猫箱ただひとつ

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水無瀬桜子 感想。(10327文字)

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「今度はもっとゆっくりお話してください。約束ですよ」

 

 

 

 

 

話そうよ

 

「お話してると、時間がたつのあっという間なんですね」

「うん、俺もそう思う」

「今度はもっとゆっくりお話してください。約束ですよ」

――桜子、昌

 

桜子の「お話しよ」という言葉を聞いて、そういえば私は誰かに「話そうよ」と言った事が無い。単純になんでだろう?とそうふと思ってしまった。

「会話」を目的にしたことがないから、という理由もある。けれど会話が嫌いなわけじゃない。むしろ好きだし、好んでする方だと思う。

しかし、会話を目的のために、「会話しよ」と言わないのは、会話は付随するものであって、それをするために、「会ったり」「約束」をするものではないと思っているから?……ありえる。

会話するために誰かと会うこともあるけど、わざわざ口に出さない……ような気もするふむふむ。

 

 

武士はすごい!

「武士は食わねど高楊枝ですよ、昌くん!」

{それ、お腹すいても我慢しろって事だろ」

「いつでもお腹いっぱいの気分でいなさい、って事ですよ」

「武士は凄いよねえ。お腹すいてても、お腹いっぱいのフリができるんだよ。すごいなあお侍さん、かっこいいなあ」

――結衣、昌、桜子

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なんだろう、すごいと思ってしまった。武士すごい!

騎士道精神みたいな物なのかなこれは。うーむ結衣が武士(ちょんまげ)に憧れるのも、ちょっと分かってきたような。

 

「結衣さんは時代劇好きなの?」

「好きなの!!いつかちょんまげつけてみたいって思うくらい、好きなの!!」

「ちょんまげを? それは素敵な夢ですね~」

――結衣、桜子


このめるへん会話は笑ってしまった。ちょんまんげ。

 

 

 

皇天音とくるりの出て行け

 

「出て行け」
+++
天音の表情は穏やかなのに、邪魔者を追い出そうとしているように感じるのはどうしてなのだろう。
+++

「あ、あのね!そりゃ、せっかく慣れて来たのに、また部屋を替わるのは大変だとは思うんだけど……」

――――くるり、天音、昌

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どっちつかず、というより好感を昌に持てなかった場合、こうやって追い出されちゃうのかあ……。世知辛い。しかしマックスはついてきてくれるという、ほんとイイヤツです。

 

 

 

 

 

水無瀬桜子とただの友だち

 

「私、ただの友だちなだけじゃ嫌です!」

「恋人がいいんです!」

――桜子

 

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素直さって美徳だよね。ただ、一歩間違えると、集団排斥にあるリスkうがとても高いんだよなあ……。悩ましいですぬ。

 

 

 

白鷺茉百合さんは一体なにを考えている?

 

少しだけ、瞳が潤んでいるように見えるのは、俺の気のせいじゃないと思う。

心から祝福してくれるのがわかって、また少し照れくささが増した。

――昌

 

「桜子をよろしくね。あなたならきっと……」

――茉百合

 

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茉百合さんは、なぜこんなにも桜子のことを気にかけている? 心配して、自分のことのように嬉しく思っているんだ?

 

 

「ねえ、昌くん。ひとつ伺ってもいいかしら?」

「あなたはどうして桜子の事、好きになったの?」
+++

「人を好きになるのに、運命って関係あると思う?」

――茉百合

 

 

う、運命?……。運命ってなんだ。運命なる因果が昌と桜子の間にあるとでも言うのか?

桜子を好きになった理由? なにそれはさ、つまり、「昌が桜子を好きになることが運命」だとでも言いたいのか?

 

 

「う、運命ですか? うーん俺がこの学園に来て、みんなに仲良くしてもらって……桜子とも会ってっていうのは、運命かなって思ったりもします」

「……」

「運命っていうか、幸運かな? 桜子に会えて嬉しいって思ったから」

「――っ」

――昌、茉百合

 

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この会話で、「桜子に会えて」とのところに、茉百合さんは反応したように見える。

桜子と昌が会えたことが……?

茉百合さんが、昌と同じく「世界飛行者」だといろいろピースがはまっていきそうな気もするけど、全ての物語見たけれど、そんな様子はないしなあ……。

でもそういったことも頭に留めておこう。

 

 

 

水無瀬桜子の夢

 

「私ね、ときどき不思議な夢を見るの。その事を思い出していて」

「私はね、どこかの野原にいるの。すると、私の目の前を、小さな女の子が走って行くの」

「その子がね、私をすごく呼ぶの、こっちに来て、見て欲しいものがあるのって」

「私ね、遊んでいただけなの。そしたらね、その子あっという間にそこにあった木に登っちゃって……」

「そして木から落ちてしまうのよ」

「だから私、急いでかけよって、ぎゅっと抱きとめたの」
「泣いてるその子を抱っこしていたとき、すごく胸が痛かったの」

「ああ、大丈夫で良かったっていう気持ちと、ずっとずっと大事にしなきゃっていう気持ちがたくさん溢れたの」

「そんな夢……何の変哲もないのだけれど……」

――――桜子

 

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「野原」「小さな女の子」「呼ぶ」「木登り」「落ちる」「抱きしめる」「大事にしなきゃっていう気持ち」

 

1、桜子がみた「夢」は、稲葉結衣の記憶の一部である。

小さな女の子とは、結衣である。結衣が誰かのことをすごく呼んだり、その誰かは木から落っこちた結衣をもの凄く大事にしているところから見ると、夢の中の桜子は、「結衣のお母さん」ではないか?という推測。

2、桜子の昔の記憶

桜子が見た「夢」は、桜子が遠い昔に経験した思い出なんじゃないかという推測。となると、桜子はその過去を忘却してしまっていないと成り立たない。

 

 

3、小さな女の子は、昌であり、桜子自身は、葛木茂

桜子が見た「夢」は、葛木昌が小さいころに経験した出来事である。「小さい女の子」を葛木昌、「その夢を見ている主観的体験をしている桜子」を昌の父親・葛木茂とすると____

桜子が見ている「夢」は、昌がじつは、両義的な存在であることのメタファーなんじゃないか?というもの。「昌/稲葉」という存在の示唆。

 

「今考えてみると昌さんはその子にどこかちょっと似てるかも……」

――桜子

 

 

 

 

 

 

パンにはちみつを塗るのって当たり前じゃないのかな?!えええ?!

 

 

「えっ、そうなんですか?! どこのおうちでもパンにはハチミツを塗っているのかと思っていたのに……」

――桜子

 

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え? 塗るよ? パンにハチミツ。塗るよね?塗りますよ! おかしくないですおかしくないのですよ。

昌はどうも驚きを隠せないようだったけど、え、そんな珍しくもなんともないでしょ?! え?!

 

 

 

オズの魔法使い

 

「ある女の子が、竜巻にまきこまれて不思議な世界へ行くの。とても美しい国だったけれど、女の子はやっぱりお家に帰りたいじゃない?」

―――桜子

 

寓話的なものってすごい好き。オズの魔法使いの主人公の女の子。彼女すんごい腹黒いんですよねー実は。

今年、読む機会があったんですけど、小さい頃の記憶とはどうも細部が違っていたりしました。とくに、あまりのあっけなさのENDに「あ、あれ?……こんなにしょぼいものだっけ……」とちょっとがっかりと。

 

 

 

 

信じるってことと勇気っていうこと

 

「昌さんは、この傷もきっと……なんでもないって言ってくれる、そんな人だってこと」

「でも私……私……」

「勇気が……ほしいよ。
昌さん……昌……さん」

――桜子

 

受け入れてもらえない。認めてもらえない。肯定してもらえない。そんな可能性99%無いと断言できるのに、残りのたった1%が、告白する決意を鈍らせてしまう。

その未来は、圧倒的な絶望に染まっているから……どうしても踏み出せないんですよね……足が。勇気欲しいよね。500ペリカくらいで売ってくれればいいのに、あいやでもそんなのは駄目だな……。

 

 

 

茉百合さん?どういうこと?……

 

「私と桜子はいつも仲良くしてるけれど、それはただお友達だからっていうだけじゃないの」

「私には、それ以上に桜子を大切に想う特別な理由があるの」

――――茉百合

 

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特別な理由??

 

 

「……私にはね、昔とても大切な人がいたの。颯爽と私の前にあらわれて、私に本当の笑顔を与えてくれた人よ

「でもその人はすぐに私の前からいなくなってしまって……」

茉百合さんの目は、今まで見たことの無い、はっきりとわかる寂し思想な色をしている。

+++

「桜子は……その人がこの世界に残してくれたたったひとつの忘れ形見なの」

「私にとって桜子は、大切な人の命そのものなの……」

――――茉百合

 

茉百合さんが言っている「大切で、颯爽と現れて、本当の笑顔を与えてくれた人」って葛木茂氏しかいないと思います。「その人はすぐに私の前からいなくなってしまって」という点も一致しますし。

けれど、葛木茂氏が残した忘れ形見が「桜子」というのは腑に落ちない。だって、昌の父親と桜子に一体どこに繋がりがあるんだろう……。

 

1、茉百合さんが言っているのは「昌」という可能性

この推測は、茉百合さんも昌と同じく「世界飛行者」という前提がなければ成り立たない。

ある別軸、別の物語で、昌は茉百合さんから本当の笑顔を与えて、なんらかの悲劇によって、彼女の前から昌はいなくなってしまった。そこから茉百合さんが、この世界へと飛行してきた。……というのは……どうだろうか。

……んー…。


じゃあ100歩譲って、葛木茂の忘れ形見が、桜子だとしよう。どうすれば茉百合さんがいうような「忘れ形見」になりうるのか。そして彼女がそんな桜子を大事にしようと思えるのか。

さらに条件を加える。桜子と茉百合さん。この二人は、この学園で知り会ったわけではないという。彼女たちの会話から察するに、学園外のどこかで会ったと……。 


ここで疑問なのは、桜子はいつ頃から「入院」していたのか? ということ。もし幼少期から現在に至るまで、ほぼ一生分を病院で生活していたのなら、「茉百合と桜子は病院で出会った」可能性が高くなる。 


(ないない、それはないという意見も出していきます)

 

■ 葛木茂と妻の間で生まれた子どもが、桜子。
■  茂が、「茉百合と桜子を友だち」として縁を結んだ立役者。

……あれ?……?!!?!

 

あれ気づいた、そうかそうか!! すんごい簡単な問題だったじゃないかこれ!!!

この世界B(=桜子が心臓移植した世界)では、葛木茂氏はもう死んでいるのか!! 葛木茂氏が死ぬということは、彼の「心臓」は求めている人に提供されることになる。なぜなら彼はドナー登録をしていたからだ。 

そして、葛木茂氏の「心臓」を求めている人、それが水無瀬桜子である。桜子は、葛木茂氏の心臓によって、生き永らえることができた。 


ゆえに、茂氏の「忘れ形見」であり、茉百合さんが気にかける存在か……そうかなるほどねー……なるほどー。

本来ドナー登録者と提供された側は、どういう人物で、どういう経歴で、どこに住んでいるのか、っていうのは明かされないはずだけれども、茉百合さんはなんらかのコネ・力を持ってそれを入手したんだろう。

彼女はそういったリスクを冒すだけの動機を、持ち合わせている。茉百合さんにとって、葛木茂氏はそれほど大切な人物だったのだから……。茂氏の命で生きながらえた人を、ひと目見ようと思ってしまうのは人情として分かる。

+++

 

「これからの桜子は、私との時間より昌くんと一緒にいる時間のほうが多くなると思うわ」

「だからね、昌くんも桜子のことを大切にして欲しいの。私の分まで、大切にしてあげて欲しいの」

「いつでも信じていて、あなたと桜子は……どんな時でも、確かに運命で繋がっているわ」

 

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そうか……だから「運命」という言葉を何度も繰り返していたのか……。

 

 

 

 

未来のくるり

 

 

「葛木の恋人の名前は?」

「……そう。そうなのか」

「これから先、夢のような事が起きたとしても、信念を失わずに」

――――Dr,flyer kujo

 

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すずのがパニックを起こした後、くるりがぶらりと現れる。このくるりは未来のくるりである。

この時、毎回、「恋人の名前は?」と聞いてくるあたり、くるりにとって、昌とその彼女の辿り着く終着点は知っているのだろう。

そしておそらく昌と別に会うつもりはなかった。ように見える。未来のくるりは、すずのから依然連絡がないことを不安視し、ここに来ただけだからだ。

ただ、昌に会ったら会ったで、多少のアドバイスを贈ろうとは思っていたのかもしれないが。

 

+++

 

そういえば、すずのちゃんが、昌に「やり直したいですか?」と問いかけるのは2回だけだ。

それは、「九条くるり」と「稲葉結衣」の時。ソレ以外の三人「皇天音」「水無瀬桜子」「茉百合」は、なにも効かずに、唐突に別世界へと転移させてしまう。

 

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これを見るに「雪代すずのが晶に介入」しようと思ったかどうかが、「やり直したいですか?」と問いかける分水嶺なんじゃないかなと想う。

すずのちゃんが、自分の意志を持って昌の人生(または運命)に介入したいと思わなければ、彼女は仕事である「葛木昌を助ける(=元の世界へ戻す)」ことを淡々と行うだけなんだろう。

この「葛木昌を助ける(=元の世界へ戻す)」ことに、「戻していいのかな?」と疑問を感じたのが、「稲葉結衣」のときである。

くるりの時は、わざわざ「やり直したいですか?」と問う理由がない気がするんだけど……どうなんだろう。だって、昌はくるりを失いもう泣きそうで堪らなかったのだ。昨日をやり直したいと思っているのは、傍目からみても明らかだったろう。

すずのちゃんが、その意志を明確にしておきたい。と思ったのかもしれないが、それなら、天音や桜子、茉百合さんのときもそうあるべきだ。

しかし、そうではないのなら、「九条くるり」の時になんからの"違い"がある……はず。けれど私には見当たらない。分からない。

 

 

 

 

世界転移のさいの飛行

 

「おち、落ちるうううう――――!!!!」

――昌

 

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葛木昌が別世界へ移転するとき__(元の世界に戻った時)__必ず高い空から落ちるという体験がセットになっている。

フレイアなるタイムマシンの特徴として、転移するさい、まず飛ぶ、そして落とす。これをしなければうまく世界を跳躍できないのかな?

 

 

 

夢の世界

 

 

「あ……あの、今から変なこと言いますね。もしかして夢の中で会ったことがありませんか?」

「夢って、このあいだ来た時に話してくれた、桜子が退院して学校に行く夢のこと?」

「そうなの、この型、昌さん……いつも夢の中に出てきた人と同じです!」

――――桜子、茉百合

 

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そういえば、桜子ははじめて昌に会ったときも「どこかで会ったことありますか?」と問うてきた。夢?………夢?……。どういうことだ。

つまり、世界A(昌の元世界)と世界B(結衣が生まれ・桜子が退院している世界)は裏と表。そんなコインのような両義的な存在ということなんだろうか?

世界Aでは、桜子は退院できない。なぜなら、昌のお父さんが村名中だからだ。そしてこの世界Aでの桜子は、世界Bでの出来事を「夢」として見ることができる。

ならば!

世界Bでの、桜子は、「世界A」の出来事を夢として見ることができるかもしれない。あれでもおかしいな……。

世界Bでの桜子の「夢」にでてきた人物は、小さな女の子である。おそらく結衣だと想うのだが……世界Aに結衣はいない……。んん?…………。どういうことださっぱりだよ。

 

 

 

++++

「私、小さな頃からずっとこうやって病気で入院していたんですけど……」

「ある日、病気が治って退院できるようになるんです」

「そして鳳繚乱学園に入学して、繚乱会に入れてもらって、楽しく学園生活を送っていました」

――桜子

 

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そのあと「じゃあ私達、同じ夢を見てたんですね!不思議!」、とも桜子は言う。

これはもしかして……すずのが言っていた逆行性うんたらっていう現象なんだろうか?

つまり、「世界Bでの出来事は、世界Aに移動したさい反映される」というもの。昌が(学園に行ける)桜子と思い出を積み上げた思い出は、世界Aに戻ってきたとしても反映される。ということ。

しかし、世界Aの桜子は「学園には行けない状態」なので、その世界のつじつま合わせとして「夢」の中補完された――――ということなのか。にゃるほど。

 

ん?

 

ということはさ、「世界B(=桜子が学園に行っている)」で、桜子が夢にみた「小さな女の子」のあれって、

そうか! 葛木茂氏の「記憶」なんだよ!! 心臓移植によってその思い出ともいわれる記憶が、桜子の夢として現れたんだろう。

これはなにも不思議なことじゃないらしい。「心臓」は記憶を保持できるらしく、心臓移植された患者は、元の心臓の持ち主の癖・アレルギーなどを引き継いでしまうことがあるという。もしかしたら、そのいっかんとして記憶も。

なるほどねー……。いろいろ腑に落ちてきた。

 

 

 

葛木昌の元の世界で、なぜ茉百合さんと桜子が出会っている?

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昌が、元の世界に戻ってきたときに、出会っていない2人がすでに出会っているという状況に見舞われる。

それは、茉百合さんと桜子だ。

茉百合さんと桜子が出逢うには、__先の推測からして__「桜子が葛木茂氏の心臓を移植」していないと、彼女たちは会わないはずなんだ。

それなのに、心臓を移植していない、未だ病院で暮らしている桜子に、茉百合さんが友だちっていうのはおかしい。おかしいぞこれは。


→逆行性うんたらかんたら

 

なるほど。昌が世界Bで経験してきたことが、戻ってきた世界Aで反映されるのならば、おかしくはないのだろう。でもちょっと待って。

じゃあ、なぜ天音・くるりは桜子のことを知らなかった状況になるのか。そして、茉百合さんだけが桜子のことを知っている状況になるのかの説明にはならないと思う。

桜子のことを、天音、くるりが知らなくて、茉百合さんだけが知っていた。その差分は一体何処にある?


1つには、前提が違う可能性がある。つまり、「葛木茂氏の提供した心臓が桜子に移植されたから、茉百合さんは彼女と出逢った」という前提がそもそも違うということ。

しかし、これ以外の理由で、茉百合さんが「桜子をあの人の忘れ形見」という理由なんかあるんだろうか?


次に桜子の存在は殆ど閉じているので、もっとも親しかった人たちだけにしか縁が結ばれなかったという見方。

んーと、桜子は、学園にも行かなく、病院だけで生活をしている状態にあるんですね。これは、桜子の世界が「病院」という小さいサイズなのです。

ゆえに、人間関係は、すごくすごく閉じているものと推測できると思います。家族、病院のスタッフ、患者さんとの繋がり。これくらいしかいないのかもしれません。

となると、葛木昌が「閉じられた人間関係にある桜子」と出逢うのは、おそらくとても難しいはず。しかし世界Bでは、彼女たちは毎日を顔を合わせるほどの仲なのです。

なら、こっちの世界Aでも「昌と桜子は出会わなくては」いけません。逆行性うんたらいの反映によるのならば。

となると、学園―――病院を繋げるためのパイプが必要になっていき、その存在として選ばれたのが、桜子として最も親しかった友だちの「白鷺茉百合」が世界反映の際に世界に選ばれた、と見るのが妥当でしょうか。

 

 

 

 

大丈夫っていうこと

 

「無理しちゃだめだぞ。大丈夫じゃない時に、大丈夫って言うのはだめだぞ」


うん……あるよね……。「大丈夫?」と聞かれたらノータイムで「大丈夫。」と返事してしまうことが。これはきっと「大丈夫?」という質問が質問じゃなくなってしまって、「大丈夫。」と聞くための呪文のようなものになっているんだろう。

返答1つしかないのなら、それはもう質問ではないのよね。そしてそう答えてしまうことが、いろいろなことに縛られているよなーと……。あーていうかこれもリスク回避の1つなのか。

 

+++

 

「もしも運命ってあるとして。その先にあるのものがどんな結果であろうともね。大事な人の全部、ぎゅっと抱きしめてあげなさい」

「全部ひっくるめて、ぎゅっと抱きしめてあげたらいい。悲しい気持ちになっても、辛いことがあっても、それはどんな答えより温かいんだよ」

 

 

 

 

生きたいって望んでもいいですか

 

「昨日の夜に、私と適合するドナーが見つかったって連絡があってね」+++

「いいのかな、喜んでも。いいのかな……生きたいって、いろんなことがしたいって願っても」

――――桜子

 

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誰かの命を奪ってまで、生きたいって思ってもいいのかな? という疑問。普段私達は様々な生き物の命を糧にして生きているわけだけど、こういった「命」の概念がドンと置かれると、そのことを一層、意識するようになってしまうんだろう。

誰かの命によって生きることって、なんだか辛いとそう思ってしまう。……ここは、「もちろん生きたいと願ってもいい」と思えるのだけれど、じゃあ、誰かを殺して、殺したことで、自分の命を繋いだとき、その行為は是とされるのか? という疑問が湧いて出た。

それすらも是認されるんだろうか?……。わからない。

 

 

『ほーら! こっちみて! ここの木の上に作ったんだ!』

『……待って、そんなに走っちゃ危ないわ』

『だって見せたいんだもん、秘密基地! 宝物が隠してあるんだ! すっごくいいもの!』

『そんな高い場所に登っちゃ危ないわ』

『平気だよ、ねえ、ここにあるもの……――に、あげたいんだ』

 

 

 

父からの手紙

 

 

涙がこぼれているような感覚はあったけれど、わからない。
――昌

 

 

とってもとってもいい言葉が書いてあるわけでも無いのに、葛木茂氏がいかに昌を大事に思ってきたか、育ててきたかが、綴られていて、温かくなる。

それは血の通った、手紙だった。

 

 

 

 

価値の逆転と認識の変化

 

あなたと会えたから――私の生きてる場所、素敵になったの。ありがとう。

――桜子

 

 世界ほんとうに「観測」次第でどうとでも変わってしまうんだなとそう思ってしまう。どんなに憎き障害も、苦しみも、痛みも、欠損も、後悔も、「違う見方を与えてくれる人」がいれば、その人の世界は、辛さが歓びへと反転する。

そういった価値の逆転は、素敵だなと思う。

 

 

 

 

エピローグ・桜子の中にいる晶の父親の存在

 

――ここはとても眺めがいいけれど、ちょっと不便だね。

そうだ。
この墓地へと続く小高い丘の階段をのぼり終えると、いつもそう言っていた気がする。幼い頃は、背中におんぶしてもらって。

それからは、ふたりで並んで。まるでピクニックみたいに母さんに会いに来ていた。

それから。しばらくはずっと、ひとりで来ていた。
そして今日、やっともう一度『ふたり』でここを訪れることができた。桜子と二人で。

「こんにちは、はじめまして」
「久しぶりになっちゃって、ごめんな」

 

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「私もね、晶さんに渡したいものがあるの」
「……えっ?」

桜子がそっと取り出したのは、ずいぶんと錆びた小さな缶だった。

「秘密にしていたごめんなさい。実は私、一度だけこの場所に来たことあるの」

「そうだったの? 親父の墓参りに?」


桜子はゆっくりと頭を横に降った。

――桜子、晶

 

 

「ねえ晶さん。私が木登りしたっていったら驚くでしょ」
「それは……驚くな」
「木登りっていうほどじゃなかったけれど」
「………?」

「じゃあもうひとつ。晶さんが小さい頃、木から落ちた時のことは覚えてる?」
「覚えてる」+++

木の上から落っこちたのを親父に助けてもらった

 

 

太い幹にできた隙間を、俺は自分だけの秘密基地にして喜んでいた。

「晶さんはこれを渡したかったんだね」

桜子は静かにその小さな缶を、そっと俺の手のひらに乗せた。

「…………」
「――これは」

「小さい頃の晶さんと、ご両親でしょう?」

中から出てきたのは、折りたたまれた画用紙だった。お父さんと、お母さんと、男の子。クレヨンで描かれた家族の絵。

「晶さんが描いたの?」
「そうだよ。そうだ……これ、あの日に渡そうと思ってたんだ」

「小さい頃の晶さんと、ご両親でしょう?」
「そう、家族の絵」
「とても上手」

渡せなかった、ずっと昔の宝物。クレヨンで描かれた家族を、桜子はそっと撫でた。

「とても上手だよ、ありがとう」
「――え?」
「きっとそう、仰ったはずよ」

「……ああ、そう、だな」

ずっと忘れられていた宝物を、桜子は愛おしげに何度も撫でた。

大丈夫。

俺はそっと呟いた。

宝物はなくしてなんかいなかった。

これからまた作っていくんだ。

だから、大丈夫。

 

一度目はこの桜子との晶の会話の意味が、全然分からなかったけど、これすごく胸にくる……いいな……こういうのいい……うん。

晶の父親の温かい部分と、「大丈夫」と言える晶の気持ちが。胸にきます。桜子は晶の父親の記憶をいくつか持っていって、だからこそ、晶が描いた家族の絵を「とても上手だよ、ありがとう」といえるんですよね……。こういう想いの繋がり、引き継いでいく感じたっmなない……です……。なんかうるっとしましたもん。2回目見ると。

 

おわり。

 

<参考>

 

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