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猫箱ただひとつ

物語追求blog。アニメ、マンガ、ギャルゲーを取り扱ってるよ

言葉遣いと櫻子さんの足下には死体が埋まっている感想(最終回)

アニメレビュー アニメレビュー-櫻子さんの足元には死体が埋まっている
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本編とあまり関係ないが、九条櫻子の言葉によって今までうっすらとした考えが実を結んだ気がするのでそれを語っていこうと思う。

 

櫻子が語る「骨の様相」というのは、私達が骨に抱く印象とは180度異なっているだろう。我々にとって骨とは不気味で、孤独で、死を連想させるものであったとしても彼女にとっては甘美で蠱惑的で生を象徴させるものなのだ。

そんな異なる価値観、異なる視点によってふとすれば私達も"そう思い"、"そんな気が"してくるものだ。骨とは(あるいは骨に纏わるものは)すばらしいものである———とね。

 

櫻子「これこそ自然の神秘だよ!」

櫻子「いいかい? 死体を野晒しにしておくとすぐさま蝿が嗅ぎ付け卵を産みつける。孵化した蛆は死肉を食べ、瞬く間に成長する」

櫻子「さらにはそれを捕食する昆虫や小動物が集まり、そして束の間、その亡骸は命の楽園になるんだ!」

櫻子「すばらしいだろう少年 食物連鎖という大きな生命の輪は、肉体が代謝をやめ細胞を崩壊した後も私達を包み込んでいるんだ」

 

——櫻子さんの足元には死体が埋まっている第三話

 

この回で生命の畏敬を感じ取ったものも少なくはあるまい。白骨化した死体など気持ち悪いものにも関わらず、九条櫻子の言葉によって目の前のものは「気持ち悪くないもの」へと変貌し、死肉が白骨化するまでの神秘に思いを馳せていく。草木絡みつく骨は生物の棲家であり、母体のようなものだと。

 

——ならば、そうそれはまるで、彼女が、言葉遣いみたいじゃないか。

 

世界は言葉で出来ていると語った者がいる。それは事実か否か? 私にはわからない。ただ少なくとも言葉は "世界を塗り替えて" いくんだろうな。

時間は止まらないが、自身の内在する時間を止めることができるというのも言葉によって塗りかえった結果なのだろう絶対的な時間は止められない。時間の矢は壊せない。けれど自分自身を止めることは可能なんだ。言葉によって、言語systemによって、それらを弄ることで過去に囚われ続けることも自身で選択可能ということになる。

 

「時よ止まれ、お前は———」

 

ならば人が行っているのは言葉を用いて「自己世界を外界に侵食」に他ならない。心象世界の体現、顕現化。相手を書き換え、世界を従属させ、踏みしめた大地を自分色に染めていく……。

辛い思い出は儚い昔話に、叶わない幻想は満月に向けてぎゃおー!と叫び、幸福なんてどこにも無いと涙するものには愛あるパンチをぶちかます。

時に、言葉によって他者認識を軽々と書き換えていく巧いものがいるが、そういう者を私は「言葉遣い」と呼びたい。(いーくんが口腔から吐き出すそれはただの戯言なのでした。まる)

 

この世のすべてが灰色で、時間が止まっているかのように思える時がある

私にもそういう時があったよ

けれどね、決して時は止まらない

永遠に動き続けるんだ

土に埋めた死体が、やがて白い骨になるように

いいかい、時を止めてしまうのは常に自分自身なんだ

未来に竦んで足を止めれば何も得られない、何も始まらない

ただ死んだように生きるだけだ



そうだよ少年
君が望もうが望むまいが、時は止まらない
だからこそ見方を変えれば世の中ほど面白いものはない
悲観するな。君はまだ灰になってない
血と肉があり、骨がしっかり君を支えている


——九条 櫻子(櫻子さんの足元には死体が埋まっている第捨弐骨)

 

 

ラスト。正太郎が櫻子の心を動かしたのは、きっと、それは櫻子の言葉だったからだろうな。納得とは、自分の言葉に弱いものだもの。

 

櫻子さん最終回感想

 

2期が楽しみな終わり方だったように思う。実質まだまだこれからだし、物語の終点にはたどり着けていないのだけれど、そういった「不完全燃焼感」や「消化不良感」もなく終わったのはよかった。

おそらく櫻子さんと正太郎の関係がラストで大きく進んだこともその要因のひとつにあるかもしれない。いわば『櫻子さんの足元には死体が埋まっている』は死体が絡むミステリーであり"スフィーノイダー"を追いかけるものではなく、、、正太郎が最後に語ったように彼女と彼の物語だからこそ、彼と彼女の進展こそが物語の主軸ストーリーなんじゃないだろうか。ゆえにスフィーノイダーのお話が終わらなくとも、櫻子と正太郎の仲が進展した最終回には不完全燃焼感が漂わないのだろう。

 

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