ハイソなお嬢様に萌えられるか否か「のーぶる☆わーくす」を紹介
主人公は、自分と同じ顔を持つ超お金持ち兼元朱里の「影武者」に抜擢される所から物語は始まる。
「バイト代はずむからさ~どう?」「まあ生活苦しいからやるか……」そんなノリで庶民から御曹司の立場へと入れ替わり、嘘っこの自分を演じながらセレブな私立学園へ通わされることになった。
本作の醍醐味は、そんな入れ替わりにあたってのお嬢様たちとの交流、庶民感覚とセレブ感覚のズレ、影武者だとバレないようにする工夫とそして虚偽の恋愛である。
主人公は「藤島匠」というちゃんとした名前を持った人間であるものの、しかし彼は「兼元朱里」という大企業の子息を演じなければいけない。そういう契約でそういう仕事だからだ。
ならばその本来の自分ではない状態で――藤島匠が兼元朱里を演じている状態で――ヒロインと恋をしていくとはどういうことなのか? なにが起こるのか?
嘘から始まる複雑な恋愛模様を描くのもこの作品のポイントである。
と言いたいところなんだけど……実情は以下のとおりだ。
のーぶる☆わーくすはキャラに萌えられなければ辛いです
正直なところ『のーぶる☆わーくす』の世界はイマイチな感じだ。
先述した物語の中心軸にある「影武者」も活かしきることはなく、虚偽の恋愛模様もあっさり終わりあっさり解決しなんだかご都合主義展開が否めなかった。ただただ庶民である主人公をセレブなお嬢様と出会う舞台設定に成り下がっている印象である。
さらに主人公が影武者の契約を違反した時も彼の処遇は甘々であり「これは金銭が発生する仕事だよね、え?」と戸惑うし、ある√は華麗なるお爺ちゃんの掌返しが決まりシリアスはシリアルと変貌し唖然とした。
男性に免疫がないお嬢様と付き合うことになった数瞬後、乙女な彼女は校長室でフェラーリするシーンは既存乙女像が破壊され混乱することうけ合いである。なんだこれ。
なんだこれ!
しかしそんな事はどうでもいいのかもしれない。『のーぶる☆わーくす』は可愛いお嬢様と恋仲になりいちゃいちゃし身悶えることが出来れば十分であり上述した要素は気にならなくなるのかもしれない。
これはあくまでも「萌えゲー」と括ってそうだと割りきらなければいけない作品のように思う。絶対にそれ以上の面白さを求めてはいけないのだ。じゃないと後悔する。
確かに外見は可愛いし、すごい萌えると思う。CGはHD画質で高精細だしキャラクターデザインも多くの人に受けいられる魅力がそこにはある。みんな大好きこぶいち/むりりん。
かく言う私もここに惹かれて本作を購入したのだから間違いない。
(のーぶる☆わーくす/ゆずソフト)
立ち絵の「髪型」「服装」のバリエーションは多く、見ていて飽きないしやっぱりどこまでいっても彼女達の見た目は可愛い。
しかし彼女達の内面に魅力があるかは疑わしい。将棋が好き、猫舌だ、料理はヘタ―――そういったポイントは持っているものの惹きつけられる練度の高い考え方を持っているわけでもないし、こうだ!と思う自分なりの生き方を強く示すわけでもない。
私はそういうところにヒロインとしての魅力を感じる人な気がするので、「外見だけ」可愛くても「内面に」何かしら焦がれる部分がないとあまり好きになれないのだと思う。
だから先述した部分が気になるような人に本作をおすすめしない。
逆にそこが大丈夫そうならば『のーぶる☆わーくす』は身悶え、楽しい時間が過ごせる、良質な萌えゲーになっているのではないだろうか。
まずは体験版でその感触を確かめてから、購入するかどうか決めて欲しいなと思う。