猫箱ただひとつ

物語追求blog。アニメ、マンガ、ギャルゲーを取り扱ってるよ

ワタモテもこっちの“敵”はリア充でも世間でもなくて、もこっち自身だと思う。

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(5巻までの)満足度:★★★(3.7)

 

 

ワタモテを読んで(2846文字)

 

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(通称ワタモテ)は、高校生活に馴染めない・モテない黒木智子の切ない学園生活を描いた作品。コメディコミックに分類されると思うが、時折その切なさに居たたまれなくなってくる漫画としても有名である。

といいつつ、もこっちのあまりの残念さを見ているとどうしても笑ってしまう。

普段なら手に取らない「可愛い下着」を買ってみたものの紆余曲折をへて教室で汗ふき代わりにパンツを使ってしまうとか、いとこの"きーちゃん"に良いところを見せたくて恋人がいるように振る舞ってしまったり、影の薄さを自認して「私はシックスマン(幻の6人目)か何かなの?!」という黒子のバスケを絡めたセルフツッコミにくすっとしてしまう。

もこっちの非モテならではの苦しみ、ぼっち故の悲しみを見てて笑っている自分がいるけど、でもきっとそれはもこっちの境遇に共感しての"おかしみ"じゃなくて、ただ反面教師的な視線で見ているんじゃないかなって気もする。

そして時折、もこっちに対してどこか父親的な目線で、「もこっち、このままでいいのかな……」とか「このままで大丈夫なのかな……」と考えてしまっている私がいる。お節介にもほどがあるのは承知で。

 

 

もこっちは友達欲しいと思ってる

 

彼女は一人ぼっちになりたくてなっているわけじゃなくて、やっぱり友達欲しいし恋人も欲しいけど、失敗するのが怖いしといろいろ理由をつけて友達作りを止めたり挑戦しなかったり事態を回避していく。

時には他者を「ビッチ」「尻軽」と見下して相対化することで、本当に欲しいものなのに"あんな偽物どうでもいいや"と自分に言い聞かせていたりもするし、「あいつらは低俗で、自分は高尚だ」と思わなければ、自分の現状を直視してしまって辛いのかもしれない。そんな自意識が高すぎる女の子がもこっちだと私は思う。

彼女自身も「このままでいいのかな……」と呟いているし、そろそろそこらへんなんとかしなくちゃいけないのかもしれない。


でもどーなんだろうね? 

このままじゃ彼女はきっと「欲しい」ものを手に入れられないまま後悔と憎悪を撒き散らしながら生きてく……とは思うんだけれど、でも本当に彼女は変わる必要があるのかな? 

 

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第二巻のクリスマス・イヴのお話では、『全裸執事』という如何わしいノベルゲームをテレビにつけっぱにしたまま、片手には電◯をもって爆睡しちゃったもこっち。

そこに仕事帰りのお父さんがやってきて、テレビに映っている上半身裸の男性キャラクターを見て、電◯を握っている娘を見て……………………娘を抱きかかえてベッドに寝かせる父。

ここを見て「なに……この…お父さんやさしい……」と思った。思ったんだ。

このシーンではお父さんの表情は分からなく何を考えていたのかは掴めないけれど、でも娘が風邪をひかないようにという思いやりを持っているんだなって事は分かってほっこりした。(もしかしたらそういう行動ではない可能性もあるが2巻の時点では把握できない)

さらにはお父さんはもこっちの趣味について(5巻までを読む限り)否定している様子もなければ、学校生活についても特別口出ししているようには見られない。

これはお母さんも弟もそう。2人もまたもこっちの変態的プレイ(=自分のボイスと声優ボイスをMIXして楽しんでいる趣味など)を見ても、特別もこっちに対して「あんな趣味」とか「いつまでそんな事やってるの?」といった態度はとらない。

いつも彼女にたいして思いやりと家族的な親しさで接しているのが見て取れると思う。

ここらへんを見てて、すごく単純な発想であれなんだけど、もこっち愛されてるんだなあ……と思えた。(「放置」されている可能性も否めないけれど…)

彼女の「世間からうまく評価さりえない在り方」を受け入れてくれる人がいると、もこっちは果たして何かしら変わらなければいけないのかな?と思ってしまう。

私の価値観だと「もこっちは変わりたいと願っているんだから変わったほうがいい」とは思うけど、そうじゃない考え方もあるんじゃないかなあなんて考えてしまう。

 

―――とはいえ、もこっちの敵は間違いなくもこっち自身である。そもそももこっちを偏見の眼差しで見ている人間や、不当な扱いをしてくる人間なんてよくよく見れば存在しないのだ。 "もこっちだから" という理不尽な理由で彼女の人生を壊そうとする他者はいないし、家族もクラスメイトも通りすがりの人間だって誰も彼も彼女に対してそういった行為は取っていない。

ただあるのは、もこっちが考える「周囲の目」「失敗するかもしれない未来」の2つだけだ。

この2つは、もこっちが頭で考えているだけの空想でしかない。実際に起きたわけじゃないのに "起こるかもしれない" というだけで勝手に苦しんで勝手に嘆いているだけで、自由に想像して不自由になっているだけだったりする。

私がモテないのはお前らが悪い!のではなく、私がモテないのは私が悪いだけ

もし黒木智子さんが「変わる」とするならば、自分の中にある"本当の願い"を直視して自己欺瞞を切り裂いて、ウソをウソだと見破って、切ない学校生活の責任をすべて自分に負わせることでしか果たせられないのかもしれない。

 

それはきっと

とてつもなく

痛い。

 

だから彼女はそれをしないかもしれない。そして、たぶん、さっきも言ったけど、しなくてもいいんじゃないか?とさえ思う。いやここの答えを出すのは保留にしておこう。

 

 

余談


・2巻のラスト。姉のパンツを汚物として扱っている弟くんを見て「めっちゃわかる」と共感してしまった。もこっち曰く、それは新品のパンツだったらしいがリアルキョーダイの下着だと認識してしまった時点でそんな事はもう関係ないのであr(以下略


・5巻のラスト。もこっちと弟くんが仲が悪くなった原因のひとつに「親への呼称を変えた弟をからかうもこっち」がいるのだが、これは本当にやっちゃだめだよなあ……と思う。実際これで仲悪くなるなる分岐点パターンを知っているので余計に。もこっちの顔がたまらなくUZAIのでビキビキ


・『ワタモテ』アニメ化したさい見ておけばよかったなって。これは皆で「だよねー」「わかる」「わからねえよ!w」とツッコミを入れながらTwitterやニコ動で盛り上がる作品だと思うので、そこらへん含めて体験したかったです。


てな感じで、漫画版『ワタモテ』5巻まで読んだんですが面白かったなと思います。

 

<参考> 

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE) 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!1巻
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 ――次回予告(明日9時)

「人類はスイタイしちゃったようですね? にゅー!」