猫箱ただひとつ

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願いは幾星霜に、「いつか、届く、あの空に」体験版(5397文字)

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「あれはな、星なんだ」

「星?」

「そうだ。ここは夜空だから」

――その一言は神秘的に響いた 

 

プレイ時間 4時間で(中断)
製品版を買いますか? いつか買いたい

公式HP→いつか、届く、あの空に。

 

 

「いつ空」のポイント

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・世界のルールが解析困難な伝奇ADV

・その街の住人は誰しも「ある願い」を持っている

・システム面が貧弱


この要約文章では『いつ空』はどこにでもありそうな作品のように感じるかもしれないが、実際プレイしてみると異色な雰囲気が強い。

まずこの舞台となる「街」が奇妙である、と言うのもここでは天気が"ありえない"ルールで動いているのだ。私たちの常識をあざ笑うかのように夏に雪が振るし、夜には曇り空が天上を覆う。必ず、絶対に、空は"晴れ"ないのだ。なぜだ?分からない。

さらにはいきなり嫁を名乗る唯井ふたみという女の子、何故私達は彼女といっしょに暮らしているのだろう? 分からない。分からないことばかりだ。

この奇妙な雰囲気のせいか2時間くらいプレイしても面白いのかどうかよく分からない。けれどここを超えてくると『いつ空』の世界観がぱたぱたと展開してくるため一気に面白くなってくる。ということで、体験版を全部終えてないながらも中断し、いつか買いたいリストに入れておくことになった。

ちなみに『いつ空』の雰囲気は、雨がしとしとと降っているような感じだろうか。なんだか"しっとり"している作品である(伝わるかな?)

それと年代のせいかメーカーのせいか分からないが、「システム面」が貧弱なのでイライラする人がいるかもしれない。セーブ&ロードがワンアクションで済むのではなく一手間動作が多い仕様なのでセーブ&ロードが億劫になる。

「たった一回の手順が増えるだけでしょ?」そう思うかもしれない。でも実にこれがうざっ!!ってなる原因だったりするものだ。とりあえず万人受けしそうではないので、体験版でどんな作品なのか把握してから購入するのが良いと思う。


ここからは本編の感想

 

 

 

それってとてもキツいな

 

よく――物語なんかじゃ、"そういう"言えに生まれついた者は、家に縛られる事を嫌って、解放とか自由とかを望む事になっているけれど。

けど、実際はそういうものじゃないんだ。

「自分がその気にさえなれば、他の生き方だってある」なんて思いもしない。

代々、そういう家だっていう事。

自分の祖父も、父も、毎日触れ合う、当たり前の日常となっている――


異常と普通を隔てるものはなんだろう?

いいや違う。

異常を"異常"だと思うときに必要なものはなんだろう? それは"異常ではないもの"を知ることに他ならない。異常ではない普通を知り、そして異常と比較することでようやく「ああこれは普通ではなかったんだな」と理解できるようになる。

ちょっと大仰な話になってしまったが、これもまた同じことのように思える。

伝統や格調を大事にする家に生まれ、そこで暮らしてきたものにとってそれらの言い付け、決まり、習慣は「当たり前」だということ。そしてその「当たり前」を他の「当たり前」と比較できない環境に居た場合、世界の中心はいつだって家の中にある。

他の生き方なんてものは存在しない。
別ルートなんて考えることすらない。
予定調和で、でもそれが予定調和だとも思わない生き方がそこにはある気がする。

 

だから。

俺はずっと、白爺さんのこの言葉に怯えていたんだ。
「お前は好きに生きなさい」


好きに生きる―――というのは得てして自由の象徴だったり、とても小気味いい言葉のように聞こえる。けれどある一つの生き方しか知らなかった場合、それは迷子になるのと同じだった。

指針がないのだから行くべき道が分からない。だから歩けない。

人が決めてくれた線路の上を走るのはとても楽なのだ。苦しいこともあるけれど "決断しない"という点で非情に自由だった。

 

――"特別"でない者には。

"特別"になれなかった者には。

当たり前が待っている。

 

 

 

 

 

ふたみ

 

「で、オマエの名前は何だ」

「俺?」

「そうだ。自分のムコの名前も知らずに、結構生活を維持できるはずがないだろう」

「サク」

「なんだそのウエハースを齧った時のような効果音は」


――ふたみ


……ふたみ、ナイスツッコミ! 

しかしふたみはいきなり嫁だーむこだーって言ってくるけれど、どゆことなのか。謎。

あとメメメのアダ名がひどいと思うの。「妾」。めかけっていくらなんでもひどすぎない?! しかしふたみーはこう云うのです。

「愛々々だから、メが三つ。つまり、メ掛ける事の……」

「あ、もういい。わかった」

"めかけ"という意味をそういうふうに捉えてしまう私達の汚さだということなんだな(←"たち"って一般化しやがるの巻)

 

 

 

頭のいい人

 

――頭の出来がいい人は、自分より劣る者を見下してしまう傾向がある。

何故なら、その頭のいい人もまた発展途上だから。自分と話が合わない相手を「程度が低い」と思ってしまう。

覚えが悪ければ苛立ってしまう。まだまだ遥か先を見据える者は、決して後ろ振り返ったりはしないのだから。


そうかもしれない。遥か先を見据えるものは振り返らず、そして遥か先まで上り詰めたものはそんな些細なことはどうでもよくなるのかもしれない。

 

 

 

一人部屋

 

全部ひっくるめた、"俺の部屋"が一つあるっていうのが。

実家ではできなかった事だから――


単純に部屋がなかったということではなさそう。ふむ?

 

 

 

星をみたことがないもの

 

「お主人ちゃんは、星を見た事があるんだよな?」


――ふたみ

 

星を見たことがある者にとって、ふたみ達、町の人達が必死になって「星を見よう」としているこの有り様はすこしおかしみ溢れるものなのかもしれない。

サクは言う。「なぜこんなに必死なのかなと思う時はある」というニュアンスの言葉を。そしてふたみはそうだな、そう見えるだろうな、というふうな趣旨のやりとりをしていた。

それはある種―――私達はすでにふたみ達が目指す「真理」を手中に収めてしまったからこその感想なんだ。"星がなにか"を知っているものにとって、何度も何度も見たものからすればその程度の感想しか持ち得ない。彼女たちと同じ"熱"を持ちえることは出来ない。

何故なら、もう知ってしまっているからだ。

もちろんその熱を共有し理解することはできるが、やはり「知っている者ゆえの立ち位置」と「知らない者の切望」が交じいる事は無いように思える。断絶だ。しかし悪いことではない。

 

 

 

妖精?

 

テレ雪が降った公園に、知らない女の子を見かける。そして何事も無かったかのようにこの女の子は消える。なんなんだろう? ん?

 

 

 

人間ちゃんって最高だよね

 

「あれはな、星なんだ」

「星?」

「そうだ。ここは夜空だから」

――その一言は神秘的に響いた  

「上空からこの公園を見下ろせばよくわかる。あの円柱それぞれが星を意味し、夜空の星々そのままに配置されている。そしてこの公園は大きく四つのブロックに分けられていて、それぞれ『春の空』、『夏の空』、『秋の空』、『冬の空』と呼ばれているんだ」


(ふたみ)


叶わない望みがあった時人はどうする? 

頑張って頑張っても辿りつけない時は人間はそれを"別の形"で現実に反映ようとする。己の心象風景を、幻想を、星を見ようとし"形"にする。ここが人間とその他の動物を分ける最大のものだよね。

自分の内在世界(=理想)を現実に何らかの形で反映できるというのが。痺れるしかない。こういう時、人間最高だよなって思う。

 

「そう。ここは星空の縮図。この街の"願い"が形になったものだ」

これは、ただのモニュメントなんかじゃない。
事件や業績を記念するものでも、示す為でもない。
誰かが、この街の願いを形にした。

晴れた夜空への望郷を、恥ずかしがり屋の星空との対面を。夢見るように創り上げたここは、きっと理想郷。


――ふたみ、策


星を見ることが叶わないなら、それを作ってしまえばいいじゃないか―――。夢を見る生き物さよ。

 

 

 

ふたみは文脈が読めない

 

ふたみという女の子は会話ベースの文脈を読むのがとても苦手、あるいは読めないんだと思う。「言葉の意味」ってもちろん単語単語に決められているんだけど、会話の流れによってそれは万華鏡の如く移り変わる。

「うっさいばか」という言葉も会話の流れが王道ツンデレテンプレであれば「うっさいばか(///)」という照れ照れだというのもわかるという感じ。

でもふたみはこれがうまく出来ない。だから相手の皮肉も悪意による言葉も「褒め言葉」や「なんでもない会話」として受け取ってしまう。

なんだろ、"時間"に弱い子なのかな……。つまり過去から→今への流れというのはまさに時間の領域の話なので、時間の認知が弱いとそういう事が起こりえるかもしれない。

特に、桜守姫さんが「ふたみを見ずけれど身体はこちらを向いている様子」について言及しているときが、ふたみのそういうところよく表していると思う。

 

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桜守姫さんがなぜそんな様子なのか聞いても、はぐらかす。ここで大体の人は「うーん……言いたくないんかね?」と察しこれ以上言及するのはよそうという心持ちになる。

しかしふたみにそんなのは通じないのであるっ。

「まあ、いいじゃないかふたみ。気にしない気にしない」

「気になるから訊いたんだ」

「……桜守姫さんには桜守姫さんの事情があるんだよ」

「あらぬ方向に首を固定する事情とはどんなだ」


――ふたみ、策


ですよねー! 気にしてるから話題の俎上にあげてんだよむしろ策オマエこそ気付けよ!みたいなプレッシャーを感じる(感じない)

もう迂遠な言い方じゃダメだと悟った策は直球勝負に出る。

 

空気を呼んでくれ、的なニュアンスで言っても意味がない事は重々承知していたはず。

「その話題に触れるな」

「何故だ」


「……桜守姫さんが困るから」

「ん? コノは困っていたのか? 私でよければ力になるぞ」


――ふたみ、策


ふたみのこういうとこ好き。そうだよそうだよ「何故話題に触れちゃだめ」なんだよちゃんと理由話せよってなる(ならない)

 

「……ぅ……」

俺の声に反応してこちらを向いた途端、桜守姫さんは弱ったような表情を浮かべて、またそっぽを向いてしまった。

ほらみろ、やっぱり無理してるんじゃないか。

「あ、もうお休み時間が終わるじゃん。桜守姫さん、そろそろ席に戻らないと」

「まだ半分も過ぎてないが」


OKふたみ。

オマエのほとばしる才能はよくわかったから、そろそろ黙ろうぜ。



――策、ふたみ


ふたみのこういうとこ大好き。実際こういう「空気読まない」ことへの弊害ってそりゃたくさんあるんだけど、仲良くなりたい相手だったり、友好的に思っている相手にはどんどん踏み込んだ方がいいと思うんだよね。

だってこれは「なあなあ」にしたくないっていうふたみの在り方そのものな気がするから。相手の問題にちゃんと向きあおうとして、ちゃんと踏み込もうってする気概を感じるから。

ふたみーはそゆところ、自然にやってのけちゃうからきっと知識や技術として習得したものじゃなくて(←これらを構造的に俯瞰できているわけじゃなくて)、生まれつきなんだろうなあとw

 

 

 

その方法でよくって?

 

「確かに『空明の里』は、この街の空を写し取った縮図。
 ―――けれど、だから?」

「だからとは?」

「貴女が童話を再現して、どうなるんというんですの?」


「この街の願いが叶う」

「模型の上で作り話を再現して? それで願いが叶う?」

「そうだ」


――ふたみ、透舞


透舞さんは「雲を起こさない」ようにはからうことで、星空を見ようとした。それは「科学的な方法」と言ってもいい。

対してふたみがやろうとしているのは、神頼みといってもいいものだ。科学的な根拠なんてなにもない、ただ「私の願いはこんなにも強いぞ」と示しそれが神か、街か、空が叶えてくれるだろうというものだ。

傍から見れば、ふたみがやっていることは何の根拠もない荒唐無稽な行為でしかない。「根拠がある」、科学的な方法は失敗に終わった。ならばこういう方法でのアプローチも十分可能性はあるんじゃないかなとおもう。

「それじゃだめだ」という"無根拠"な価値観こそ、あの分厚い曇り空を打ち破ることに必要無きものだろう。なんだってやる、なんだって意味がある。そういう姿勢で臨まないと、住民が夢見る望郷にはいつまでも手が届かないかもしれない。

そしてふたみは透舞に言う。「そうだ」。と。これで星が見れると。

彼女が何を考えているのかいつも通りさっぱり分からないが、けれど信じている彼女が信じているものがあるなら、じゃあ信じてみようかなという気にはなってくる。なんかこういうのドキドキするよね。ワクワクする。

 

(おわり)

 

 

――次回予告(明日7時)

「ギャルゲーを見下す」

 

<参考>

いつか、届く、あの空に。初回版
いつか、届く、あの空に。初回版

 

 

 

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