『レミニセンス』感想_1秒たりとも飽きがこない程に面白いが、物語の核は希薄(5727文字)

レミニセンス 初回限定版[アダルト]

満足度:★★★+(3.8)  


―――これは記憶を巡る物語

 

  プレイ時間    38時間
  面白くなってくる時間  10分
  退屈しましたか?   していません
  おかずにどうか?   使えるかな?短いです
  お気に入りキャラ    秋、和葉、愛佳、恋

公式HP│ レミニセンス公式ホームページ


『レミニセンス』のポイント

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・ 舞台は地下都市。自給自足で全てを賄う2つの街のお話
・ 妹の秋ちゃんがめちゃくちゃ可愛い!もうめろめろになるしかないです。(というか皆可愛いっ!)
・ 最初から最後までダレることなく、ずっと面白いのでおすすめ
・ただ物語のテーマは希薄です

 


<!>ここからネタバレ注意

 

 

 

 

 

記憶

 

『レミニセンス』の血脈に流れているのは「記憶」だ。

島津秀隆がふと見る死んだ姉の幻影、自己洗脳による記憶の上書き、アクセラで垣間見た記憶=命であること、キズナや恭一に至っては心の空白を埋めるようにルーツ探しに没頭していた。

そんなふうに、皆なんらかの形で『記憶』に触れてきた。

しかし物語の<核>とよべるほどの質量を持ったものかというと、そうではないだろう。なんというか軽いのだ、テーマ性が薄いと言ってもいい。レミニセンスは「記憶」を取り扱っているが、さらっとしか扱われていなかった。


なので今回は、<物語の核>を言い表す部分は省略する。ここからは感想のはじまりはじまり。 

 

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『レミニセンス』をすべて読み終わったあと、とても楽しかったという感想が浮かんできた。頭から尻尾までずーっとダレることはなく、常に緊張と笑いと和みの空間に浸れた。

秀隆は、才とでも呼ぶべき物事の洞察力/記憶力/結合力を持っている。この力の有機的な相互作用により、常人では至ることのできない数歩先の「答え」をいつも掴み取っていた。

有害コーン、アイドルストーカー、ステーション規制緩和、依頼人の契約危機……人に物に事象に危険が迫っていれば論理的な段階を経ること無く「それが正しい」とわかる能力、それが島津秀隆の「勘」だった。

秀隆の「勘」は、<姉>という形を取る。彼がなにかに違和感を覚えたときに自身の意識下に<姉>というイメージを具現化し、毎度自身の行動を決めていた。

ある感覚情報を受け取ったときに、その情報を見える形で自身の内在世界にて具現化させる。具現化した情報概念をもとに自身の感覚機能の強化や行動の指針を決めていく、これが"概念を回路のように駆動させている"ように見えたことから「概念モジュール」という名を与えてみた。



概念モジュールという、概念が私は好きだったりする。なぜなら人の一次元的な情報(=感情)は本来無形のものだからだ。悲しい苦しい好き嫌い面白い……そういった情報は形なんてないし、そもそも"見る"ことなんてできない、感じるものだ。

けれども感情という一次元的情報を、「イメージ化」できるのだとしたら? 自分の受けた感覚情報によって、意識下にそのイメージによる概念が生まれるのだとしたら? <姉>という概念を頼りに自分の行動を決めていくというのは、とてもワクワクするものだ。


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もうこの世のどこにもいない<姉>をみたとき、私は「どこかに連れていってくれる」とそう確信した。彼女が指差す方向に、一筋の光を見たし、この光射すきっと私が満足するような答えが待っているんじゃないのかなとそう思った。


結局どこにも連れて行って貰えなかったけれども、それでもあの時の感じた嬉しさを忘れたくない。……この"連れていってくれる"というのは、私の中でも漠然としてうまく言葉に出来ないのだけれど……観念上にある真理(Aletheia)に導いてくれる、みたいな?

……。
……。

<姉>が指し示す危険シグナルを受け取った秀隆は、様々な問題を解決していく。これが非常に面白かった。常人では至ることのできない先の「答え」をまず掴みとり、そこから過程を紡ごうする異常さが。

ふつう論理を積み上げていった先に答えがある。そしてその論理という過程に納得してから行動をはじめるものだ。けれども秀隆は違う。まず「答え」を手に取り、論理性を提示できないまま(つまり周囲の人間に納得させられないまま)、毎回正解に至っちゃう感じが「天才だ!」と私は唸った。

誰もが否定するなかで、一人だけ答えを得る。そんな状況に興奮したのだった。



他にも好きな場面はたくさんある。なので順に語ってみることにする。

 

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大河内希望では、秀隆が「今まで積み上げてきた信頼感をすべて賭けた」あのキスシーンがとても良かった。


相手にキツいことを言わなければいけないとき、相手の心に深く踏み込むときに、人は自分の信頼を削って生きているものだと思う。

今まで積み上げた信頼があるからこそ、多少のむちゃをしても今までの関係でいられるのだ。しかし時に自分の行動によって、相手への信頼が一気に底をついてしまうことがある、そうなれば人間関係は変化せざるをえない。

当たり前といえば当たり前だ。ある一定の信頼度があったから友だちや恋人という関係を続けていられたのに、その担保となる信頼が失われてしまったら友だちも恋人も止めてしまうだろう。

島津秀隆の無理やりキスという行動も、希望との友だち関係を否応なく終わらせてしまった。

そこがいいなって思う。希望ともう会えなくなるのが嫌だから、自分が持てるチップを全て賭けて今までの関係を違う状態に移行させるしかない!っていう意志がバンバン伝わってくるから。

 

 

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水野凛では、処女を隠そうとしたところバカだな思いつつも、微笑ましかった。真っ直ぐというかなんというかねそんな感じ。

そりゃあれだけ男性経験あるんだよ私フフフン♪、という態度を取っておきながら実は未経験だったんです! と告白するのは凛のプライド的に許せないものがあったんだろう。

そんな負けず嫌いというか……熱暴走しちゃう気持ちはわかるけども、処女貫通による激痛をこらえてまで耐えるとか凄すぎだなと、ある意味純粋な人間なんだなと感じた。

 

 

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島津秋の物語は、心地よくもあり悲しかった。

秋に向けられる憎悪って、意外に悪くないものだった。嫌われることに癒やされるというか安堵を覚えるというか、そんなおかしな気分を覚えた。

人ってそんな単純に信頼されないし、好意を向けられることなんてないからね、もしあったらそれはなにか裏があるものだからだ、逆に嫌われているという事実がそこらへん考えなくていいので心地よかった。


とは言うものの……、秋の憎しみと秀隆の憎しみがぶつかり所では、やっぱり悲しくなるよね……。

秋「今までにお世話になった分は、キチンとお金で返します

秀隆「そうか、そうしてくれ。お前に使った金は少なくないからな」


特にお金を払ってから家を出てけというところが、むしょーに心が痛かった。家族の情なんて所詮そんなものなのか、愛とか好きとかそんなものはなくお金といった利益関係でしか繋がりあえ無いのかとしょんぼりした。


秀隆は自己洗脳によって秋を騙していたんだとしても、向けられる憎しみは本物だった、ウソなんかじゃない。

大好きな妹から本物の憎悪を向けられるのって、もう最悪だ。いくら自分自身さえも騙しているんだとしても、ふと我に返ったとき、昔の記憶を思い出してしまったとき、その現実を見て、涙を流しちゃうのも無理はない。苦痛すぎる。

アクセラに抱きついて泣いていたとき、凛の言うとおり「どれだけ自分を虐めてるんだよ」と私も思った。どれだけ自分を苛め抜けばいいんだよ……と。


秋は秀隆の真実を知ることで、お兄ちゃん大好きー!妹になるのだが、これまた最高。独占され独占し続ける妹というのも悪くないというか大好きー!やっぱこうね自由を縛り付けられるのってたまらんのですよ。(どゆこと)


それと最後のコールドスリープから目覚めた秋の心境を想像するだけで悲しかった。好きな人がいない世界にのうのうと生きて永らえてしまったっていうのが、……あんなの苦しすぎでしょー!!;;


 

 

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アクセラの何がいいって、機械が「恋」を覚える瞬間だと思うのだ。

プログラムされていた通りに笑い怒っていたアンドロイドが、いつしか人間に恋をするようになる。照れて微笑んで嫉妬する。ため息でいっぱいになる日常、そういうのがとても胸をくすぐる。

嫌だったのです。楽しくなかったと嘘をつくことが

――アクセラ


アンドロイドという機械がなぜ「恋」を発現することができるのか? 私はこう思う。人にはそもそも「人格」と呼べるべき機能はない。脳にそんな機能も部品も存在しないのだ。

けれども私達はある人間の性格を具体的に把握でき、それを元に会話し接触することができる。人格を固有のものである捉えるからこそ、「あの人の性格が好き」と言えてしまうのだ。

であるならばその人格とやらはどういう原理によって発現しているんだろうか? 1つ答えとして「創発」という概念がある。

創発(そうはつ、英語:emergence)とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される
――Wikipedia


つまり、脳にある数多の機能を寄せ集め、相互干渉し相互作用した結果、上位の性質/機能である「人格」というものを発現させたんじゃないかということ。

それを踏まえて「恋」という感情を見てみると、こう言えるんじゃないだろうか。恋もまた「創発」で生まれた感情なんじゃないかと。

アンドロイドには基本的な感情はあるみたいだった。嬉しい悲しい怒りそういったベースと呼ばれる感情が相互干渉し相互作用した結果、創発的段階を経た結果、「恋」という上位の感情が生まれたんじゃないのかなと私は考える。


何がいいたいかというと、基本的な感情を発現させる機能があるなら、自ずとアンドロイドは「恋」してしまうんじゃないのかってこと。



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 キズナのことは最後まで恋愛対象として見ることができなかった。


いやべつに嫌いな部分とかないんだけどね、どうも異性として見ることができないのはロリーすぎたから? いやそんなことないよね、多分性格なんだろう。

キズナの誰とでも分け隔てなく接する気質や、ふにゃっとした優しさは「友だち」っていう意識を強くさせるよね。

 

 

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 恭一と恋の物語まであるとは思わなかった。秀隆の目線では分からなかったちょっとした裏側を覗くことができ、それなりに楽しかった。

そんな感じでするすると物語を終了し「あー楽しかったなあ」と気持ちのまま、『暁の護衛』をプレイしはじめていた。


なんでだろう? いやなんとなく、体験版なんだけどね。

「暁の護衛」体験版_レミニセンスとの繋がりが分かって興奮するしかなかった!!(3126文字)

『レミニセンス』が面白かったからきっと前作である『暁の護衛』も面白いに違いないと思ってプレイしたにすぎなかった。そんな気まぐれではじめた暁の護衛・体験版だったけれども、これが予測していなかった自体を生み出す。



―――今までよく分からなかったピースが埋まっていくことになった。


なぜ恭一はユウキを見て頭痛を覚えたのか、恋の笑顔を見て失神したのか、恭一の本当の名前とはなにか? 

 

 

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『レミニセンス』とは『暁の護衛』の未来の話だったということに、ようやく気づいた。

詳細な内容は分からないが、海斗はコールドスリープ治療を受けて、150年先の世界(=レミニセンス世界)に来てしまった。記憶は欠損し、恭一という新しい名前を与えられ、大河内麦蔵に引き取られることになる。

そんな恭一が見たフラッシュバックは、長谷川恋と似た女性の死に様だった……。おそらくあれは二階堂麗華という女の子なんだろう。麗華という大好きだった人との記憶、過去にあったであろう悲痛な現実、そしてそのことを忘れている恭一。

彼が「そんな状態」だったことに気づいたとき、私は胸がじわっと温かいもので満たされた……。なんつーか……なんだろうね……なんかうるっとするんだよこういうの。

恭一が麗華という大好きだった人の記憶を忘れている状態もそうだし、麗華を恋に重ねているところや、世界に一人だけ取り残されている感じがさ……。

 

 

「なんだか、信じられないです」

「夢じゃないから安心しろ」

「……ありがとうございます……見つけてくれて」

「別に。たまたまだ」

 

「帰ったら、傷の手当、しないといけませんね」

「そうだな」


「あ、ちなみに左腕は粉砕骨折してるから」

「それは大変ですね……大変すぎますよ!?」

「別に大したことないだろ」

「あります! 今すぐ病院に行きますよ!」

 

「あそこ治りが悪いんだよ、また入院することになったら面倒だろ」

「ダメです! ほら、早く!」

「唾つけときゃ治る」

「だから、治りませんってば!」

 

「ったく、面倒な女だぜ」

「あなたの方が、よっぽど面倒な人ですからっ」

 

――恋、恭一

 

 

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でもそれでも彼が幸せな未来に歩んでいけそうで、納得してしまった。

恋という人間と未来を歩むのも、きっと悪くないものなんだなと―――。

 



暁の護衛3作、全部やりたいなとそう思った)

 

 

おわり


今までの感想をざっくりまとめると、

・物語の核が希薄だった
・でも面白かった
・うるうるしました

の三つです。

不満という不満はなく、面白く楽しく過ごせました。レミニセンス良さすーですー。あとは和葉と恋と愛佳ちゃんとラブラブ出来れば、文句はないですね。

続編の『RE:Collect』に期待ですっ。

 

あと以下の記事はレミニセンスの部分感想です。よければ。

キズナ、島津秋、アクセラ、大河内希望、水野凛_5人の√感想(23640文字)

 

それではまた!

  

 <参考>