猫箱ただひとつ

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フリーゲーム『Reincarnation』を考察する

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記事の内容

フリーゲームRPG『Reincarnation』をやってみた

・それの考察

・4481文字

 

 

Reincarnationとは?


まず『Reincarnation』とは、少女を仲間にして敵と戦うフリーゲーム。大まかな内容は普通のRPGと思ってくれて構わないのだけれど、少し違うところもある。

それがReincarnation自体の「雰囲気」。それと明かされていく「物語」の2つだ。雰囲気はお伽話の中を歩いているようなふわふわした感じで癒やされる。これは実際にやってみない分からないと思うけどふわ~ってほわ~ってなる。

絵の雰囲気と、音楽のメロディの良さがそんな気持ちにさせてくれる。

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次に物語のほうだけれど、一周目だとんん?って感じだと思う。*1最初はなにが起きているのか、何を話しているのか、誰の為の物語なのか全然分からない。けれど二周目に入ると物語の全貌が明らかになりああこれはこういう物語だったんだと納得できるようになっている。

私はこの2つの部分がとても心地よかった。好き。とくにこれは私が愛してやまない領域である『心象風景』の要素が多く散らばっているのだから。

しかしRPGとしての戦闘は単調であり、戦略性は皆無。魅力的なものではない。なので雰囲気が好きな人や物語性に興味がある人におすすめしたい。一度やってみて。

ちなみに戦闘システムはこんな感じ↓

見覚えがある感じに簡単。

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先述したとおりにこのゲームは周回プレイすることで物語の全貌が明らかになると言った。けれどもネット上で感想を漁ってみるとよく分からなかったという人も散見できるため、もしかしたら人によっては少し難しいお話なのかもしれない。

(とはいってもやっぱりそんな難しい話ではないとは思う)

そんなこともあり、私なりの『Reincarnation』の考えを書き記したい。もしこのゲームをやって分からなかったり、あるいはここの管理人はどういうふうに"視た"んだろうって気になった人は読んでくれると嬉しい。

ではどうぞ。

 

 

 

Reincarnationを考察

 

2周目をクリアした際に「伊状香織」という女の子が存在することを知ることになります。そして彼女に起きた学校生活、いじめ、不登校、心を閉ざした理由……それらをまずは振り返ろう。 

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Reincarnation2周目で少女を倒すと、今までみたことのない部屋に飛ばされ、今まで戦って敵、あつめた仲間たちと話せるようになりましたよね。

あの部屋でメモリアという少女と話すと「貴方のこと、私たちのこと思い出してみる?」と選択肢を迫られここで「はい」を選ぶと、伊状香織という女の子のメモリー(記憶)を見ることが可能。

この記憶では、伊状香織という女の子がオンラインゲームにはまったこと、そしてその世界で存在するもう一人の自分に憧れはじめました。正義感が強く、気高い精神を持ったオンラインゲームに存在するもう一人の自分―――エリエール。

伊状香織はもう一人の自分(エリエール)に憧れたため、学校でいじめられている子を助けようとした。今までイジメを見ないフリをしていた自分はもうやめて、エリエールのように勇気ある人間になろうとしたのです。

しかしいじめに介入したことをきっかけに、今度は逆に伊状香織自身がイジメられてしまいます。学校ではチョークの粉をかけられ、水をかけられる毎日。一日が終わったとおもえばまた朝になり学校へいくことになる終わらぬ日々。

だからReincarnationの世界では「月と太陽」が敵なんです。伊状香織にとって朝と夜がこなくなれば学校での嫌なことは起きなくなりますから。

サンタクロースという人に夢を与える存在、人魚という伝説、アリスというお伽話もまた「月と太陽」と同じく彼女にとって苦手な存在になってしまったんでしょう。夢を見て、夢への代償に傷ついた彼女だからこそ忌むべきものとしてしまった。(他の敵である幽霊や雷神さまは、単純に考えて"怖い"っていうだけだと思います)

イジメが熾烈になり、とうとう学校に行かなくなり自分の中に閉じこもってしまった伊状香織。そんな彼女を見かねたのがメモリアでした。伊状香織の記憶を管理しているメモリアは、退屈だったのです。

何も記憶されることのないこの状態が。

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それを打ち破るためにメモリアはあることを思い付きます。再び彼女の【希望】を起こすことができれば彼女が再び新しい記憶を作ってくれるのではないかと。(つまり伊状香織が自分の世界に閉じこもることをやめて、外の世界に歩いてくるれるのではないかとメモリアは考えたのです)

アンジェリカを連れシャルルを連れて、伊状香織が胸のおくそこに隠した【希望】を集めていきます。オリビアにクララにコーデリアに、リオに牡丹などなど……。

そして旅の果てに少女――伊状香織――の元へと希望が集まります。

希望は少女を倒し、少女は希望にまた夢をみて、自分だけの世界に閉じこもるのをやめます。再び外へとつながる扉を開き幕を閉じます。そうですそれでReincarnationは終わるのです。

…………

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……

そしてメモリアが記憶の管理人ならば、マレーバクは夢の管理人です。マレーバクを倒した先にいる「謎の少女」は伊状香織のトラウマであり憎しみであり、ハートの女王はちょっぴりの悪意……。アンジェリカ達は少女の胸に秘めた希望。

つまり

―――『Reincarnation』とは、少女の心象風景そのものの物語なのさ。

 




クリスタルの少女は伊状香織の気持ちそのもの

 

スタート画面で選ぶ魔法使いや狩人、そのあと仲間になる女の子達は「伊状香織」という少女が作り出した希望そのものだ。彼女の希望、願い、気持ち、がそれぞれクリスタルの女の子として具現化した姿を取っている。

・廃墟と化した城を守るクララ

・眠り姫であるロゼ

・未来予知を可能とするオリビア…etcetc

そんな数多の少女を仲間にするとメモ書きが見ることが可能になる。これは一見意味不明で不可解な内容だけど「伊状香織」に関するものとして読むことで理解できるようになる。

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アンジェリカ1周目のメモ。

"アンジェリカ一人で生きていけるから誰の意見もいらないわ"という部分は、伊状香織が学校でいじめられ心を閉ざしている現状と酷似するものがある。友達なんかいらない一人だって生きていける。お母さんもお父さんも近所のおじいちゃんも……もちろんクラスの連中の意見なんていらないよ。ってそんなふうに。

 

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リビア二周目メモは、『隕石の衝突を見た』を学校で虐められるほどの事件があったと読み替え、『1つだけ分からないことがあった。それは人の感情』をクラスのみんなの気持ちが全然分からないよっていう伊状香織の想いとして読めるんだよね。

 

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牡丹二周目のメモは、学校で無視されているという現状として読むことが出来る。牡丹はここにいるぞと叫んでいるのに、誰もが見えないフリをしている。ここの言葉はそのまま伊状香織の現状と置き換え可能。

 

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今までは二周目のメモを扱ってきたが。ここでポーラ1周目のメモを見てみよう。

そして次にポーラの二周目メモを見てみる。

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一周目のメモである「私」と一人称はそのクリスタルの少女たちそのものを示している。ポーラ1周目のメモであれば『私の世界はそこからそこまで』と言っているのはポーラ自身ということだ。

二周目のメモになると「彼女」という二人称が文章中に入ってくる。これは伊状香織から見たポーラのことを言っていると推測できる。

つまり2周目のメモの上段である『井の中の蛙は大海を知らない。家と学校を行き来するだけの私はそれ以上の世界を知らない』というのは伊状香織の気持ちということだ。

つぎに下段の『もし彼女がそうだったとして』という部分は、ポーラが海を見たとしたらどうするのかな? という意味である。

ここから推測できるのは一周目のメモは「クリスタルの少女達のこと」を示し、2周目のメモは「伊状香織から見たクリスタルの少女達」を表しているんだと思われる。

クララのメモ書きはちょっと難しいけれど、これに則ればそんなに難しくはないと思う。

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クララという騎士は、以前に栄えた城を朽ち果てても尚守り続けている少女だ。一度「城を守れ」という命令を愚直に実行し続けている存在。

そんなクララという概念と、伊状香織の気持ちは通じるところがある。

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伊状香織もまたクララのように『一度命令されたことを愚直に守り続けている』んだろうし、そしてそれを守り続けることでとてもみじめな気持ちになっているのだ。

それはなにか? そう学校に行くことだ


伊状香織がイジメられている子を助けなければ、彼女の学校生活は退屈ながらも平和だったのだ。それは怠惰ながらもとても幸せだったに違いない。しかしそれはとうの昔の話。

栄華を究めた国もやがては滅んだように、平和だった学校生活も消滅した。伊状香織が好きだった生活は無味乾燥な廃墟へと置き換えられた。

なのに、それでも、まだ、学校に通い続けているという己の愚直さ。一度教えられたことを守り続けているという盲目さ。

"常に誰かが私に命令をしてくれるなら 私はこんな思いを抱くことなど無かったのに…"

それがどうしようもなく哀れに思えて、かつ自分と同じ境遇にいるクララがどうしようもなく憎いと言っているんだ。


―――こんなふうにクリスタルの少女のメモは、「伊状香織」を通して読み解ける。よかったら牡丹やリオのことも読みといてやってね。

 

おまけ・エリエール


エリエールだけは本当に特別な存在。一周目では「クリスタルの少女」たちを示しているのが通例だけれども、エリエールに限っては一周目では伊状香織の気持ちが真っ先に描かれている。

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―――助けてください。どうかどうか。

しかし自分の中に呼びかけてみたところで、現実には何も起きなかった。そしてそのうち伊状香織はエリエールに打ち明けることすら忘却の彼方へと押しやってしまったのかもしれない。

 

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そんな伊状香織の気持ちを慮るように2周目のメモでは、エリエール自身の気持ちが打ち明けられている。伊状香織に宛てられた、想い。

 

 

 

 

おわり


『Reincarnation』を知ったのは青二才さんのこの記事で。

フリーゲーム「Reincarnation」で…泣いた。 - 言いたくないけど、僕が青二才です

私はあまり積極的にフリゲを開拓するわけではないので、こんなふうに面白いフリゲーを毎週紹介してくれるのは助かります。わくわく。また何か目ぼしいものがあったら是非やってみようかなと思っています。にゃふにゃふ。

 んでは、またね!

 

(それとアンジェリカを見ていると霊夢魔理沙を彷彿してしまった、なぜにー) 

*1:ああでも私は一周目でこれがどんな物語なのか感づいてしまってちょっともったいなかったなって思いました