読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

猫箱ただひとつ

物語追求blog。アニメ、マンガ、ギャルゲーを取り扱ってるよ

『僕は友達が少ない』(ラノベ)を読んで私の小説観が破壊されてめっちゃ楽しい!

ラノベの感想 僕は友達が少ない
スポンサーリンク

f:id:bern-kaste:20151217213132j:plain

 

先日*1僕は友達が少ない』10巻を読了。

久しぶりにラノベを読んだこともあってずっぷり嵌り込むくらいに楽しい時間を過ごせた。はがない面白いなあ……ラノベっていいな…夜空が群衆に投げかける叫びは泣いてしまうくらい良かったし、星奈がバスケ部を蹂躙する「動き」は恍惚するほどにかっこよかった。そうカッコイイは正義だ。私はこういうのを待っ

参照→柏崎星奈を10巻で大好きになってしまった

——本編の感想は別記事に任せるとして、今回は『僕は友達が少ない』で『小説観』が壊されたお話をしたい。

 

 

『私の小説観』と『はがない』

 

私にとって小説とは「絵や図などがなく文字のみで物語世界を表現する媒体」という認識だ。文字のみで——心の機微、動作、人の順列、構造物の外観、空間に配置されたオブジェクトからはたまたその場の匂いや空気感なども構築していくのである。

——小説とは文字のみで創造される1つの世界。

そんなふうに私は捉えている。これは『私の小説観』なので他者が同じ感覚を有していなくても全く問題ないし一般化はしない、とここで強く言っておこう。

この『私の小説観』は『僕は友達が少ない』を読んでいると破壊されていくのである。まず10巻であれば人狼ゲーム時にだれがどの席に座りだれの隣に位置するかはそのまま「図」で表現されている。文字ではないのだ。文字ではなくもうまんま「図」が挿入されそれを便りにマリアの隣は星奈、星奈の隣は小鳩、小鳩の隣は夜空……と一発で分かるようになっている。

 

1)図

 

席の見取り図があるおかげで、頭の中の「席順映像」の理解度をスピーディーに組み立てられるのでこれいいなと思ったものだ。私は一度でもいいので部屋の中/背景/人物順列を「映像」として出力できればあとは見取り図をみなくて済むようになるし、席の位置が重要なときは脳内映像を取り出せばいいのでストーリー進行の把握もかなり楽になる。

逆にだれがだれの隣に座っているかを「文章」で表現されていた場合、この映像出力がとても遅くなったりもする。読み込むのに時間がかかるのだ。だからといって順列の文章表現が嫌いってわけじゃないけど、図で表してくれるならばそれはそれで有難い。

 

 

f:id:bern-kaste:20151217233752j:plain

via:僕は友達が少ない10巻p29

 

 

2)顔文字

 

それと『僕は友達が少ない』は定番の「顔文字」で登場人物の心情を表現するのもおもしろい。理科が小鷹に性的興奮を覚えた時に使用される「┌(┌^o^)┐」(ほもぉ)や、小鳩に "や!" と拒絶された悲しそうにする星奈の「(´・ω・`)」(しょぼーん)などいちいち可愛い。さらには単純ならスラッシュ(/)を連打する「///」で照れを表すこともある。

文字で、文章で、文節で登場人物の心情を描写していくのではなく、「記号」で一瞬にして伝達していくそれは軽量化された情報であり、一発理解可能な感情表現。今まで「顔文字」で登場人物の心情を伝える手段として使ってる小説は私は読んだことがなかったので新鮮だった。

なるほど、こういう見せ方もあるのだなと。

 

3)フォント

 

そしてはがないでは定番の「フォント拡大/縮小」もはずせない。重要な言葉は太字で、叫び声は大きな文字で、聞き取りにくい声は小さな文字で表現されるのだ。

え、なんだって? 

 

 f:id:bern-kaste:20151217234147j:plain

via:僕は友達が少ないconnect

 

 

さらにいえば「フォントタイプ」もその時々によって変更されており、例えば10巻であれば小鷹が暴走した時の怒鳴り声は"ギラ"ついたようなまさに"怒声"を表現するにぴったりのフォントタイプになっているのはへーと思ったものだ。(当該フォント名は私には分かないんだけど知っている人いたら教えて下さい)

 

4)唐突な作品外形の切り替え

 

普段『僕は友達が少ない』は一ページにずらっと文章が表示されるところが、5巻のジェットコースターの回では隣人部の阿鼻叫喚を「上段・下段」に表示し情報の圧縮をはかっている。

最初から上下段ならともかく、必要な場所で、適宜、唐突に文章形式が切り替わるのは「異化」効果っぽいものを感じ取られてにやりともした。こういう演出もまた小説で行われる「作品外形」の醍醐味なのかもしれない。

 

5)場面転換で絵文字

 

いつ頃から導入されたかのは分からないが、場面転換時に「絵文字」(のような)ものが使用されている。いわゆるニコニコマークであり、円形のなかに目がちょんちょんスマイルがピっと描かれているシンプルなアイコンが使われているのだ。

これにどんな効果があるかわからないんだけど、見ていて楽しくはある。可愛い。

 

 

まとめると?

  • 顔文字
  • フォント縮小拡大
  • フォントタイプ変更
  • 作品外形の切り替え(上下段)
  • 絵文字

こういうのが嫌いな人もいるだろうし、実際10巻の見取り図を持って小説のレベルが下がったと言っている人もいた。

でも私は単純におもしろいなと思ったよ。面白ければ全てOKであり面白いのならばあらゆる媒体の固定観念・仕様・制約・倫理さえも(Narrative内において)逸脱しても構わないというのが私の持論なのでドンドンやってほしいなと思う。*2

なんというか小説媒体(言語)を主軸にしつつ、漫画の要素を取り込んできたようでワクワクする。「絵」「図」「フォント弄り」なんてまさにそんな感じなので。

 

あとは1ページ事にイラストを配置する(300Pならば150Pはイラスト)とか、文章配列をごちゃまぜに組み替えてみるとか、電子書籍ならば音声を添付してみるとか、動画を流してみるとか、データをぶつ切りにして√構造を盛りこませるとか、データ改変して一度だけしか見れない一回性の強い文章とか、そんな表現も出てくるかもしれない

参照→電子書籍ラノベの「新しい形」を微力ながら考えてみる

 

ライトノベルは口絵・挿絵がイラストとして差し込まれている媒体であるものの、そこを除けばあとは文章で表現される媒体だと思っていた。

しかし『僕は友達が少ない』のようなここまで小説の体?とでも言えばいいんだろうか、私が今まで読んできた文字のみで表現される小説観から逸脱しているのは読んでいて楽しいのだ。

 

はがないはこういう表現方法を多用する作品なので、まだ読んでいなく、かつ興味がある人はこの機会に手にとってみるのもいいかもしれない。

さて。

残すところはラスト11巻だけなので、早く読みたいなと思う。

(了)

 

僕は友達が少ない』の記事一覧

 

 

 

 

 

 

 

*1:2015年11月22日

*2:キノの旅』の"あとがき"や、『人類は衰退しました』の"ページ中"にちょこっとした絵が配置されるアレらもよい試みだと思う。