猫箱ただひとつ

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ソードアート・オンラインII・13話。もうひとりの自分(1624文字)

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だからってもうどうにもならないよ……

―――そんなことないよ


今回は100%自分用です。

 

 

 現実と仮想世界がリンクする時

 
シノンはどうしようもない現実に直面し目を瞑った。私が観ているのは現実じゃないと言いながら、自分から現実とのリンクを切断しようとしていた。

もうなにも見たくない。感じたくない。

きっと、こんなのは現実じゃない。
きりと
せっかく助けてもらったのに無駄にしちゃってごめんね……

(ならいっそログアウトしたら俺がそっちに行こうか)

もし本当に来たら今度はキリトも危ない

だからって

もうどうにもならないよ……

―――そんなことないよ

私たちは今までずっと自分しか見てこなかった。自分の為にしか戦わなかった。

でも
もう遅すぎるかもしれないけど
せめて最後に一度だけ誰かのために戦おうよ

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仮想世界で作った自分が、現実世界の自分を引っ張りあげようとする構図。虚構の力が現実に力を循環させるそんな図。自分の心に常に存在するもう1人の私。内在化。内在化したもう1人の自分が、もう1人の私を助けようとしてくれる。

―――もう遅すぎるかもしれないけど

そう言いながら、あと少しだけ頑張ろうよって。あともう少しだけ戦ってみようよって手を引っ張っててくれる。

ああ、それはなんてありふれた光景なんだろうか。

勇気を出せ。現実から逃げ出すな。俺たちが付いている。
俺たちは無敵だ。今なら俺たちは飛び出せる。

「うん…………そうだね……」
「わかった」

僕は――――俺はおもてを上げた。

靄が晴れた。いかにも都合よく遮断されていたタカシの記憶が剥き出しになり、俺は唇を震わせながら尻込みした。
しかしその傍らで、俺や俺が俺を支えていた。

「 自分の中にいるもう1人の自分」と会話したり、支えてくれたりっていう経験は私にはない。変わりに内在化されたいろいろな人、いろいろな人生によって触れ合ったり会話したり疑問に答えを提示してくれるっていう経験はよくある。

「なんで生きてるんだろ?」

「そんな問いを思いついた時点でお前は相当に不幸だよ」とか。

真冬に外に出てみる。思いの外寒くて肌がじんじんしはじめると「ねえ、生きてるって感じしない?」って里香の言葉が聞こえ「確かに」と納得する。確かに真冬の空気は、自分という肉が外界と内界の境界線をはっきりさせててしまうものだ。普段曖昧な「生」に実感が伴ってくる。白の黒のコントラストのようにくっきりと生が浮かび上がる。

そしてふと自殺願望の少女に向かって「生きてるだけで楽しいもんだろ」という朝霧海斗の言葉を思い出し、いいやでも「生きていればいいなんてあるわけがない」というEVER17の意味も蘇る。

そんなふうに入れ替わり立ち代わり「自分の心に常にいる存在」(というと大げさだけれど)が自分を引っ張ってくれたりあるいは停止させたり思考を手伝ってくれたりする。そういう実感は確かに私にも感じられる。それが良き存在ならば、仮想世界シノンのように現実世界のシノを引っ張ってくれることも十分あるよねって思う。

心の中の宝箱にたらふく"大事な物"を詰め込みながら人は生きていくんだろう。そんな気がする。そして心の中に"大事な物"がなかったら、ある日ふと生きることをやめてしまう。

シノが現実からログアウトしようとしたときに、シノンがいなかったらおそらく彼女はそのまま無抵抗に最悪な現実を受け入れていた。死か強制的な交接のどちらかを。

人生の宝物を探しに行こう―――

そんなフレーズが頭を過ぎった。

 

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