物語を引用することで、物語は厚みを増す(ハローレディー~Re:CREATORS)
ある作品の中で、ある物語を引用する、それはさして珍しくない。
しかし引用にもタイプがあり、物語の内部構造と密接に絡む場合は重層的な印象を与え始める。
例えばadv『ハロー・レディー』ではシェイクスピアの『ハムレット』を中心に引用し、復讐物語としての深みを出しながら『テンペスト』や『ヘンリー2世』と言った題名までも 〈ハロー〉 なる劇中の能力認識コードとして用いたりもする。
例えば "ロミオ&ジュリエットⅢ" ”テンペストⅣ” などであり、その能力自体も引用元と共鳴しあい、ただの能力がそれ以上の意味を醸し始める――といった興味深い体験を味わえるだろう。
だがこれはアニメ『らき☆すた』のような作品とはその仕方は異なる。というのも前者は物語の中心軸に絡んでいるのに対して、後者は引用を積み重ねるだけでそれがストーリーに寄与することはないからだ。
(もちろんそれが悪いわけではない)
会話の一間一間にふもっふやハルヒに触れるもののの、次のお話では特別持ち越されず、その場限りの話題としてしか扱われないといえば分かりやすいだろうか。
RPG『Rotation Girl』も同様で、劇中内で登場する作品がなぜ登場するのかにさしたる意味はなく、空の境界もラブライブもシンボリックに扱われるそれは『ハローレディー』等の作品と比べると、その意義は薄くなる。
ただその代わりと言っては何だが、物語が他作品に触れることは私たち(読者)と物語世界の境界線が取り払われる(近くなる)ような感覚を呼び起こしたりもする。
「私の世界にあるものが、このセカイにもある」
そんな雰囲気はそれはそれで得難いものだ。
他にはゲーム『SCE_2』のような数多の作品にちょっと触れるだけかと思いきや、中心軸にあるお話がどんと鎮座する接続・パロディふたつの性質をもつ混在型もあるし
ゲームを好きな今と、それを壊した過去の自分へ「SCE_2」感想。(8997文字)
Re:CREATORSは最大公約数的な「魔法少女類型」「ファンタジー類型」を用いて本当は知らない作品だけど、”似たようなのは知っている” という感覚から “その物語を知っている” と錯覚させるようなものもある。
『マジカルスレイヤーまみか』を全く知らないのに、なぜこんなにも彼女に愛着を持てるのだろう? 不思議だ。
引用方法ひとつ取っても物語に厚みを出すものから、そうでもないもの、または別の魅力を醸し始めるものと多彩で、面白いなと思うこの頃である。
- 接続型
- パロディ型
- 混在型
- 類型型
個人的にはこの4タイプ、全部好きである。(練度が高ければ尚)
おわり
そしてどうでもいいのだが、リクリエイターズの築城院真鍳――ちくじょういん まがね――に『戯言遣い』のいーくんを引き合わせて二人で思う存分語り合って欲しいという妄想が止まらない。ロマンチックも止まらない。欺瞞、虚偽、擬態、甘言そして最後は「戯言だけどね」で〆。きっとお互いの言葉の手繰り方に(微妙に)同族嫌悪を覚えるのではないだろうか…あるいは零崎人識のように奇妙な関係になり得たりして…ニヤニヤ。(いーくん戦闘能力皆無なのでバトルになったら死んでしまいますけどねそこは人類最強がなんとかしてく以下略)
珠緒さん可愛すぎだと思うんですよ。でも人気投票はorz Nooooo!!
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