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「ひこうき雲の向こう側」体験版感想_これは俺の物語なんかじゃない(5903文字)

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だからこれは、

これは、

これは俺の物語じゃない

   

  プレイ時間   4時間
  製品版を買いますか?   あとちょいで買いたかった心境

公式HP│ひこうき雲の向こう側

 

 

 

ひこうき雲の向こう側」のポイント

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平凡な萌えゲーだと思いきや、もしかしたら全然違う物かもしれないという印象を受けた。
(序盤だけじゃよく分からないので体験版最後までやり切ると評価逆転するかも)


学校一可愛い生徒会長から告白されるところから物語は始まる。


では、以下感想です。 

 

 

 

 

 あボクっ子

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「……ボクじゃなく瑛莉が言った」

――いろは

 
ボクっ子すごい久しぶりだーって気がした。懐かしい感慨を覚えてしまうのは何故だろう。私の中だとひぐらし梨花ちゃまが……いやさすがにこれはフルすぎか、もうちょっと前にボクっ子居た気がするけれど思い出せないくらいに結構前だった気がする。


 

 

感受性が高いってこと

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『ポチー! ポーチー!』
『わんわんっ』

「がんばれ! 走って、走るのポチー!」

「見てお兄ちゃん! 走ってるよ。足の悪かったポチが走ってる!」

――美奈

美奈の感受性の高さに恐れ入る。そして父親と母親ともどもわんこの映画で号泣していた。それを見ていた兄は「なんて感受性の高い家族なんだ……」と愚痴っぽく語っていたのが印象的だったっけ。

よく映画を見ていて隣の人の腕や服をつかんで「あー!!そこじゃないよー!!」とぶん回す人いるけど、(そういう人は稀有だとしても、映画に向かって叫んだりする人ね)、あれってもうすごい感受性が高い人の特徴なんだよね。

映画で誰かが殺されそうになったら本気で怯えて(←何故なら自分が"殺される"感覚を共有しているから)いるのもそうだし。悲鳴をあげたり寝中ゆえに怒鳴ったりするのって、男性では中々みないのも特徴。



カレーの歌

朝、母さんが夕飯用のカレーの支度を始めたのを見て、美奈はややテンションが高い。

カレーの日は~♪ 大好きだ~♪

「……」

「待って待って。もう歌わないから」

 

――美奈、こうじ

 

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通学途中なので、カレーの歌というへんちくりんな歌を大声で歌うっていうのはそれはそれは奇異な視線に晒されるものだけれども、でもここは美奈と一緒に歌うほうが何倍も楽しいなと思った。

こうじはすごい嫌がっていたけれども、でもこれくらいの倫理なら超えてもいいんじゃない?と。

誰かが楽しんでいて、自分だけ冷めてるのってとてもつまんないし、なによりカレーの歌を歌いながらの登校はその日一日楽しさ貰えそうな気がするよね。

 

 

この子さらりとおかしなことを口走るのだ

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「よもやまの話に聞くところ、ミーナは朝もお兄さまと一緒に登校するはず」

ミーナを付け狙う、変態ストーカー野郎でなければ、お兄さまでよろしいですか?」

――綾

この子とほとんど初対面にも関わらず、朝の挨拶で「変態ストーカー呼ばわり」できるその胆力、恐れいりましたっ。どうも綾ちゃんの言動って「冗談」に聞こえないよねー、もう殆ど本気で言っている感じがブンブンして軽く衝撃を受ける。


ミーナを付け狙う、変態ストーカー野郎でなければお兄さまでよろしいですか?

はい。

 

 

なんて退屈な毎日なんだろう

 

「これだけ結果残したのにつまんない。満たされないの」

「……」

「ほんと退屈」

――瑛莉、こうじ 

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勉強も常にトップで、友達も多く、運動もこなせてしまうオールラウンダーな女の子瑛莉。

何も出来ないことは無力感に繋がってしまうのだけれども、何でも出来てしまうっていうのもまた無力感に繋がってしまうのかもしれない。

それも「簡単に」出来てしまうことがよりその気持を増幅させる。努力して、なにかを頑張って、勝ち取った結果ならば満たされやすい。

けれども歯を磨くように、朝食のパンを齧るかのごとく、"なんでも出来てしまった"ら、それは万能感から虚無感に転落してしまう。

「恋がしたい」

――瑛莉

だからそんな瑛莉が、手が届きにそうにない、もしかしたら勝ち取ることができない『恋』を欲しがるのもすごくよく分かる。


 

メロンパンを素手で掴む女の子って・・・

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このいろはの行動に一瞬目を疑った。

メロンパンなんていうベタベタする食べ物を、素手で掴んでいるだと?……。

そう彼女はメロンパンを手で掴んで食べていた。包装紙を投げ捨て(?)たのかは分からないが、手で、手で、触っているのだ。これが驚かずにいられるか!否!(反語)

多分これは彼女なりのルールみたいなものがあるのかもしれないなーなんて思ったり。あるいはそういった私では「後で手を洗う」という非効率的なことを、いろは楽しんでいるのかもしれない。ベタベタする手とか、メロンパンをそのまま触ることの面白さみたいなのを。


そんな一挙手一投足は、彼女なら全然不思議じゃないとそう思える。ふむふむ。

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メロンパンに旗が刺さってるのって、かなりシュールっすなw

 

 

 

楽しいことは疲れるってことだ

 

「楽しい子だけどさ。楽しいことは疲れるってことだ

――康司

 

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なるほどー確かに

 

 

 

 

これは俺の物語じゃない

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俺はもともと、佐藤さんみたいな特別な子に告白されるようなタイプじゃない。


そんな特別な場所に立つ人間じゃない

だからこれは、

これは、

これは俺の物語じゃない

――康司


なにか突拍子もないことが起きたり、今までの日常とは別の日常の可能性が示唆されてしまったり、特異点的な出来事に遭遇してしまったとき

 

―――俺はそんな特別な何かに出会う人間じゃない。だからこれは俺の物語じゃない

 

そう言ってしまうのかもしれないなと思った。康司は。

もしそうなら彼は「自分の物語」をもうすでに決めてしまっているということになる。

自分がどう生きて、どういう変換点があって、こういう道のりを歩んで死ぬ結末を描いているからこそ、それとは"逸れた"ものに出会うと「俺の物語ではない」と言ってしまうんじゃないか?

あと自分の人生を、物語として観るのってなんとなく「壮大な物語に自分を置いている」っていう気がしてならない。

 

そう、悲恋の、

絶対に叶わない恋の物語に。

 

 

人生を賭けて欲しかったもの

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もうじき……人生賭けて欲しかったモノが手に入るかもしれないの

――瑛莉

 
人生を賭けてまで欲しいもの―――ああそれはなんて"強い動機"なんだろうか。 

生きていて何かしら"満たされない"情念を有す人間はこういった「強い動機」を生み出しやすいと思う。逆に満たされた生活を送っている人には、人生を賭けてでも欲しいもの、叶えたい願い事というのは湧きにくい。

飢えるから、乾くから、満たされたいという欲求が生まれる。

しかしそれは"痛かった"から、"苦しかった"から、生まれるものなのだとしたら幸いなことなんだろうか? 強い動機を欲しい人っていっぱいると思う。でもその生成過程がある種の不幸から成り立つものだとするのならば……、私はあまり素直に喜べそうにない。



恋のおまじない

 

瑛莉「女の子が使っていたのは、八角堂のもちもち消しゴム(ピンク。さあ恋するあなたもレッツトライ!)

康司「CM下手だな」

女ってこういうおまじない好きだよな

 確かに。こういうおまじない好きだよね。

例えば、二の腕に好きな人の名前を彫刻刀で"掘る"っていうやつ。実際にその掘ったあとを見せてもらったのだけれど、20年経っても二の腕に"当時の好きだった人の名前"が残ってしまっていた。これはまさしく「リスクを賭して奇跡を叶えようとする魔法論」と同じなのでちょっとワクワクした。

それにしても、おまじないはデンジャラスっですが。

 

 

 この子面白いなあ……

 

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「まあ持てるとは思うわよ? 私の作った『美汐瑛莉』は、誰からも好かれる子だと思うわ

――瑛莉

 ここまで自分を客観視できるっていうのが凄いと思うし、怖い。そう怖い。「キャラ作り」っていうのは精巧に作れば作るほど、品質を上げれば上げるほど、本来の自分から取って変わる存在になってしまうから。

少しづつ少しづつ
ちょっとづつ
ちょっとづつ

本当の、自分が消え去っていく。

瑛莉の場合は、「恋をしたい」という願いの為の「実験」として学校での瑛莉を作り上げたように見えるけどね。


「何をやっても簡単だった。でも何をしても満たされなかった」

「残るのはこれだけなのよ。恋愛をしたいの。旨を締め付けられるような、強烈な奴が」

「それは……前を聞いたけど」

「ところが私、これの才能がまるでないのよ」

――瑛莉、康司

瑛莉の欲求はこうも言える。


―――もっと生きている感覚を実感したい。


と。満たされていないから満ちたい、乾いているから潤わせたい、そんなふうに。


 

恋の純度を求める瑛莉

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「でもダメね。どれもくだらない慣れ合いばっかり。ちょっと試練を与えればすぐ挫折する


みんな足りてないのよ。ただ漠然と好きだ嫌いだ言ってるだけ。心の底から誰かを好きになってない

私にを教えてくれない」

――瑛莉

 
あー……そうか彼女は"こっち側"の人間か。本当の恋、本物の恋であると"されてい"るそんな強烈な情念を感じたいだけなんだ。見て触れて実感したい。ただそれだけ、それだけが瑛莉の願い。

生半可な恋じゃ我慢できない、中途半端な恋愛ごっこはもう見飽きた。もっともっともっと!!!純粋で純情で純白の恋が見てみたい。きらきらとしてて、でもマグマのように熱く滾り、砂糖菓子のように甘くとろけた―――そんな"本物の恋"を。

ニセモノじゃなくて、紛い物でもない、本物の恋?

でもそんなものってあまりお目にかかれない。


だってそうでしょ? 初恋を10年以上大事にしている奴とか、叶わない恋を捨てきれず所有している奴なんて滅多にいないもん。

そんな本物(狂った)恋なんて中々見つからない。


「妹ちゃんに恋してるくせに。狂ってるくせに、あくまで良いお兄ちゃんでい続けてる」

「あの佐藤さんをフるくらい一途だけど、叶わない相手に恋をしてて」

「叶える気がない」

――瑛莉


うるさい。

うるさいうるさいうるさい

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい――――もう黙れよお前……。

言ってほしくないことをグサグサ切り込んでくるあたり、もう流石としか言い様がない。

 


自己嫌悪は自分の中の倫理に抵触してしまったから

自己嫌悪って一定値を過ぎると頭が委託なるんだ。頭のなかがぐわんぐわん言ってる。

気分が悪い。
気分が悪いけど……。
異様に安堵してる自分もいて、


自分の中のルールを破ってしまうと、自己嫌悪に陥るんだよねーと。それが無意識であれ意識的なルールであれ。そしてその破ったルールの「大きさ」によって自己嫌悪の強さも大きくなってくる。制約と誓約みたいな。

 

 

いろははなんで天体観測部にいるんだろ?

 

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「興味ない。瑛莉が何を撮っていても、ボクは見る気もない」

――いろは

 天体観測部(恋愛観測部)は、瑛莉1人の為のものといっていい。彼女が恋はなんたるか?を知りたいからこそこの部は存在している。

けれども、いろはや幼なじみの男の子は違う。彼女らは、一体どういう目的でこの部活動に参加しているんだろう?

特にいろはは、瑛莉の「恋をしたい」っていう願いを手伝っている……という印象を抱かせない。瑛莉の願いなんてどーでもいいよー、みたいな意思を感じる。実際どうか分からないけど、どうでもよさそうな目してるもん。

 

「いっぱいあるモニターを管理してるボクはスパイ映画みたいでカッコいい」

なるほど、この理由ならとても納得してしまうw
つまり、中二的欲求を満たせるから、いろははこの部活動に参加しているのかもねーと。

 

 

 

恋は体験するもの

 

「無駄だよ美汐。恋ってのは体験するものだ。

 観測しても何の意味もない」

「自分がしてみなくちゃ、何一つわからない。

 胸のドキドキ。身体の火照り。誰かを思う幸せ」

「痛み。切なさ。辛さ。

 相手を思うだけで幸せになるのに、その幸せがひどく痛い」
(中略)


見てるだけじゃ恋を知らないお前の欠陥は絶対に治らない

――康司

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恋は研究しても(恋愛ラボ)、観測しても(恋観)してもその真理には到達できない、って聞くと。真理は亀でアキレスが科学さっていう言葉を思い出してしまう。

しかし恋を「知る」と「体験」するの違いって、実際どういう感じなんだろう? 恋を知るっていうのは、恋愛がどうだとかロマンティックイデオロギーとかそういう歴史的に見て、知識として自分の中に還元するってことなんだろうか?

瑛莉は「恋を知りたい」のではなく「恋をしたい」という。これは分かる、恋という情動を体験してみたいということ。

でも、康司の場合は「恋をしたい」のではなく「恋を知りたい」という。恋を 知 り た い? 知って……どうするんだろう……。

恋を知ってなにかなるのか? それは自分自身でも言ったように「観測しても何の意味もない」ということになるじゃないか。

どういうことだ……なんか大きな断絶があるな……うまくこの考えを理解できない。自分自身で「恋を観測して知る」ことの無意味さを説きながら、瑛莉の恋を観測するという。

「恋を知りたい」
「恋を知りたい」
「恋を知りたい」


恋を知りたい? 

 

 

「けど俺はお前を好きにならない」

「彼氏を欲しがってたよな。あれは叶わない」

「どれだけ胸を痛めても、泣いても、わめいても。俺はお前を好きにならない」

「報われない恋だよ。いまの俺と同じ」

――康司

 

「OKそれじゃあ今日から私は」

「美汐瑛莉は――」

ッ!

「あなたに恋をするわ」

 

 

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―――これは、

これは美汐瑛莉という少女の物語だ。

生まれつき恋が出来ない女の子の物語。

そんな彼女はある日、学校一モテるという女の子をフッた男子を見つける。最高の女の子をフッた彼は、自分と同じで恋が出来ないのか。それともすでに恋を知っているのか。

こうして美汐瑛莉の恋が始まる。

行きつく先は、フられること。

恋が終わることを目指して、

それでも恋を知ることを始める。

そう、まるで―――。

最後に雨雲が待っているとしても、そこへ至るまでの空を彩る。

ひこーき雲を探すように。

 

 
ここだけで、私は応援しようと思った。

心から、瑛莉に自分の気持ちを重ねようと思った。

その終わりゆく恋を見届けたいなと―――。

…………

……

 

 


ああでも購入するかはまた別の話(ひどい!)

 

 

おわり

序盤は「ふつーな感じですにゃー」だったんだけれども、(体験版)の終盤の"綺麗"さはとても心地が良かったです。

本物の恋を知りたい女の子の物語―――これは心動かされちゃうよ……。なんちゅーか、瑛莉の願いの強さを見ていると、澄み切った空のような感覚がすーっ染み込みます。とても爽やかな感じ。

あとはヒロインズに好きな子がいれば、購入間違いなしレベルですが、どうもいない。自分の直感を信じると、あまり賭けには出たくないので、「ひこういき雲」の購入は保留です。


体験版にしては本記事を約6,000文字書いてることから、期待値高いし、心動かされた証左なんですけどね。

ではまたね。

 

 

<参考> 

ひこうき雲の向こう側[アダルト]
ひこうき雲の向こう側 [アダルト]

 

 

ひこうき雲の向こう側 オリジナルサウンドトラック(音楽CD)
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