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猫箱ただひとつ

物語追求blog。アニメ、マンガ、ギャルゲーを取り扱ってるよ

三日月夜空のリア充蔑視が、どことなく綺麗で、心地良い(僕は友達が少ない9巻感想)

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はがない9巻感想

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*もちろん9巻ネタバレ注意

 

 

 「理科はいい奴だな」

 夜空がぽつりと言った。

 「明るくて気配りもできて、頭もよくて発明家として社会的にも評価されてて、真っ直ぐで……。友達になるならそりゃあ、根暗で陰険で自分勝手なクズよりああいう奴のほうがいいな……誰だってそう思う」

 泣きそうな顔で自虐的に笑う夜空に、俺はなにも言えなかった。

 「……あいつからの留守電メッセージも聞いた。逃げてばかりで、他人を僻んで現実を恨んでばかりで、自分からは何もしようとしなかった……本当にあいつの言うとおりで返す言葉もない……」

 「それ言ったあと、あいつ凹んでたぞ。そんで……」

 俺の口から言っていいのか迷いつつ、

 「悔しかったら逃げるなよ……ってさ。あいつはお前のこと――」

 「はは」

 夜空は俺の言葉を遮るようにわざとらしく乾いた笑いを漏らした。

 「夜空?」

 夜空の口元に歪な笑みが浮かぶ。

 

 「……私みたいな負け犬のゴミ虫に気を遣ってくださるなんて、さすが友達がいるリア充様はお優しくてご立派だな」

 

 「お前……ッ!」

あまりに卑屈な物言いに、憤りよりも先に悲しみを覚えてしまった。

 

――三日月夜空羽瀬川小鷹(僕は友達が少ない9巻p84-85)

 

 

電気が消灯/真っ暗な部屋/窓/差し込む月色の光が彼女を照らし「リア充様はお優しくご立派だな」と発言するシーンはなんだかとても綺麗だ。どうしようもない、どうしてこうなってしまったんだろうと居たたまれない表情と複雑な胸中をこらえながらしゃべる夜空の表情が脳裏に浮かび上がってたまらなくなる。

夜空が実際どう思っているのかわからないけど、本当はそこまでリア充のことを憎んでもいないし蔑んでもいない、でも時折そう言いたくなるし言ってしまいたくなるくらいには思う所があってむかむかしていて自分はそうなることができなくてどうしようもないゴミクズでどうすればいいんだろうね?……って感じにいろいろな感情せめぎ合っているように見えてしまう。

 

うまく言い表せないけど、ここのシーンが心地よいのだ。なんでだろ。

 

私はリア充蔑視もとい「リア充爆発しろ」「リア充は師ね」と揶揄する言葉は大嫌いだったりする。あんなのやっかみだし嫉妬だもの。リア充になりたければなろうと努力すればいいしわざわざ彼らを攻撃する理由がよくわからないしおそらくリア充を蔑んでいる人はそういった努力もせずに「自分は持っていないのにあいつだけは持っている!」と私怨をこじらせるなんて頭がおかしい。気持ち悪い。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。

それに小鷹も同様の考えに至っただけど、リア充だからって何も苦労がないわけじゃない。悩みがないわけじゃない。辛いことだってあるしいろいろな事に思い煩ったりするのに「リアルが充実している(ように見える)」というだけで彼らはずっと幸せだなんていうのは滅茶苦茶だよ。想像力の欠如だ。そんな妄想を押し付けられても迷惑にも程があるし、こういう考え方に私はムカッとする。ありえない。こんな視野狭窄な考え方をする人は嫌いだ。

だから今回の夜空のリア充を皮肉っている言葉に怒っていそうなものだけど、でもかそうはならなくて、むしろ物悲しさと儚さしか伝わってこない。

それはいつだって三日月夜空の言葉は「他者」ではなく「自己」に向いているからなのかもしれない。

 

彼女が苛ついているのは自分自身

 

だと感じ取れるから、時にその発言に悲しくなったり、心地よくなってしまうのかもしれない。自分自身に、あるいは他者に、世界に、絶望するとき―――そこにはある種の安らぎがあるのだなと彼女を観てて思った。

 

なんか、"静か"、だよね。

 

僕は友達が少ない 9 (MF文庫J)

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