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『やさしい世界』とはきっとこういうもの。くまみこ最終回感想

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やさしくも歪な世界で、くまみこは終幕する

 

くまみこ』最終回は、東北アイドル自慢コンテストに参加するため都会(?)仙台にやってきたまちが、「田舎コンプレックス」による被害妄想とパニックを併発させて逃げ出すものの、最終的にはきっちりパフォーマンスをこなし特別賞に輝いた。

そして彼女は言うのである。もう都会の高校には行きたくないと。あんなにも都会に憧れ、都会の学校に行きたいと願っていたまちはここにきてその主張を折り曲げてしまった。

まち「石……投げられた」

ナツ・よしお「「は?」」

まち「帰れって、田舎とも言われた」

まち「私 行かない 都会の高校行かない!!」

ナツ「え、え、ええっ!?」

ナツ「まち、都会の高校、行かない……?」

(録音中)

まち「ぃ、か、な、ぃ…」

ナツ「まち! うんうんそうだよね!それがいいよ!もう難しいこと考えなくていいよ!やらなくていいよ!」

まち「考え、なくて、いぃ」

ナツ「そうだよ」

まち「なにも、やらなくて、ぃいの?」

ナツ「いいよ」

まち「石投げられない?」

ナツ「投げられないよ」

まち「そっか……」

ナツ「今日は美味しいもの食べようね」

まち「ナツ、私、いいの、いいのね?」

ナツ「いいんだよ」

まち「ナツ ありがとう 大好きよ」

ナツ「僕も大好きだよ」

 

 

――アニメ・くまみこ最終回

 

 

コンテストの最中、まちは「都会人から石を投げられる」という幻覚を見たゆえにこのような発言に至ってしまった。都会は怖い場所。私のような田舎娘は行ってはいけない場所というように。

ここまでくるとまちの「田舎コンプレックス」はコンプレックスに留まらず、パニック障害・幻覚を起こす病気の線も見えてくるかもしれない。これまでもまちの田舎コンプレックスは相当なものだったけれど、今回はその一線を超えていたと思う。

そして山神様にまちのアイドルコンテストを失敗するよう願い、まちが熊手村から離れないよう祈ったナツ。まちの「(都会)いかない」発言をアプリで録音し、「もう考えなくていいんだ何もしなくていいんだ」と促すナツ。

くまみこ』はそれを受け入れるようにラストまで明るいEDソングを流しながら、少女と熊のいちゃいちゃライフを描き終幕した。

 

    ――『やさしい世界』とはきっとこんな歪な場所――

 

一見すれば――現在のこの国の社会的価値観で考えると――両者は間違っている。まちは頑張ることを諦め、ナツはダメ親のように子離れできず我が子を堕落の道へと誘っているのだから。

そしてそれを後押しする『くまみこ』という作品は、逆説的にそれがいかに歪んでいるかを刻々と描いているのが特徴だったと思う。肯定するからこその不安感。正しいと見做すからこその誤りが浮き彫りになる。

私は、こういう作品好きだったりする。ノベルゲームで言うところのBADでもGOODでもないEND。見てしまったからにはもわっとしてしまうけど、私が抱えている価値観なんて一面的なものでしかなく、例え一面的に歪で間違っている世界だろうとも、まちやナツにとって幸福ならばそれでいいではないかと思える結末。

成長主義なんてクソくらえだし、堕落が(絶対的な)間違いだなんて事もない。むしろふかふかのソファでごろ寝しながらアルカディアを夢見ようじゃないか――という考え方もあるくらい。

恐ろしいのが、最終回の結末に何の違和感もない所だったりする。当然の帰結として、この終わり方だったようにすら思う。

もちろん12話の中盤まで「完全無欠のハッピーエンド」の空気が漂っていた。ナツはまちを心配し仙台にやってくる。まちは少女から応援を受けコンテストの舞台に立ち戻る。田舎コンプレックスを併発するまちにナツは檄を飛ばし、それを受け取ったまちはいつも通りの神楽を踊り切る。そしてまちは田舎コンプレックスをちょっとは克服でき、これからもナツとの都会チャレンジが続くそんな終わりかた。

……でもそうは行かず、コンテストから帰宅後、ここから一気に劇中の空気がおかしくなっていくのは肌で感じた。でもね、アニメ『くまみこ』ってそういう作品だよね?と言われたらそうだねそういう作品だねと頷いてしまう。

人の気持ちを汲めないよしおは最終回まで平常運転だし、理不尽な暴力を撒き散らすものの(現社会的な)常識を持ち合わせる響、子離れできない過保護なナツ、外界に出たことがない引きこもり体質まち。――これって1話から12話まで描いてきた内在文脈が通っているからこそこういう感想になるんじゃないかとも思う。

 

 

 

おわり

 

アニメはこれで終わったけど、もしかしたらこの後「やっぱりナツ、私都会に行きたい。いろいろあったけどこのままじゃダメだと思う」となるかもしれないしならないかもしれない。

それはまちが選択し決断するならばどっちでもいいと私は思う。このままだらだら過ごしてあの過疎村で一生を終えていいとも思う。まちが決めること。

 

 

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原作読んでない人なので――絵柄好みですし――そろそろ読みたいな。