猫箱ただひとつ

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この世界に同一の自分がいたとしたら。「さくらシンクロニシティ」体験版感想(4530文字)

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 ――双子はね、繋がっているんだって

  

  プレイ時間   2.5時間
  製品版を買いますか?   買うかもしれないでももう少し後の方で

公式HP→sakura synchronicity

 

 

さくらシンクロニシティのポイント

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・双子の兄妹ハルカとりせは、嗜好、思考、感情さえもが"繋がって"いる。
・「桜の木」の扱い方が一風変わった学苑。
・雰囲気そのものが心地いいゲーム。

 

 久しぶりにergやったせいかもしれないんですけど、心地よかった。音楽のゆったりとした曲調とゆったりとしたキャラの掛け合いがいいです。雰囲気が癒やされる、それに良い意味でergらしいergだなーって。(もちろん明確な定義なんてない心のまにまに思った事なんですけれどもね)

妹のりせちゃん可愛いですし。

とは言え、いろいろ積み重なっているので今すぐに買うことはないんですが、手が空き次第購入しても良さそうな感じします。"私にとって"相性良さそうなゲームな気がする。直感大事。

製品版では……浅黄の声はOFFにしますがね……!(合わなかった…)


以下は体験版の感想。どぞ。

 

 

 

 

もし世界にもう一人の自分がいたら

 

"りせ"が俺を見て言うのは、全部そのまま"りせ"のことなんだ。

「んー?」

鏡を見て呟く独り言と同じだ。

だって、俺たちは同じDNAを持つ双子なのだから。

 


――リセ、ハルカ


顔も、仕草も、考え方も、頭の良さも、思想も、心情も、嗜好さえも自分と同じ人間がいる。世界にもう一人"同一の自分"がいる。きっとそれは喜ばしいことだ、私ははしゃぐし歓喜する。

性別は違うけれど心が繋がっている存在。それはまるで自己精神に内在するanimaとanimusの片われが現実世界に出てきちゃったような感覚さえ覚える。

そんな事が、なんでこんなにも嬉しいんだろうね?

きっともう一人の自分なんて出てきたら嫌だって思う人いると思うよ。いやま確かに私も同姓だったら嫌だけど異性なら全然アリ。居心地のいい関係はやっぱり自分と同じ心象風景を持っている人かどうかだから、あるいはそれに近いかどうか。ならば"りせ"のような存在は許容的なのである。

 

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りせとはるかは恐らくお互いをそこまで区別していないように見える。「自分」という言葉を聞いたとき通常私達は"自分一人"を思い浮かべる。けれど二人はそうじゃなくて「りせ/はるか」という2つの精神性によって成り立って「自分」が確立しているのではないんじゃないかな。

もしくはこのスラッシュ「/」(=意味の区別)が無い状態なのかもしれない(りせはるか)←の状態で生きているんだとしたらそれもう最高!興奮する!! 

今じゃ人間さんは命はおろか意見や考え方さえも「自分のもの」にしてしまった。"昔"より今のほうがずっと自分が大切になってきている。「個人」としての確立であり独立である。

いくら性.交をしても抱き合っても議論を交わしても解釈の共有を行おうとも、「1人」を忘れることはできない。そりゃ一時的には融け合うような他者と混ざり合っているような感覚はあるけれどやはりその場しのぎだ。

 

施設の先生が、あまりに俺から離れない"りせ"を見かねて俺と"りせ"を一緒に寝させないようにした。

そして、俺の代わりに抱きまくらをあたがったんだ。

「このままではこの子たちの自我の形成に害が出ます」……と言っていたらしい。

余計なお世話だ。

そもそも、自我って何なんだ?

大人はなぜ、俺と"りせ"の自我を2つに分けようとするんだろう?

俺たちは1つでもぜんぜんかまわないのに……。

 

でも、もし、それが可能なのだとしたら? 

誰かを"喰べる"ことでその存在を自分と混ざり合わせることでもなく、交.接によるその場しのぎでもない「他者が他者でなくなる瞬間」がさくらシンクロニシティにあるんだとすればワクワクドキドキしかない。

分かるかなこの興奮さよ。

 

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"人"がいない世界

 

「出たな黄色」

「だから~黄色じゃないって、キミ、あたしの名前ちゃんと覚えてる?」

――名前?

俺は手首にボールペンで書いた名前をチラ見した。

「うむ」

幸いなことにまだ消えずに残っていた

――ハルカ、浅黄


 この後ハルカは浅黄の名前を間違え、さらには別の人の名前で呼んでしまう。何回も浅黄とは合っているし喋ってるのに全然名前を覚えられない。

これはハルカの世界には、りせ以外いないんだろうね。ハルカとりせだけがいる世界、中心軸はいつも自分たちで他の人は"人"とすら判断されていない。そんな景色。

きっとそれはとても穏やかで、安寧的なものなんだと思うよ。理想と言ってもいい。もしかしたらその理想が――他者がいない世界が――苦しいものへと反転してしまうのかもしれないけれど。

"ここ"ではない何処かとは、おそらくそんな世界なんだと思っている。

 

「お兄ちゃん、ここにいる?」
"りせ"が俺にしか分からない聞き方をしてきた。

 

「ねえ、ここにいる?」

――りせ

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りせがいうこことは現実のことで、ここじゃない場所とは「夢」で「金色の桜」の風景の場所なんだろう。

あそこは、二人が一人で、2つが一つになっている混ざり合っている場所なんじゃないかな。りせとはるかが生まれる前―――まだ二人が一人から分かれる前―――の。

 

いつの間にかここにいた。

柔らかな月影と匂い立つ花霞に包まれて――。

気がつけばいつも一緒だった。

俺たちはどこにも帰る場所がなく――。私達はどこにも帰る場所がなく――。

何かを教えてくれる大人もいない。

ただ足元の泥を踏みしめながら歩くだけ。

意地らしいおどに―――。

この醜さに泣き叫びたくなるほどに。

だけど歩き続けた。

――どうして?

大人になるのを待ちたくなかった

――だから歩いたの?

そうだよ。

この散らばる光の向こうには――。

何かが待っているような気がしたから。

――それは何?

意味?希望?理由?
解答?平穏?愛情?

それとも憎悪?

違わないよ、何も間違ってない。

だけど正しいわけでもない。

だから探しに行くんだ――。

ここが――。

俺たちの"始まり"のはずだから。私たちの"始まり"のはずだから

 
でもなんだろうね。苦しい場所になってるってわけでもないのかもしれない。どちらかというと"丘の向こう側"へと手を伸ばしているような気さえする。彼らは。

そう向こう側。

向こう側に手を伸ばすことに理由はきっと必要ない。

もしかしたらここは「逆」のことを言っているのかもしれないけど。

 

 「キミたちって、まるで別世界から来たみたいだね」

――浅黄

 

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言葉・伝達・コミュニケーションコスト

 

りせ「昨日の桜のところでね」

――オーケー。

待ち合わせの場所だけを決めて"りせ"と別れた。

余計な言葉はいらない。

"りせ"も判ってるから、それだけで去って行った。

――どうしてできないんだろう?

――俺たち以外の他人は。

――どうしてあんな風に話すことができないんだろう?

――みんな、"りせ"のように話せたらいいのに。


コミュニケーションコスト低すぎてにやけてしまう。そうなんだよね、他者とは必然的に「分かり合えていない状態」だからコストが高くなるけれど、最初から「分かり合っている」のならかかるコストは圧倒的に低くなる。


それ故、というかハルカには"人"をうまく認識できないからこそ、↓のように見られてしまうんだろうね。

「あ~~やっと話しかけられたよ~、

 キミって話しかけるなオーラ出てなくない?」


――紫

 これって意図的にオーラを出してるわけじゃなくて、そもそも「見ている世界」「存在している世界」がハルカと周りの人間は違いすぎるので、そう感じられちゃうんだろうなあ……。なんか断絶ありますねえキミぃ? って。

 

それと人間は社会的背景やその環境の文脈に則って話している。その文脈を掴めないで話していると言葉がスレ違っていっちゃうんだけど、ハルカにとってはクラスメイトという相手、学生にとってホームな場所でもアウェイなんだなあと感じる。

 

「レモン竜田揚げだよねー!」

「う~ん、可愛い子だね~」

「お前はどうなんだ?」

「えっ、あたし!?」

「あたしはそんな、か、可愛いって感じじゃないし……」

「は?」

「まあいいじゃん、あたしのことは!気にしない気にしない!」

買い物のことを言ったのだが、通じなかったようだ。


 アウェイっていうとちょっと違うんだけどさ。

 

 

 

名前と早咲

 

「神代くん、そろそろこの学苑に慣れた?」

食後の昼休み――。

俺に話しかけて来た2人の内の、髪の長い方がやって来た。

「ちょっと待て」

「え?」

「ダメだ読めない」

手首にメモった名前を確認したが、さすがにもう消えて読めなかった

「2日も残ってたら逆に嫌だよ」

――早咲、ハルカ

 
たしかに嫌だ。名前覚えてくれるのは嬉しいけど、なんでだろうね、ああこれもあれか「名前さえ」も自分のものだからだ……。

だからそこに自我を見出してしまった相手が自分に接続されている感覚を思い描いてしまって嫌悪感に変わってしまうのか。

 

 

「サン、ニイ、イチって言うから、そしたら言ってみて?」

――早咲

 

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なにこの可愛い人。深くにもにやけてしまった。こういう意味のないよくわからない、でもなんか"繋がって"いるやりとりいいなあって。

 

 

 

 

間引き

 

「うん、育ちすぎたところは落とさないと、他が育たなくなるから」

「間引きってやつか」

「いい花を咲かせるためには、仕方ないんだよね……」

栄養の取り合いで全体が枯れるより、少数だけを残してちゃんと育てる――か。

それも自然の摂理なのかな?

――早咲、ハルカ

 
間引きって自然の摂理的にはどんな扱いなんだろ。

「いい花」を咲かさなければいけないのは人間の都合なんだけど、植物たちにとってはたくさんの花を咲かせたほうが花粉受粉おしべとめしべで次世代の子孫たちを繁殖させるほうがおそらく理に適ってるはずなので「間引き」っていうのは彼らから見れば"不自然"だったりするのかなとか考える。

 

 

 

言い直す

 

「遊びに行っちゃダメ?」

→歓迎するよ

「歓迎するよ、知ってる顔なら気楽だし」

「う、うん……よかった」

「……?」

何かちょっとアレな巻jいだったので言い直してみた。

「早咲が来てくれるなら嬉しいよ」

「え!」

「あ……えっと……」

今度は喜んでる。

「ありがとう……」

これでいいんだ……。

こういう風に言えば、人は喜ぶ。

バカみたいだけど、今、初めてそれが実感できた気がした。

 

こういうのすごい楽しい……。

なんか生きてるって感じするよね。伝達と反応の繰り返しはそれだけで楽しいんだけどそれが蜜になっていくとQOLが上がる気がする。

 

 

 

りせが見ている夢

 

"りせ"が見ている『昼間』が夢で。

あの金色の桜が本当の昼なんじゃないか――って。

ずっと見ていたい。

夢から覚めても、またあの場所に行きたい。

叶うなら、あっち側の世界にずっと……。

――たぶん、それって。

――"りせ"になる前のものだよ。

いつもの声が話しかけてきた。

――俺たちはいきなり生まれてきたわけじゃない。

"りせ"の中にいる誰かの声。

――大昔から……何万年も前から受け継いできた。

――俺たちという形を作るための情報。

お兄ちゃんに似てるけど、お兄ちゃんじゃない。

たぶんこれは"りせ"の中に残ってる『お兄ちゃん』なんだ。

――あの夢はそこに紛れ込んだ記憶の断片。

――俺たちになる前のものが見ていた世界だよ。

じゃあ、あれは本当に在るの?

――それはわからない。

わからない……。

――でも、あれの想いは強すぎる。

――囚われてしまってはダメだ、また戻れなくなる。

そうだね……。

それでお兄ちゃんに心配かけちゃったもんね。

(りせ)

 

まだ生まれる前の世界ってどんなのだろう。言葉がない世界を、言語で構築させていない世界とは果たしてどんなもので、どんな景色なんだろうか。

あの金色の桜の世界にいるのは「男」と「女」だ。それをりせは『お兄ちゃんの断片』だって言う。繋がってる。✓

 

 

ふたつにひとつ

 

お互いひとつのままがいいのか、それとも分かれていたほうがいいのか選ぶことになる。

「ひとつがいい」「分かれていた方がいい」

ただ生きるならば、生きて助け合うならば絶対的に分かれていた方がいい。役割分担をして力が突出しているものが片方が補えばいい。出来ることが増え、選択の幅が広がってゆく。

でも私はひとつがいいなあ……。"混じり"合っていたい。

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ねー。

 

 

おわり。

 

発売は2015/02/27とのこと。つまり一週間後!

 

 

 

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