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君は何をそんなに怒っているんだい?櫻子さんの足下には死体が埋まっている7話感想

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本来、他者とは共有しているルールは違うのだけどね

 

7話、ひょんなことから長らく放置されていた標本を片付ける櫻子さん達。そのさい羊の標本と犬標本を目にした正太郎は複雑な気分になってしまう。

 

 

櫻子「どうした?」

正太郎「いえ、ペットの骨は複雑な気分になりますね」

櫻子「なぜだ? 同じ家畜じゃないないか。たかだか食用か愛玩かの違いだろ」

正太郎「可愛がってた頃の思い出とかあるでしょ。櫻子さんだってヘクターを飼ってるじゃないですか。それに、昔は確か猫を飼っていたんですよね…?あ」

櫻子「櫻子さんの部屋に飾られている猫の標本の"ulna"って骨の名前だったんですね」

櫻子「ああ、私が名づけたんだ」

正太郎「え、飼い猫を自分で標本にしたんですかっ?!」

櫻子「私以外に誰がいる?」

正太郎「……っ」

櫻子「異常な死に方でね、死因が判らなかった。だから確認したかったんだ」

正太郎「確認、って」

櫻子「既に死んでいたんだ。解剖したからといってそれであの子が苦しんだわけじゃないさ」

櫻子「"ulna"の場合死因を調べた後にせっかくなので標本にしたんだ。あれは私が始めて作り上げた完全な標本だった」

正太郎「辛くなかったんですか。…飼い猫を、その、解剖するって」

櫻子「死んだ時は悲しかった」

櫻子「ずいぶん苦しがっていたからね」

正太郎「…それだけ」

櫻子「他に何がある?

正太郎「思い出したりはしなかったんですかっ!この手は何度も自分に触れた手だなとか、この頭を何度も撫でてやったけとか」


正太郎「それは何の骨ですか」

櫻子「猫だ」

正太郎「――っ」

正太郎「次の取ってきます!」

 

 

――館脇正太郎、九条櫻子.(櫻子さんの足下には死体が埋まっている7話)

 

 

本来、他者と共有している常識(ルール)というのは違うのだけど、こうも大きくズレていることがハッキリと可視化されてしまうと反発心・拒絶・恐怖に近い感情が渦巻くものなのだろう。正太郎にとって「他に何がある?」と答えた時の櫻子はああいう風に見えてしまった事からもそれは伺える

――自分とは違う人間であり理解不能な人間であり怖れに値する事実。

でも私はそうは思わない。思えなかった。彼女がそういう思考ルーチンで持って――特に骨に関わる事ならば尚更――捉える世界の様相というのは自分とは違うのは最初から当たり前という前提を常に持っているし、今回の言い分でさえ理解不可能な類ではない。

むしろ生物に対してこういう視線で捉えていることに、いいな、とさえ思ってしまう。何故なら生前と死後の境界線が惹かれつつ、死後に対して感情的にならず肉に触れられるというのは私的に良いのだ。

動物を愛玩・食用に選り分けるのはなにか?と問われば「観測者の気分次第」ということになる。観測者が猫を愛玩だと思えれば愛玩となり、食用と思えば食用となる。実際に猫を食べてる国もあるが、日本ではペットとしての位置を築いているだけにすぎない。

そして櫻子さんからすれば、「死」んだ後の肉体には生前観測していた価値は消滅してしまうだけなんだろう。だから「死ぬ前」のことをことさら強調し、「死後」は肉を剥ぎ・血を灌ぎ・骨を洗い・組み立てることさえ厭わない。

それは牛に名前をつけて可愛がり、愛おしく思い、時が来れば食用として有りがたく頂くのと本質的に大差ないのではないか。最初はそういった場面を不愉快に思い、涙するかもしれないが、何度もこなせばそのうち慣れてくる。鶏の首を切り落とし逆さ吊りにして血抜きすることもそのうち慣れてくるように。

九条櫻子は「最初からそう感じられた」だけだと考えれば、やはりさして抵抗感を感じる考えではないと思うのだが……。

 

  ◆

 

愛していた猫のおなかにナイフがつーっと滑っていく。肉が切り裂かれていく。床に血が流れ、でろっとした内蔵が零れ落ち、赤黒い生臭さがあたり一面を覆い尽した。やがて見えてくるのはその命を支えていた骨の数々―――。

 

彼女の考えは理解できないものではない、しかし実際に愛玩動物を解体しろいわれれば私は無理だろう。生理的拒絶によって直視することさえ叶わずげろげろと胃の内容物を吐き出してしまうに違いない。慣れてないんだろな……命を殺すことと、消え去った命に対する処理に対して。

参照→人殺しに生理的拒絶がともなうなら、なぜ「殺人」が起きるのか? 倫理的価値観と自己拡大化の影響について

 

そして九条櫻子は私ができないことを平然とやってのけてしまうからこそ、その考えや手際にいいなと思ってしまう。特に【骨】に対しての情熱はそそるものがある。

世界の観え方が変われば、世界は変容していく。

ならば骨を主眼とした言い分は、骨の世界を構築するのも当然か。

 

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