猫箱ただひとつ

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『結界師』最終巻・感想。7年間有難うございました!!(2379文字)

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結界師 (1) (少年サンデーコミックス)

 「結界師」は、サンデーで連載が始まった頃から買い続けていたマンガだったりします。
……とはいっても15巻くらいで買うの止めてしまってんですけどね。そこからは人から借りて読んだりしてて、先日ようやく最終・35巻を読了しました。


もう、すごい良かったです。

この35巻はひたすらに涙腺にくるもので、読みながら泣き続けるという自体に自分でもびっくりしてしまいましたよ全くっ! 

特に、

 

良守が宙心丸に彼の秘密を明かしたこと、
・宙心丸が自分の意志で外の世界に出ないことを決断してしまったこと、
良守が"真界"で夢の世界を創造していく瞬間、そしてそこで、志々尾を形作ったこと、そこに良守自身の分身もまた寄り添うように添えたこと。

・そんな"夢の世界"を見て、宙心丸が笑っていたこと
良守のお母さん・守美子さんの「心象風景」が理解できてしまったこと
守美子さんが旦那に宛てた言葉の数々……


そんな一つ一つが涙腺にきてしまって、目がぐちゃぐちゃになってしまう。

みんなの笑顔とか、良守の優しさとかが胸に沁みて、あーもう!!って嗚咽を殺しながら泣いてました。子どものときはあんなにも大声でわんわんと泣けるというのに、なぜ声を殺してしまわないと泣けなくてしまった自分を少し悔しく思いながら。

(もう志々尾が真界で出てきたときは、もう私のMPがボロボロですよ……あれはずるいずるいよ;;)


以下、最終巻の雑感です。

結界師 35 (少年サンデーコミックス)

 

 

守美子さんが見ている世界は、あれはまさしく"凪世界"だよね。

彼女のいる世界では、心の海に小さな波紋を打つことくらいならあるかもしれない、でも水面が波打ったり、水平線を大きく崩すことは決してない。それはつまり大きな歓びも感じることがなければ、強い憎悪で身を焦がすこともない場所に身を置いていることに他ならない。


―――どこまでも平和で、静かで、でも寂しいそんな心象風景。

―――"好き"が消失して、"価値"が損なわれた、そんな世界。


それが墨村守美子って人なんだと私は思います。

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だから彼女には「人の心」の機微がよく分からない。人の心というものをよく理解できない。感情がないとまでは言わないけれど、とてもとても希薄なんだよね。

心が大きく波打ったことがないからこそ、怒り、嬉しいという大きな感情がよく分からない。

そんな守美子さんが、"誰かの為"に、"子どもの為"に、動いているところとかさ……そんな壊れている自分を客観視している様子とかさ……もう無性に泣けてくる。

……大丈夫、大丈夫だよ。欠陥製品でも、この世界は、そんな悪くないんだってボクたちは知っているんだもの。ねえそうでしょ?
…………
……


良守が宙心丸に「お前が外に出てしまうと、多くの人間が失われてしまうんだ」ということを話したところが大好き。

何故ならあれは宙心丸を"人間扱い"したということだから。

もしあのまま何の事情も説明しないまま、良守が彼を完全封印してしまったとしたら、それは"物"と同じ扱いでしかない。宙心丸という存在が邪魔だから、迷惑だから、物置に仕舞うように扱っているだけにすぎないから。

でももし、宙心丸という男の子に――烏森に――彼が知り得ない秘密を説明したならば、それは「彼の人生を尊重した」ということになると思うんですよ。

彼自身がどう生きて、どういう選択をするのかを良守は委ねたということになるのですから。

……

宙心丸が自分の力の秘密を聞いたあとで、「外の世界に行きたい」とか「外の世界を壊したい」と思ったら、結界師としての良守としては、非常に迷惑だろう。そんなことをしてほしくないから、今まで皆で身を削って頑張ってきたのに。

でも違うんだよね。そうじゃない。

それは結局のところ宙心丸なんて、邪魔者にすぎないという認識でしかない。だから良守が、彼を"自分と同じように"、"人間扱い"したいのならば、宙心丸が全てを知った上で「選択」をさせることが重要になってくる。

もしそれで「外の世界を壊したい」と願ったとしても、それはそれでいい。

その時は良守たちは全力で宙心丸を説得するか、あるいは滅さんとするだろう。でもそれと、相手を尊重することはぶつからない。例え後に排除する敵になろうとも、相手を想うってことはそういうことでしょ?




カケルが「俺はもう生きている価値なんてない、もう死にたい!」みたいなことを叫ぶんですけど、そんな彼女に向かって一号が「私はあなたが居てくれると嬉しいです」と言う場面がもう

もう!!ってなった(涙)

カケルはきっと一号の偽りのない本心によって、救われたと思うんですよね。生きる動機が欠損してしまった人に、そんな人が今まさに実存が失われていくその時に、「相手に自分の心を重ねて」「あなたがいてくれると私は嬉しいです」と言えるような人間になりたいって本気で思いました。

そうだよ、私はこういう人間になりたい。

打算で相手の心を動かすような言葉を吐く人間じゃなくて、ただ、自分の気持ちを素直に、言うべき場面で言える人間になりたいと。

何か能力があって誰かの為に立つとか、自分の力を活かして誰かを導こうとか、助けようとか、そういう事じゃなくて、そんな事じゃなくて

自分の優しさを祈るように相手に捧げる奴になりたいと――――。


カケルめちゃめちゃ嬉しかっただろうなあ……って思うとうるっとしてしまう;;


おわり

結界師を読んでてやっと分かったのが「物語ってそれそのものが"祈る"もの」だったんだっていうことです。

物語そのものを、応援(=期待という意味では決してない)できるからこそ、涙を流せるってことですね。これを実感と理解できたのはかなり大きな前進です。

 

あーもうほんと35巻は良かった。こういうものにまた出会いたい。


んじゃまたねー。

 

<参考>
結界師 コミック 全35巻 完結セット (少年サンデーコミックス)
結界師 コミック 全35巻 完結セット (少年サンデーコミックス)