猫箱ただひとつ

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「書く」こと

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目を瞑れば居なくなった人とも会うことが出来る。

死んでしまった人、別れてしまった人、そんなもう自分の側にいない人たちに会うことが出来る。幻視し、自身に内在する心象風景に手を突っ込み体感する、ああここに"い"たんだなと。そんな時私達は「現実」とか「虚構」とかいう境界線は取り払わているような気さえし、そこに明確な差異や優劣は消失しているようにさえ思う。

瞼を閉じた先にいたのは、

 

早希には会えた?

――瀬戸 紘子 (四月は君の嘘)

紘子さんは問う、お母さんには会えた?と。
公正は答える、お別れしてきましたと。

現実側から覗くと公正はただピアノを弾いていただけだ。けれど彼はピアノという手段によって、もう死んでしまった母親に会い、さよならをした。「書く」ことは瞼を閉じる以上の方法なのかもしれない。

佐為・・・?
この打ち方・・・あいつが・・・・あいつが打ってたんだ、こんな風に・・・。

・・・いた。どこを探してもいなかった佐為が・・・。こんなところにいた・・・。

佐為がいた・・・。何処にもいなかった佐為が・・・。

オレが向かう盤の上に、オレが打つその碁の中に、こっそり隠れてた。

おまえに会うただひとつの方法は、打つことだったんだ・・・。

佐為・・・オレ・・・打ってもいいのかな・・・? 伊角さん・・・オレ、オレ、打ってもいいのかもしんない・・・碁・・・。

打つよオレ。これから何十局でも、何百局でも、何千局でも!

――進藤ヒカル(ヒカルの碁)

ヒカルもまた碁を打つという行為によって、失われてしまった佐為をそこに見出す。あんなにも探して、でもどこにもいなかった佐為が実は自分の打つ盤上にいたんだと気づくことになる。

それはきっとヒカルが唯一、佐為と出会う為のもの。だから彼はこれから先、何千局でも打ち続けるだろう。

懐かしい人に会うために―――。

 

「我々は忘れない。けれど、今を、生きるためには、復讐に囚われ続けては進めない。平穏は訪れない」

「自らのうちにある、無念を、義理を、けじめを。いくつもの、心を、殺しながら……何食わぬ笑顔を浮かべて、生きなければならないときがある」

「それが大人というものです。社会に生きるということです」

「それでも、どこかで忘れてはならない。実生活の中で滅び去るしかなかった者達を、せめて観念の世界で生かし続けたいと思うから」

「だから私達は、この劇を作り続ける」

――宮棟

宮棟もまた劇を作ることで、もうどこにも居ないあの人たちのことを思い出して、会ってるんじゃないかなって思うんだよ。彼女も劇を作るという行為を通じて、きっと旅をしている。

失い、喪われ、無くして、壊れて、バラバラになった世界から、在りし日を、そしてそこから通ずる延長線上の世界を取り出すには「書く」ことしかありえない。

あの幸せだった日々を、大好きだった人たちを、透明な空を二人で見たあの瞬間を。そして懐かしい人達に出会うために私達が出来るのは「書く」ことだけだ。書いて書いて書いて書いて書くしかない。頑張ってぼろぼろになって弱音を吐いてうじうじして立ち上がって転んで痛くて泣いてでも「書く」しかない。

そして、そこで、彼らと出会う。そして話し、喧嘩することだってあるかもしれない。恨まれ呪われることだって、お別れを言うことだってある。笑いあって冗談を言うことさえあるんだ。

私達は「書く」ことで、旅をしている。


"さあ、旅に出よう"

 

 

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四月は君の嘘(8) (講談社コミックス月刊マガジン)
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ヒカルの碁完全版 1 (愛蔵版コミックス)
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