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『true tears』 最終感想。石動乃絵がたどり着いた景色(1126文字)

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上田夢人画集 First Stage


満足度:★★★★★(5.0)


学校の敷地内にあるニワトリ小屋、後ろ姿の乃絵。ゆうゆうと赤い実をついばむじべた、なにも語ろうとしない彼女、流れ出すリフレクティアの旋律、ぴくりとも動かない彼女――――もう涙が止まらなかった。

 

時間を止めて欲しかった。止まれ止まれ止まれと、止めて止めて止めてと。目を硬くつむり、奥歯を噛み締め、そう心の中で呟き続けた。

この美しい時間を止まれと。もうなにも要らないからとそう願った。私が差し出せるものは、全てあげるし差し出すよ、肉も骨も髪も腕さえも命さえも。ぜんぶぜんぶあげるから止めてよ、なんで止まんないの?バカなの?……。

全てが憎くて、でも綺麗で美しくて、涙が止まらなくて、嗚咽を漏らしながらひたすらにこの一瞬を止めて欲しかった。なんで止まらないんだろう。なんで停止しないんだろう。不思議でしょうがなかった。もう意味が分からなかった。意味なんて無かったんだよ。

全ての事柄が一瞬にしてどうでもよくなり、無価値で、無意味で、無為で、無益で、無駄なものへと変質していった。自分の主観的世界が収縮し、点になっていった。
どこにも流れ落ちないし、どこまでもこぼれ落ちない点上の世界。もうそこで全てが終わって欲しかった。すべてがこのまま、綺麗なまま無くなって欲しかった。どこまでも、どこまでも。

なんで忘れていたんだろう? なんでこんな風景を今まで記憶から失ってしまったんだろう?

乱反射していく想いが夢幻へと紡いでいき、密度を高めていく感じ。幾重にも重なっていき、散らばっていく涙はなんでこんなにも綺麗なんだろう。もうなにも分からなくていいから、全てここで終わって欲しい。全て全て私の主観的世界を止めて欲しい。

止めて欲しかった。あまりにも綺麗すぎた。

石動乃絵が口からぽつりぽつりと世界に反映される言葉の数々。飛べること飛べないこと天空や涙のこと――――でもその言葉は曖昧模糊としていて、実態が掴めなかった。

彼女の言葉は、いつだって直線的で相手に想いを伝える為に紡がれたものだったと思う。ただ、彼女にはあれ以上の言葉を持てなかっただけなんだろう。自分の想いを表現する為の言葉が、あれしか無かったんだろう。

乃絵が何を伝えたかったか、何を言いたかったか、その半分も受け取ることができなかったけど、でもそれでもいいのかな。それでもいいんじゃないかなと思えてくるところが微笑ましくなってくる。

彼女が到達した景色が綺麗すぎてそんな感慨を粉々にしてしまう。雷轟丸の墓、じべたと、乃絵の幻想風景が、とってもとっても。

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もうこんなありきたりな言葉しか思いつけないけど、本当に本当に本当にまた観れて良かった。5年越しの感謝の言葉をここに残しておきます。 有難うございました。*1



<参考>

 

true tears Blu-ray Box

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プリズム・サイン

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上田夢人画集 First Stage

上田夢人画集 First Stage

 
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*1:BGMリフレクティアを聞きながら