけない」ことがあるという考えもよく分かる。語ることできないものを語ろうとする無理が出るからだ。

 

でもさ

 

―――それじゃあ、詰まらないわ。考えなきゃ。考察しなきゃ。

 

そう本当に、そんなの詰まらない。よく言ってくれたようんうん。考えなきゃ考えなきゃだって人間だもの、考える葦だもの私達は。せめて自分が興味あるものくらい必死になったっていいじゃない?


龍平「ええ、そうです。人は人です。超えられる筈は無い」

白崎「いいえ。人は変わるわ?元来、多くの肉食獣のエサだった。今は頂点。最強よ?いつか勝てなきゃ詰まらない。次は、神様も倒さなきゃ」

ふーん、へ~と思った。私は白崎大好きだよ。こういう考え方する人間は愛おしいねまったく。


彼女の在り方は、どこまでも果実に手を伸ばしつづけるというもの。その行動が無駄に終わるかもしれない無意味と化すかもしれない、徒労にため息をつき「あーやれやれ益体のないとはまさにこれだね」と呟きながらも手を伸ばし、走って走り続けて、果実を得ようとする人間。

そんな感じ。

利益とか実利とか他者とか役立つとかどうでもいいって感じ。ただ単に好きで好きでたまらなくて必死に行動し続けているプリミティブでヤツって感じ。そういう人私は大好きだよ。

ああ、だから私は立木ひばりのことも好きなのだろう。見つかるかどうか分からない、でも到達しようと走り続ける。そういうのが好きなんだよ。ただそれだけ、ね純粋だと思わない?そうでもない?そう。

 

龍平「神を信じますか?」

白崎「それに準ずる何かは『居る』のよ。それはきっと、誰かの信仰する形では無いとしても。『存在』さえも凌駕した、『何故』を赦さない存在が。それは神では無いかもしれないけれど」

龍平「私は信じません。神なんか居てたまるものですか。それは、私たちへの侮辱だ」

白崎「そうかしら?『法則を持たない存在』は居ないのかしらね?存在は『何故』を超越しているのに?『法則を持たない』からこそ私達の理解の範疇を超えるのかもよ?

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ん~~~//////っ白崎さんほんとラブっ。いいねいいね興奮してきたワクワクしてきたそうだよそうこなっくっちゃ!

 *

『何故』を赦さない存在だし、存在さえも凌駕した『何か』。そういうのはきっと"居る"。居ると思うよ私は。

私の体感覚、あるいはイメージだとそれは『真理』という言葉に置き換えられる。そう真理、Aletheia。一部のものだけが到達できる境地、聖域、地点、場所。

鋼の錬金術師』の「真理の扉」そのものみたいなね、あるいはその向こう側だよ。真理は"在る"。在るさ。きっと在る。そうまずは信じることから始めなきゃね、在ると仮定しなければ始まらないし進まない。


人間は知覚することの出来ない存在。『何故?』という言葉が虚空に響く存在。人が知覚できないのならば、それは存在しないって? 観測できないものをどうやって"在る"などとのたまえるかだと?

たとえ観測上に存在しなくとも、それが"無い"なんていえないのさという暴論を持ちだしてくる私。証明できないものは全部白だ!グレーだ!無いなんていえないなら、ある"かも"しれないんだ!!わざわざ根こそぎ否定されるいわれはないんだよ全部猫箱に押し込めてやる!!!(誰だよ私)

 *

それにしてもだ。龍平と白崎さんの会話は楽しい。なにより、彼等が「ケンカ」一つ起こさなくこういう議論を行えていることに乾杯。なんだろうね私の周りはこういうの始めると途端に黙りこんだり、相手を否定するのを恐れたり、逆に過剰攻撃的になったりね。

たぶんそれはコミュニケーショ摩擦回避型の人間が多いんだろう、ちなみに私もそれ。このタイプの人間に「ストレートに物を言い」「話し合いの価値を高めていく」というのはいささかハードルが高い。議論に慣れていないから。議論の作法を知らないから。

議論能力および発表能力の発達段階 with 反論ヒエラルキー - 発声練習 

DH0. 罵倒(Name-calling): 「この低能が!!!」といったもの。発言者に対する罵倒。

DH1. 人格攻撃(Ad Hominem): 論旨でなく、発言者の属性に対する攻撃。

DH2. 論調批判(Responding to Tone): 発言のトーン(調子)に対する攻撃。

DH3. 単純否定(Contradiction): 論拠なしに、ただ否定。

DH4. 抗論(Counterargument): 論拠はあるが、もとの発言に対して論点がズレている。

DH5. 論破(Refutation): 論破できているが、もとの発言の主眼点は論破できていない。

DH6. 主眼論破(Refuting the Central Point): もとの発言の主眼点を論破できている。

 

せめてこれは空で言えるようになりたいものなんだけどね。

「スグに、早く回答する」より大事なコト - Chikirinの日記

第二図のように返事をしてくる人は、私の質問の背景にある関心が、質問トピックではなく、自分に向いていると考えています。 自分が「試されている」、自分の「知識の有無を問われている」と感じたりする人もいます。

 

あとこれね。私はそのトピックについて熟考したくないとき、早く切り上げたいときにこれやちゃってるなと。いや考えたくない場合はそういう方法で回避もアリなんだけど自覚していると尚いいなと思った。

 

 

龍平「……神は嫌いです。出来ればですが、私は居て欲しくない。私は、多くの美しい物をつかみたい。……己の範疇の外に何かが在るだなんて、私はやっぱり信じたくなくは無いですね」

白崎「くすくす。あなたと話すのはやっぱりおもしろいわね。私の大好きなお友達だものね」

 

にゃるほどね、龍平はそういう世界はお嫌いだと。ちょっと見方をずらせば、私達の上にさらなる存在がいて、その上位存在が世界を支配しているのだとしたら気に食わないみたいな感情なのかなと考える。

遺伝子論とか運命論とか世界を象と亀が支えているだとか空にピンクのライオンがいるのとか洗濯機にインビジブルユニコーンが生息しているとか―――くっくく確かにそれは御免だわなふふ。

 

 

 

 

 

龍平と機械少女と、彼が識ること

 

 

龍平「私になりに色々、考えたのだよ。…………それで出した結論だがね。私は、君を知るべきなんだ

羊子「…………」

龍平「きっと、たくさんの人が居るんです。私は酸っぱいコーヒーが苦手だ。苦くて、甘いのが丁度いい。……けれど、酸味が強い物を好む人も沢山居る

龍平「それは理解出来ることでは無いけれど。きっと、知らなければならないことなんです

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龍平は羊子の「何を」知るべきだったんだろう?……。分からない。

ただこの事はとても大事なことだよね。社会の多様性を認めるということは、相手の存在を認めるということ。それは嫌いでもいいし理解できなくてもいいただ"在る"ことを知り、そういうものだと割り切ればいい。

難しいんだけどね。でも大切なこと。


 

世界が閉じている猿飛、ああそれはなんて―――

 

龍平「曰く、植物状態なんだと。脳はね。死んでいないんだ。けれど、五感が死んでいる。何も、外からの刺激を取り入れられないんだ。彼がどうなっているのか、誰にも分からない」

羊子「…………」

龍平「私はね。想像してみて。それがもし、ただ真っ暗な幽閉された世界で。何をすることもなく、狂うことすらなく。ただ、冷静に思考を続けていたのだとしたら」

「それは…………何て苦しい事だと思うんだ」

 

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病院でごろんと植物やっている猿飛。ああ言い方悪かったね。ただ私はそんな彼がとても興味深い。

五感がシャットアウトされ、思考の円環に囚われた存在というものか全然"分からない"。想像すらできない、想像のリーチすら伸ばせない異郷の領域。だから考えるんだ。私は五感すべての刺激を当たり前のように受け入れて生きている。

当たり前だからこそ、凡てを切った先、というものに手を伸ばせない。歯がゆいな。


視覚―――真っ暗
聴覚―――無音
嗅覚―――無臭
味覚―――味なし
触覚―――無痛(歯医者で麻酔をかけられたような感じかね)


この5つを脳内で複合していく。


積み木を丁寧に順々に置いていくように、あるいはタバコを吸って口のなかの空気とゆっくりと混ぜあわせていくように―――。


うん無理。


これ想像の埒外だわこれ。概念の外側にある事象だよ。「五感すべてを閉じた」という体感はさ。今のわたしがぎりぎり想像できるラインは、「真っ暗な押入れで何の音も聞こえなく体を動かせない状態」くらいがせいぜいだ。


「真っ暗な押入れで何の音も聞こえない体を動かせない状態」で、何ヶ月も何年もただひたすら【思考】し続ける。考えて考えるだけになる。

ああそれは最悪だ。最低の気分だ。


何の刺激もない、新しい情報が得ることが出来ないのに、考え続けろと? いやそもそも何を考えればいいんだ? 過去の出来事? 旧友のこと? あるいは肉親やペットの陸のことにでも思いを馳せればいいのか?


幾星霜?―――無理だ。無理にきまっているなに考えているんだ、それは文化的教育を受けてきた人間の精神構造で耐えられるものじゃない。いつか砕け散るぞ。心が壊れても、誰もしるよしもなかったなははは……。悲しすぎるよ。…。



デザイナーズチルドレン

 

デザイナーズチルドレンである時点で、肉弾戦では勝てないかもしれないが、素手で戦車に穴を開ける、天城の一族などに比べれば随分マシだろう。

――白狼

 

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「デザイナーズチルドレン」と聞いてまず連想したのが、「クラスDの現象行使者」のことである。通称:デザインド・チルドレン。いやほんとただなんとなくそう連想しただけ。

もし私が思い描いている「デザインド・チルドレン」と「デザイナーズチルドレン」が近しい存在ならば、志賀は「クラスC、B」ってところか。Aまではいかなさそう。もちろんSも。

とはいえ彼の戦闘力と能力が不明なのだけれど、案外当たっていると思うんだよね。ああつまり志賀は

「ベルテッド・チルドレン」
「クローズド・チルドレン」
「ディセレイテッド・チルドレン」

のどれかってところじゃない? ほんと知っている人だけのネタといっても過言じゃないが。ちなみに知ると不幸になるタイプだと思うんで、これ知らなかったら検索しちゃあダメですよ。

 

 

 

  

死に場所を探し求めで?

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志賀「探してんだろ、死に場所。用意してやる

 

白狼「………………」

死に場所、か。
「捜している、訳では無いのだけれどね」
それは、悪くはないお誘いなのかもしれなかった。

 


死に場所…か。そういう考えは持ったことがなかった。死ぬ為に用意された場所か…それはなんていうか魅惑的だなと思ってしまうよ。どこか怖くて蠱惑的な印象を持つ。

「死」というのは魅了されてしまうものなんだろうか。
それとも「死ぬ為の場所」に惹かれてしまうものなのか。

もし後先なく、少し未来に「死」が待ち受けているのだとしたら、私も欲しいよね死に場所。

 

 

 

 

記憶欠落、あるいはルーツが分からない時に感じる不安について

 

羊子「…………っ」
私は、何を覚えていないの?
何か一つ抜けが在ると思うと、急に記憶凡てが曖昧になってしまったようで、思わずふわりと足場を無くしてしまったような浮遊感すら覚えてしまう。

別の恐怖だった。
目の前の男に何かされてしまうかもしれない、という物とはまた別の恐怖。自分がもしかしたら信用出来ないかも知れなくて、だったら私は何を信用できるのだろうと言う瞬間。


記憶が欠落すると、皆どうしても自分のルーツ探しをはじめてしまう。私はどこどこ誰で、どの生まれで、どういうふうに育ってきたか。そんな過去を追い求めてしまうものだ。

それは人間が過去という、"終わったもの"に価値を置いているから……。たしかのそれも1つの答えだ。しかし今やっと分かった。そうだよ単純に怖いんだ、心許ないんだ。

なぜか?

人はね世界を信じられなくても、自分がいるからなんとか立っていられる。けれども自分の内在世界に目を向けたときにそこが穴だらけだったらどうする? 唯一信じなくてはいけない己が、信じるに値する担保(記憶)が無ければどうしたらいいのか分からなくなってしまうものだ。


―――自分を信じられない


これは本当に恐怖だよ。現実世界が不信でも、人間不信でも別にいい。まだなんとかなる、でも自分を信じられなくなったらそいつは壊れる。

だから必死に自分のルーツを追い求める。なくてはいけないものだからね。


ふむにゃるほど。「過去」という要素が人間にとって何故大事なのか、それは自分を"信じ"られる為にあるものだから。



 

 

機械少女の顛末と

 

「私は、……二年前に……」
がしゃらん、がしゃらん。

「朝、起きたら―――――」
がしゃらん、がしゃらん、ぱちん。

―――――腕を、切り落とされていた

(羊子) 

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羊子という少女は、機械できた人間だった。


血潮はなくて?心は中央演算処理装置?ふふ。目はカメラで、腕は超高度シュミレーター。衛生からの電波も受信できちゃう電波少女だというわけね最高にきゅーと。

そして龍平が「知らなければ」いけないものとは、羊子が機械で錬鉄された存在だということだったんだろうか?(まだまだ保留だけどね一応記憶に留めて置く)

それとも

アルミ製の寝台の上、私は縛り付けられて、吐いて、泣いて、叫んで、そして、それでも……良いよと答えた。

それはお父さんとお母さんが、余りに苦しそうだったから。本当はやりたくなくて、でも、やらなくちゃいけなくて。そんな矛盾を抱えていたから、私は出来るだけ笑って、良いよと答えた。
――羊子


こういう「愛」を知るべきだったんだろうか。羊子の愛ゆえの行動。これがどんな「愛」なのかよく分からないけれど、それでも彼女は家族を愛していたから、自分の腕を切り捨てた。肉を捧げた。


それはなんだろうね、なんなんだろうね?

 

羊子『……苦しかったけど。……嫌だった、けど……っ。私がそんなこと言ったら、お母さん、お父さん、……無くからっ!

私を被験者にした理由は、簡単だった。

『それが一番、必死になるから』
『自分の娘を救うために、形振りを構わないだろうから』

決めたのは、白髪の彼女だ。クスクスと嗤う、両親の研究の投資者。莫大な鐘の代わりに彼女が要求したのは、『実験は全て、自らの娘で行うこと』だった。


羊子は家族を愛していた。家族もまた羊子を愛していた。

ゆえに羊子は苦しくても「苦しい」という言葉を吐き出せない。その言葉を呟いてしまったら大好きな人たちが泣いてしまうから。己の娘から人間を剥奪し苦渋と与えている自分たちの所業におおきな罪悪感を感じてしまい壊れてしまうから。

愛ゆえに愛ゆえに。


愛ゆえに本当の気持ちを言えない……か。


 

クオリア抽出!!!

 

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 脳を機械と繋げられることで得られる利点の一つは、『クオリアのデータ化』。例えば、経験。高価な食事を食べられることなく知ることが出来、幾年にも及ぶ達人の熟練を、一瞬で識る事が出来る。

――羊子

 
もしかしたら『意味記憶』という概念は、クオリアと呼べるものなんじゃねと思った。厳密には違うのかもしれないし、もしくは同一のものなのかも。

とにかくクオリアとは、"感じ"ることだったと思う。なんというか「意味」そのものみたいなね。

だから自身の内在世界にない、他者の「意味」を持ってくることが出来れば、それを自分の内在世界にインストールすることができれば、「意味」を感じることが出来るのだろう。


 

燃やせよ

 

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こういうのとても好き。熱い。 

 

 

 

 

 短期幸福と長期的な幸福について 

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 白狼「彼から奪われたのは、多幸感。……とは言え彼等のやり方はかなり雑でね。脳の回路を切り貼りしただけ。だから、少し違うのだけれど」

白狼「彼はね。『長期幸福』を『短期幸福』としてしか捉えることが出来ないのよ

 
私の感覚でいえば、多幸感こそが愛で、白狼が語るように長期幸福=多幸感なんだろう。

そうかあの感覚は多幸感か。多幸感という言葉は幸せに満ち満ちた意味を持つものだ。そして実際の多幸感の感覚はまさにそんな感じ。けれども瞬発的なオーガニズムの快感とは違う、長期的に感じられる体験……か。

 

 『短期幸福』とは、例えば『パチンコで勝った時に感じることの出来る幸福』だ。それは強い快楽ではあるのだけれど、時間が経てば直ぐに失せる。オーガニズムと同じ様なものだろう。

そうして『長期幸福』は、例えば『家族と共に居ると云う幸せ』。それは激しいものでは無いけれど、とても大切な幸福感だ。それは状況が変わらない限り半永久的に続くもの。

『長期幸福』の無い彼は、家族を大事と思えない。恋人を性欲の対象にしか捉えられない。何かが『達成された瞬間』にしか、幸せを感じない。

それが彼か。

――正義


長期幸福が欠けている、あるいは多幸感を感じられない蝸牛という男は誰も愛せないに違いない。愛が喪われた人間。


そうだな……私風にいうなら、イデア界に満ちた愛に"手を突っ込む"ことにも素養が必要ということになる。私が見てきた人間は誰しも、"手を突っ込め"ていたから、突っ込めない人間がいるだなんて考えたことも無かったよ。うん。なるほどね。

長期幸福を感じられないことは、イデア界に手を突っ込める素質がないということになる。そして蝸牛は人為的に剥奪されたその権利を。




  

 

 

狼子さんの人間的事情について

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狼子「沢山の人を助けたくてね。……それが何でかって言われると、思いつかないんだけどね。……ただ、人の事が好きだったから。沢山の可能性を見つめていたいだけだった」


この人のことを私は愛しいと思った。そしてバカだなとも。彼女はマクロな視点に立って人間を愛せるし、ミクロの視点に立っても人間が愛せる人だからだ。

これは天使こころでも行きつけなかった境地。

―――全ての人間を愛しながらもたった一人をも愛せてしまう、それが狼子さん。

彼女は人間という群れを愛した。だからなんとかして痛みがない世界を作ろうとした。その為に家族も殺し、箸を転がすように大勢の人間を殺した。もちろん自分さえも。

自分という個さえも、彼女は差し出した。全リソースを費やし、人生を賭け、運命に立ち向かい、人類を救済する為に手を伸ばして伸ばし続けた。彼女はいう、自分の代ではそんな世界に至らないだろうと。


―――だから次の人にバトンを渡すんだと。

 

狼子「40年とちょっと。……ずっと一人だった。……両親を殺して、弟を人形にして、……それでも、誰も苦しまない世界を考え続けた。皆を強くしたら?寿命をとにかく延ばしたら?感情をコントロール出来れば?……全部、違うんだって分かってた。……それでも、活動しなきゃいけなかった」

龍平「……どうして?」

狼子「目標って、一つの道筋からだけじゃたどり着けないものだから。沢山の道を、沢山の犠牲を積み重ねて、そうして、皆で歩くものだから。……だから彼女は、出来ない研究を続けたの。……いつか、きっと叶う筈だから

龍平「……それは、叶いそうですか」

狼子「叶えるのは彼女じゃないのよ。……彼女はもう、お仕舞いなの。次の人にバトンを渡さなきゃ。


ふふ……はは……。人類という「群れ」の為なら、自分さえも殺すか……自分さえも切り捨ててくるか……。何てどうしようもない人なんだろう。でもそれでも私は思ったんだよ。

狼子さんは「群れ」を愛しながらも「個」を殺してきた。でもさ、彼女の長い人生のなかで、たった一人愛すことが出来た人がいた。龍平さん。それってすんごいハッピーなことなんじゃないのかな。

狼子「……、ねえ、龍平さん」

龍平「はい、何でしょう」

狼子「覚えておいてね、今の噺

龍平「………………」

狼子「……あなたが。きっと、あなただけだから。……あなただけでも。……知って居て、貰えるとね。……きっと彼女も救われるから


「一人」に自分を覚えてもらいたい。そう願うのは愛だよ。人間だよ。

 

言うなれば白崎狼子という女性は、本当の意味で「人間を愛した」。でも悲しいかな、彼女はそれでも「信念を貫く」しかなかった。

 

 

龍平「……好きです
狼子「…止めて」
龍平「好きです
狼子「……止めて」

龍平「…好きなんです
狼子「……止めて、よぉ!!止めて!止めて!そんな事言わないで!!出て行って!!

 

狼子「…………止めてよ、……龍平さん。……そんなこと、言われたら」

龍平「はい」

狼子「…私はあなたを、殺さなくてはならなくなってしまう」

泣きそうな顔で、彼女が言う。

 

狼子「私は本当にあなたを殺すわ。もう一度あなたに好きと言われてしまったら、必ず私はあなたを殺す

狼子「苦しまないように。一瞬で。頭と身体を切り離す。……ね、龍平さん。これ、本気なの

龍平「―――――愛してます
きっと私は今すぐに死ぬ。
彼女に笑って殺される。

白狼「――じゃあね、龍平さん」

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狼子さんは結局、こういう愛し方しかできなかった。一人を愛してしまったら、群れなる人類は愛せなくなってしまう。だから龍平の「好き」を止めた。でも好きじゃない相手に身体が火照るわけがない。でも自分の「好き」を止めた。

狼子さんは最期"白狼"になっても―――龍平を殺すことが出来なかった。殺すと言いながら殺せない。……本当に不器用な人、でもそんな彼女が私は愛おしい。ふふ。私は好きだよ、大好き。

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正義のことだってそう。彼女は"心配"だから"気になった"から、たった一人の人間の為にあそこまで尽くした。これが愛じゃない、だなんて言わせないよ。あれは愛だよ。一人を愛せる愛。


私は―――彼女のこれから先の未来に幸を願ってしまう。叶うよね?幸せになって欲しいよ きっときっとさ。

 

 

 

 

 

幸せになりたいとそう思いました

 

 

羊子「…………」
泣き出しそうになって、喉の元から何かがこみ上げて。
泣かないように、唇を強く、強く噛み締めた。
気持ち悪い。
全部が。この、醜さが。
……そうして胸に残る、この愛おしささえも。気持ちが悪い。

羊子「……」
幸せになりたいと、切実に思った。
何も考えず、ただ笑って過ごしてみたい。

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幸せになりたい―――とそう思ったことが無い。
そうだよ今気づいた。
私ないじゃないか、幸せになりたいなんて思ったことがない。

なんで?
なんでだ?
分からない。

いや……そうだな一つの答えを与えられるとしたら、今私の現状が「幸福」なんだろう。それなら納得がいく。とくに苦しみはなく、痛みはない今。満ちたりているといえば満ち足りて、充足しているといえば充ちている。ふにゃん。

幸せは行き着いてしまったら、たぶんこんなものなのだろう。
幸せの行き着く場所は、硝子のような海に寝転がる感じ。たまに自重でパリパリ割れていき冷たい海水が私の身体をひたひた浸して行く。たゆたう、たゆたうのだ。そんな感じ。

過去に後悔なんてない、反省はそれなりにある。
自分のことは嫌いじゃない、むしろ好いている。
結構―――いや案外悪くない人生だったと思うよふふ。


幸せは行き着いたら、後はゆるやかに流れていくだけなんだと、多分ねそうだと思う。

 

 

  

 

 

 

 メモ 龍平

志賀「……楽しませてくれるじゃねえか。―――殺す気で行くぜ」

民樹さんも、両腕の使えないまま立ち上がって、とても人とは思えない目で志賀さんを睨んだ。まるで、あれは機械のように。それはダメだ。彼女に、そんな顔はさせたくない
だから。

羊子「……え」
志賀「……あ?」
私は折れていない方の腕で、彼女の身体を抱き締めていた。

龍平「―――――ダメだ」
強く、強く抱きしめる。力を入れれば入れるほどに、反対の肩が鋭い痛みを告げるけれど、私は泣きながら彼女の身体を抱いていた。

龍平「……ダメだ。……ダメだよ、民樹さん」

羊子「―――なん、で。……あいつは、お父さんと、お母さんを……」

龍平「……ダメだ。君は、きっと彼に殺されてしまう」
羊子「構わ、ない」
龍平「構うさ……」
羊子「―――――どうし、て」
龍平「―――――私が、嫌だから。君には、生きて欲しいから。……私と、……居て欲しい、から」

羊子「―――――」
彼女の体は熱かった。機械だなんて全く思えない程に、熱い。生きているんだ。少女なんだ。―――――機械なんかで、在る筈がない。

 

そういえば志賀はなんで龍平に、羊子ちゃんを託したんだろうなあ……。龍平が猿飛に執着していることを危惧したんだろうか。彼は百人隊にいたからといって、別段異常な人物ではないし、一番まともそうである。

狼子さんを愛せるし、機械少女である羊子ちゃんも人間として観ることができるのだから。……うーんなんだろうなあ。 

 

 

 

 

 

きっと私達は大馬鹿だ

 

きっと、私と彼は似ているのだろう。
どっちが死ぬか。どっちが死ぬかだ。
それが互いに、本当の所どっちでもいいのだ。
自分が死ねば、彼が成す。彼が死ぬなら私が成す。

それを心の底から理解していて、それでもこうして対峙せざるを得ないのだろう。バカだ。そう思う。互いに。もっと、幸福な人生を送ればよかったのにね。私は息を吐いて、半身に構えた。

白狼「先に言っておくけど、あなたのお母さんを人質に取っているわよ。降伏しないと殺すわ

志賀「ああ。じゃあ俺も言うが、てめえの弟を人質に取ってる。降伏しないと殺すぜ?

二人、言って。
くすくす、くくくと嬌声が漏れて。
だって私は動揺していた。弟。私の唯一の肉親。彼が?奪われた?いつの間に?……居場所何て、ばれる筈も無いのに。

本当は怖かった。これ以上はダメだと思った。けれど私はさも余裕ありげに笑わざるを得ないのだ。例え、最期の寄り辺を無くしても。泣きそうだ。哀しすぎる。すべてを失うんだ。

ああ。でも。

――――――笑え。

 


二人は同時に、口を開く。


「「ああ、殺せよ!!!!」」

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愛していても切り捨てて行く二人。

ここの連中はみんな、愛していても、それを切り捨てていく。愛は絶対じゃない。絶対的価値を持っているわけじゃない。けれどだからといって価値がないわけじゃない。

愛していても、愛以上のものがあるとき人間さんは切り捨てていくんだろう。白狼も志賀も愛以上の「信念」を持っているからゆえに、こういう結末しか迎えられなかった。それはきっと幸福なことではな無かったのかもしれないけれど、無意味ではなかった筈なんだよ。

―――幸福に降伏しろ。


『少女を監禁する事情』では愛していても切り捨てられた羊子、龍平、猿飛と、愛ゆえに切り捨てて行った狼子、志賀、龍平でぐるぐる回りゆく世界。

切り捨てられたものは容易に切り捨てる側にまわり。
愛しているのに切り捨てる者の側面と、切り捨てられた者たちの側面が垣間見えた。だから終幕、龍平に切り捨てられた猿飛で終わるんだろう。

なぜなら、これは切り捨てる愛の物語だから。



君も飽きない奴だ。
何時までも、何時までもこんな終わった所に来やがって。

龍平「……今日はね。別れを言いに来た
お?
龍平「君には、…………もう会わない事にする

――――――ああ、そうか。
龍平「行くよ、私は」

 

――――――大切な人が出来たんだろう?
だから、進まなきゃいけないんだろう。ああ、良かったよ。本当に良かった。……最高の終幕だ。

龍平「―――じゃあな、友人
―――さらばだ。友人
君は君の道を行け。僕の屍を捨て置いて、緑の大地を歩くと良い。

龍平「行こうか、民樹さん」
羊子「……もう、良いんですか?」

彼はそう言って、僕に背を向けた。
民樹さんはちらりと最期に僕を見て、彼を追う。
僕は無表情の儘小さく笑って、頬を撫でる風を感じた。

―――さあ、永劫の時を独りで過ごそう。
それが、例え孤独であったとしても。
それが、例え無意味であっても。
友人の花道を彩る事が出来るのだ。
それは素敵なことだろう?

――――――頑張れよ、親友。
僕は大気に響かぬ声で呟いて、では眠ろうと一人嘯く。

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おわり。

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