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猫箱ただひとつ

物語追求blog。アニメ、マンガ、ギャルゲーを取り扱ってるよ

【Aster】雛はもっと叫んで、怒りをぶつけてもよかった

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*Aster、ネタバレ注意

 

 

 

結果的に言えば、美幸のせいで雛の両目は機能しなくなった。

 

それがどれほどの絶望に満ちた状況なのか私は全然判らないだろうけれど、それでも想像するだけで苦しい。

後天的に目が見えないとはどういうことなのか? 今まであった光と色に溢れていた世界から、黒に閉ざされた世界を住むことに他ならない。一人では安易に外にはいけない。テレビも見れない。友達からきたメールだって返信できないし自分の部屋だというのに這いつくばらないと満足に移動できやしない―――そんな状態がこれから先、ずっと、死ぬまで続くんだ。

もちろん訓練と慣れによって、彼女が抱える生活への煩わしさは緩和されるかもしれない。なくした希望だって新しく見つけられるかもしれない。

 

けれど、あの時、雛が一身に受けたこの世全ての絶望は本物と思うんだよ……。少なくともこの先の人生に何の期待も出来ないほどに。

今まであった可能性を根こそぎ奪われて、それを、「償いたいんです」って美幸に言われて、はいそうですか、なんて言えるわけない―――のに言うのだ。「許すよ」と。雛は美幸に怒ってよかったと思うし、泣いて、叫んで、苦しみをぶつけてよかった。

雛がとった選択が誤りだとか言いたいわけじゃない。あの決断を全面的に肯定するし、すごいよ。

 

でもそんなにやさしくあろうとしなくていいんじゃないか……美幸に怒りをぶつけてよかったんじゃないか……とやっぱり思ってしまう。何故そんなにも、こんな状況なのに聖人みたいに振る舞わなきゃいけないのだろう。

 

だって彼女は、逡巡をしていたのだから。すぐには許すかどうか返答できなかった。やはり思う所はあるんだろう。というか、思う所しか無い。

 

 

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美幸「一生かけても……償います。償わせてください」


雛「…………」

美幸「お願いします……」

雛「…………」

正人「俺からも、お願いするよ……」

雛「…………」

雛「うんっ♪」

 


正人「雛?」

美幸「雛さん?」

正人「許すっていうのか……?」

美幸「雛……さん」

雛「許すに決まってるじゃない

 

 

――正人√after.『Aster』

 

 

この目を左に逸らしたり、下を向いて、美幸の言葉を受け止めようとしている雛を見ているとキツい。

兄への期待に応えようとして「美幸を許した」のだとしたら、それはもう悲しい出来事でしかない、、、ただ京次が怒って「許さない」と言ってくれるのがまだ救いがあるのだろうか……個人的には。

京次まで美幸をゆるしてしまったら、彼らが失望の中で泣いた日々が嘘みたいじゃないか。そりゃ「許した」ほうがいいよ、できるのならそうしたほうがいいのかもしれない。雛の世界でもそういう価値観が育まれていても不思議じゃない。けれど、許せないと思ったのなら、許さなくてもいいんだよ。安易に許してしまったら、安易に許してしまったことを後悔する日がくる事もあるんじゃないか。私たちは良い人でも聖人でもない、ただの人間だ。

美幸もまた被害者だ。だから彼女を許そう。なんてのは結局言葉上の理屈でしかない。そんなもの現実に渦巻く情念に比べれば何の意味も持たないものに成り下がる。例えそれが本当だとしても頭の中で解かっても、受け入れられるかといえばそうじゃない。こんな時にまで私たちは清廉潔白に、誰かが"綺麗"だと思えるような振る舞いをしなきゃいけないんだろうか?……

……

……いや、もうこれ以上、小田巻雛が決断したことにぐだぐだ言うのはやめよう。彼女がもっと叫んで怒りをぶつけてもよかった―――なんてのは私の価値観にすぎないことは分かってるんだけど、でもやっぱり思うところしかない。むしろ私が小田巻雛の選択したことを受け入れろ、ってことになるのだとも思う。

 

 

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