猫箱ただひとつ

物語追求blog。アニメ、マンガ、ギャルゲーを取り扱ってるよ

宮代花梨 感想(15963文字)

スポンサーリンク

f:id:bern-kaste:20140505213327j:plain


宮代花梨のプレイ感想をぐだぐだと語っていきます。
話しかわるんですけど、水月の中で花梨がいちばん可愛いと思うのですよ。

 

  

 

花梨の自分への評価の低さ

花梨『っ…ごめっきらいに、ならないで…がんばる…がんばるからぁ…』

僕が、花梨のこと嫌いになるはずなんてないのに。好きだって、言った直後なおに…どうしてあんなにも前向きな彼女が、ああいうことになると、とたんに後ろ向きになってしまうんだろう。

もっと、自信を持っていいんだよ、僕は花梨のこと好きだよ、と口で言ってしまうのは易い。でも…

好きだといっても、それを行動に示しても、花梨は透矢がどこかに行ってしまうんじゃないかと思っている。自分に魅力がないせいで、あるいは自分の欠点みたせいで、透矢が自分のことを見限ってしまうんじゃないかと。そういう心配を抱いている。

自己評価が低いとは一体なんなんだろう?
そしてその評価を高くする為には、一体何ができるんだろう?

f:id:bern-kaste:20140505160933j:plain

花梨の自己評価の低さは、弓道が大きな要因なんだろうか。弓道の本番でいつも結果をあげられない自分、そういった「無能」 による自尊の剥離が行われているんだろう。無能感による無力感。

花梨が透矢を信じきることが出来ないのは、自分自身を信じきることが出来ないのと同義。ならば、自分自身をどうにかするしかない……。

これなあ……依存対象がいてもダメだし、努力しても毎度結果が伴わないなら心象強度的な意味での強度を高めることも出来ない。うーn。

(だからこそ舞を失敗したら、花梨は閉じてしまうのだけれども。彼女にとってあの一つだけが自分を支えていたものだったのだから)

よくよく考えると花梨が抱えているものって、弩級じゃないか……。一体どうすればいいんだ…。いや…なんだろうな特異点みたいな行動なんてないのかもしれない。徐々にゆるやかに時間をかけて、自己評価を取り戻していくしかないのかもねと。



頑張れ… 

透矢「頑張れ」
花梨「…っ…ひっ…く」
透矢「頑張れ、花梨」

花梨「頑張ってきた! きたけど…」
透矢「じゃあ、もっと頑張ろう
花梨「ひどいよ、なんでそんなこと言うの?」

透矢「僕も頑張るから。一緒に頑張ってほしいんだ
花梨「透矢…」
透矢「いつになるか、わからないけど、引けるまでやってみるから」

f:id:bern-kaste:20140505161018j:plain

 今の花梨にとって「頑張れ」という言葉がいかにキツいものか、透矢は理解している。そして理解できなければ花梨の心を説得できなく失敗してしまう。

そして最も重要なのは、透矢もまた頑張ることを宣言することだろう。弓を引く度に恐怖心でガチガチになってしまう自分も、頑張るよ、というから花梨は透矢の言葉を受け取ることができる。

"僕も頑張るから。一緒に頑張ってほしいんだ"

アドバイス…あるいは「言葉」は"誰が"言うかが大きなウェイトを占めている。そしてその誰かというのは、「何か」持っていなければいけないんだろう。

分岐先の透矢が花梨の説得に失敗したのは、自分もまた弓道に対して頑張っていないからだったし。

  

 

水月の核

たとえ結果が出なくても、僕が、僕であり続けるために。

僕は、たぶん弓を引かなきゃいけない。庄一は弓を取った、頑張るっていうことをしてみせた。和泉ちゃんは勇気を振り絞って、僕に告白をしてくれた、父親の手を離れた。頑張れば、人は変わることができる。

――透矢

 水月の核はここだろう。BADENDの時しかり、ここままた然り。今この瞬間を頑張り続けること。これが血脈であり核だ。

ただこれは滅茶苦茶苦しいことなんだけれどもね。



姉への疑問点??

 

・花梨のおねえちゃんはいずこに?

花梨のおねえちゃんは、町に出てそれっきりなんだっけ?
というか一度もでてこない、のはなにかあるんだろうか。
花梨は自分のお姉さんに比較されて育ってきて、それが劣等感につながっていると自分で言っている。でもお姉さんは関係ないんだろう。

「姉と決着」するのではなく、(そういった過去の因果から今をどうにかするのではなく)____今この瞬間に劣等感を食いちぎる。

 

 

 

宮代神社と大和神社の関係性・メモ

f:id:bern-kaste:20140505161133j:plain

・宮代神社(本社)と大和神社(分社)は、兄妹すじに当たる。
・山中にあるのが宮代で、海の突端にあるのが大和。街を囲むように存在する。
・しかしお互いの関係性は希薄である。
大和神社がどう建造されたかの記述はあるが、宮代神社にはない。
・宮代神社には山ノ民に関する資料があった形跡があるものの、無くなっている。
・戦争中に価値ある資料が失われたとみて間違いない。しかし爆撃などをうけないこの土地でいったいなぜ、失われたのか?

・ナナミ様の物語は改ざんされ、美化されていると透矢の父は語る。悲恋物語に書き換えることで若い層にまで受け入れられているとのこと。
・なぜ物語が変質したのかは、なにか隠したい、あるいは本当の出来事の性質を変化させることで、なにかを回避したかったと推測する父。おそらくは「山ノ民としてのナナミ様」だった。そして山ノ民存在の抹消だったんじゃないかと語る。
――――――

アマテラス信仰を広めたい/あるいは崩したくない国が、アマテラスよりも前にいた先住民である山ノ民が邪魔になる。そこで文献を抹消し、ナナミ様伝承の変質を促した可能性がある?

これを真実だと仮定したとしても、ふーん、って感じだ。特にそれが何かに繋がる気配はない。宮代神社の建造理由がないのも、おそらく山ノ民に関わったせい…だからといってどうだっていうんだ……。

 

  

 民族伝承

那波「平地が人の領域なら、山は神や魔物の領域……未知の世界だったんですの。当然、そこに暮らす山ノ民も、普通の人間とは違う生き物として扱われたはずですわ」

庄一「伝承に伝わる鬼の正体は、山ノ民だって話しもあるくらいだからな」

平地の人と山ノ民。

山ノ民は違う生き物として扱われてきた……というのは、具体的にどんな感じなんだろうか。

那波「この地に暮らしていた先住民と、渡来人。それぞれ、山ノ民と平地ノ民に割り当てられますわ」

 
となると、七波は山ノ民。そしてナナミ様という渡来人が平地の民の源流となったと。

 約束、ずっと一緒にいるナナミ

「旦那さま…」

構える、矢を放つ、彼女は死ぬ。
なのに、どうして何度も現れるんだ?

「牧野さん」
「……」
「牧野さん、もうやめようよ。僕はこんな夢、見たくない」
「約束ですもの」
「約束?」
「ずっと、一緒にいると…約束しましたもの」

――透矢、ナナミ?牧野?

 

f:id:bern-kaste:20140505161215j:plain

何度も夢で射抜く(殺す)のに、なぜナナミは何度も現れるんだ? その透矢の疑問にナナミは「ずっと一緒にいると約束したから」と言い放つ。

つまり……こういうことか?

ナナミを射抜くということは、その世界を「夢」にしたいからこその透矢の行動。(Cf.那波√)そしてナナミが射抜かれることがなければ、その世界は「夢」にならない。ただ現実として現実として続いていくことになる。

そこで「ずっと一緒にいると約束したから」というナナミの言葉を考えると、つまり透矢の為に私はいつも側にいるんですよ、ということ。透矢が嫌な世界を現実にしたくないのなら、私は協力しましょう。

そういうことなのでは?

 

花梨「前世で殺されたのに、よく平気でいられるね。怖かったりしないの?」

那波「逆です。前世が悲しい結末だったからこそ、こうしてまた巡り会えたんですわ。そういう約束ですもの」

透矢「約束? 牧野さん…それは…」

「またいつか会う約束、ですわ」

 

那波がいう「前世」って、私が思っている前世とは違う意味なんじゃないかなと思い始めてきた。今の私より前に生きていたであろう、前の時代の私の魂という意味での前世ではなく、

前の世界の私―――っていう意味での前世。那波がいっているのはそういう前世なのでは?ってこと。

透矢が体験している、そしておそらく那波も体験しているであろう、夢⇔現実の入れ替わり、浮かんでは消え、消えては実体を持つそんな世界にいるものにとっては

消えてしまった分岐世界こそが、前世と表現してもなんらおかしくない。
それは過去の私であり、今の私ではないから。

 

那波「ですけど、またすれ違ってしまいましたわね
透矢「…え?」
那波「いいえ、参りましょう」

前世とか、そういう話しを本気で信じていて…それで、僕のことを本当に好きになってくれたのか?
どうしてだろう―――泣きだしてしまいたいほどに、胸が痛むのは。

 那波は「またすれ違ってしまった」という。これは牧野那波と恋仲にならなかったよ、と取れる。

そして透矢はそのことに胸を痛める。泣いてしまいたいほどに。?

 

 那波の忠告

 

「明日の、お祭りで踊る舞のことです。無茶を承知で申しあげますわ。自体してくださいな」

――那波

f:id:bern-kaste:20140505161243j:plain

この言葉は山ほどの疑問が浮かぶ。

・なぜ那波は、お祭りの日花梨に起こることを知っていたのか?
いつもの那波の「予知」ゆえの行動なんだろうか。いやどうも違う気がする。なぜなら那波の父親が関わっており、父親は常世の門を開けたと言っていた。

つまり、常世の門を開けたせいで、花梨は崩れ落ちてしまったと考えるほうが自然じゃないか? 那波はお祭りの日、父親が常世の門を開けることを知っていたとならば、花梨に起こることも知っていた。だから忠告した。そう考えられる。


・なぜ花梨は舞を踊れなくなってしまうのか?
んー。なんでだろうねえ。常世の門を開くことが、花梨に影響与えると仮定してみるものの、「なぜ踊れなくなる」のか分からない。

花梨は舞を踊る時に「無意識」だとか「自動」で動いている、とそんなことを言っていた。そしてきっとそれは神様が守ってくれるんだろうと。

つまり神の加護がなくなってしまい、「本番で極度に上がってしまう」彼女の性質が元に戻り、結果舞を失敗してしまうってことなんだろうか?

つまり常世の門を開けるということは、神(=ナナミ様)の力を止める、阻害するといった事なのかもしれない。


・なぜ花梨が崩れる瞬間、透矢はマヨイガの風景を見るのか?
おそらく透矢がマヨイガやナナミ様の風景を見たときに、常世の門が開かれた。

……というよりは、常世の門が開かれたから、マヨイガ(常世世界)を透矢が観ることができた。ならばここの疑問点はこうなる。

なぜ「透矢」がマヨイガの風景を観ることが出来たのか?

→これはアリスが言っていた「お前普通じゃない」という言葉に起因すると思う。つまり透矢は存在が不確かな人間だからこそ、そういう目に見えないものを観ることが出来る。


・那波の父親は何故常世の門を開いた?

それは愛する人、那波を取り戻したかったからだろう。現世にいる那波ではなくもう死んだ那波の母親の那波(なにこれややこしい)

彼は以前から宮代神社の裏門に出入りしていたと花梨は語り、裏門はそういう世界を開く?封印している?鳥居があるんだっけか。(うるおぼえ




 

 花梨・今を生きること

 

花梨「去年の舞を見たでしょう? 私がどれだけ練習してるか知ってるでしょう? それなのに、和泉は、私じゃなくて牧野さんを夢を信じるんだね」

和泉「最後に決めるのは花梨ちゃんだけど…私は、うん、那波ちゃんの言うこと、信じるよ」

那波の予言でもし舞をやめてしまったら、それは生きることじゃないんじゃないか? いやそこまで言わなくても「今」を精一杯生きているとは言い難いかもしれない。

前世を信じたり、あるいは根拠薄弱な予知を信じたり、そういうのって今を生きてない。今、この瞬間を生きていることこそ、意味があるし価値がある―――それが水月の核ならば、

花梨がなぜ毎回「舞を踊るのか」ということも納得がいく。


 

 透矢が那波と同調しなかったワケ

気になるのは…彼女が舞を失敗する夢を見たとして、僕と同調しなかったことだろうか。
僕にとって最も大切な人の夢を、僕が見逃すというのは、不確かな夢の事とはいえどうにも解せない。

――透矢

 ここはさっき語ったとおりに、那波が花梨を失敗すると思っているのは「夢」でみた予知ではなく、父親の行動を予測した結果。だから透矢もその夢を観ることはなかった。

 

 

花梨眠る

彼女は、眠っていた。
肉体にはなんらおかしいところはない。
…これは、僕が目覚める前と、そして未だに目覚めぬ父さんと、まったく同じ症状だった。

花梨が眠ったのは、那波父が常世の門を開けたせいで引き起こされたものではなく、舞を失敗したという一点で自分を閉じた結果なんだろう。


 那波倒れる

あの日の夜、牧野さんが倒れたという連絡が入った。
彼女の父親は行方不明。
何か異常なことが起こっている。
――透矢

もしかして花梨の物語は、そのまま那波の物語に内包されているような感じなのかもしれない。
那波√でみた、那波と父親の行為のやり取り、あの結果父親は消滅し、那波は生き残るものの、おそらく数日で消え去る。ふむふむ。

 

 夢の中での対話

「那波は、もうじき消えますわ」
「消える…?」
「そちらの表現で言うなら、死ぬということですわね」

「那波のことは、もういいんですの。必要がなくなっただけのこと」

――那波、透矢

必要がなくなった、という言葉が今まで分からなかったけど、これは那波を生み出した父親目線からの言葉だなと理解した。

つまり那波の父親が、那波を生存させていたのは那波母を蘇らせる為であり、それをもう叶えたか失敗してしまったので、今ここにいる那波は「不必要」な存在になってしまったんだろう。 



 

左右の波紋

「透矢さんが向こう側に行くには…こうしますの」

牧野さんが、器用に左側の手の動きだけ速めた。一瞬、左側の波が、右側の波を侵食して流れ込む。右側にたどり着いた『僕』は、『花梨』と寄り添うような格好になった。

―――那波、透矢

f:id:bern-kaste:20140505164714j:plain

那波が言ったことを整理してみよう。

・透矢がいる"べき"場所は左側の波紋、その中心である。
・右側の波紋は、本来、透矢が見る"べき"ではない世界である。
・この左右2つの波紋がぶつかりあって歪が生まれている場所が、2つの波の中心。

・今現在、透矢がいる場所は波がぶつかりあったその中心地。左右どちらの世界にも行くことが可能である。
・そして花梨のいる場所は、右側の波紋。


左波紋が実世界というのなら、右波紋は幻想世界なのだろう。実体/観念。あるいは現実/マヨイガといってもいい。

そして透矢が2つの波紋の「中心」にいる事実こそが、アリスの「お前はアヤカシか?」と言葉と符号する。透矢は今現在"どっちでもない"存在だからこそ、アリスはああ質問してきたのだろう。



 元の世界に戻るんじゃなくて、新しく作る世界

透矢「つまり、迎えに行けと?」
那波「ええ。そして…こうしていただきます」

牧野さんは、右側の波紋の、さらに右隣にもうひとつ波紋を作った。今度は、干渉し合わない。

透矢「その、もうひとつの波紋は?」
那波「…こうしますの」

ふーっと息をふいて、牧野さんは『僕たち』を、強引に、いちばん右の波紋にまで押し込んだ。うまく力を加減したのか、いちばん右の波紋自体は、揺らぎはしたものの、その形を留めている。

しかし、先に作ったふたつの波紋は、乱れ、均衡を失っていた

透矢「これじゃあ…」
那波「いいんですの。今あることを否定して、その先にこそ、おふたりの世界がある

 
今生きている現実世界も、そして花梨がいるマヨイガ世界2つを否定して、新しい世界に生きてもいいんですよ、と那波は言う。

「今」を否定して別世界を望んでもいい。それは今この瞬間に生きることの放棄……と矛盾しないように思えるが、どうなんだろうか。

雪√でも「今ある世界を否定して」、マヨイガ世界で暮らすことを決めたけれども、あれも見方によっては今を全力で生きているように見える。そして今を全力で逃げたようにも見える。


水月」―――その名の通り、コインの表と裏みたいな……感じなのかな。

 

 

 夢は、見過ごした可能性

那波「夢を見ていますわ」
透矢「確かに眠っているけど…」

那波「透矢さん…夢というのは、わたくしたちが見過ごした可能性なんですの

「宮代さんは、そういう可能性の中にいます。だから透矢さんには眠っているという認識される存在になってしまった」 

 うーん難しい。

夢は、見過ごした可能性?……。
現実で"あったかも"しれないってことが、夢。
宮代さんはそういう可能性世界にいる。あったかもしれない空間に。だからこそ、花梨は「眠っている」と認識されるか。ふむふむ。

夢→見過ごした可能性
夢→眠る時に観るものの

この2つが掛け合わさって、眠っていると認識されると。
じゃあ透矢のお父さん、あるいは那波も眠っているこの状況は、彼らもまた可能性世界に漂っているということか。


 弓引き、

那波「弓引きの儀式、梓弓――古来より、弓矢というのは、そういう神聖な儀式に関わるものなんですの」

「ありったけの想いを込めてくださいな。人の気持ちは、この――」

そういって、水面をひと吹き。
「この波を起こす力を持っています。世界もわたくしたちも…この世の全ては、文字通りの波で出来ていますわ。心を込めた歌声が、必死の言葉が、なぜ人の心を動かすのか。なぜ――笑顔、泣き顔、あるいは何らかの行為、そういった物理的な現象を起こせるほど、世界に影響を与えるのか」

想いを込めているからですわ。その想いが波となり、物理的に世界を動かす」

 

f:id:bern-kaste:20140505165025j:plain

この「波」ってシュレディンガーの猫とか、波動関数とかそういうことに近いのかなーと思った。波を引き起こせることで、現実の「可能性」に直結させる。ふむ。
 

透矢「ひとつ聞きたい。どうして歌声でも、言葉でもなく、弓矢なんだろう。僕は必死で花梨を呼びつづけたつもりだよ」

那波「あなたと弓矢は切っても切れないもの。そして、宮代さんとあなたを繋ぐものでもあります。透矢さんは、優しい言葉を振りまくより、共に弓を取ることで宮代さんを支えてきた。違いますか?」

透矢にとって「弓引き」というものが、一番強く波を起こせるってことなのかな? それに花梨をつないできたものだから余計に。 

  

 

那波の悲しそうな顔

透矢「でも、なんとかしなきゃいけないんだ、なんとかするよ。涙石なら、僕も持ってる

那波「…そう、そうですわね」
牧野さんが、めずらしいと思わせるほどの、悲しそうな顔を見せた。

な、なんでここで悲しそうな顔するんだろ、那波ちゃん。

透矢が涙石を持っているから? でもこの涙石ってそもそも那波母(だよね多分)が透矢にあげたものだから……いや、あげたものだからこそ?

那波がなにを考えているのかイマイチよく分からないな。 


 涙石=想いを具象化するもの

「人の想いを具象化するもの。それが涙石ですわ。言うなれば、透矢さんの願いを受け止め、目の前の世界を揺らす波に変えてくれる…変換装置のようなものです」

「大きくて純度が高ければ高いだけ良いですわね…今では難しいと思いますけれども」

――那波

 ふむん。

 

 

忘却は強さですか?

忘れることは強さ。あなたは気づいてないかもしれませんが…もう、すがるべきものを、ひとつ切り捨てて生きていますの」

 
透矢はすでに「記憶喪失」という、自分のアイデンティティを切り捨ててるものね。それを踏まえて生きていってる。ならばこれはきっと強いことなんだろう。

 

那波と弓と透矢と、記憶

「弓を取ったあなたは誰よりも強い。わたくしが保証しますわ。宮代さんには悪いですけれど、そのことだけは他の誰よりも、わたくしが…」

――那波?ナナミ? 

保証してくれるってことは、ナナミ様伝承のことを那波は知っている。というかナナミ様そのものなのかもしれないけど。(というかよくわからん) 

 

 

透矢、弓を取る

梓弓、というのうとは違うんだろう。
だけど牧野さんは、ナナミは、弓を取れと言った。

花梨もまた、しきりに弓を取れと言っていた。
だから、僕はもういちど、自分の手で弓を取ろう

 この透矢の決意って、とても大事なことな気がする。
今までは周りから「お前は弓道をやっていた」と言われたから、試しにやっていただけだし、その後は花梨の為に弓を引き続けていたように見える。

でも今回は違う。これは完全に透矢自身の意志で、弓を取ったのだから。


やっぱり願い/決断/祈り……だなあと思う。

 

 

 

雪さん……orz

そうやって父さんの本を漁り、
「!」
一冊の、薄っぺらな本を手にした瞬間にそれは起こった。

透矢「それは、選ばれた者にしか門を開かないからってこと?」

雪「透矢さんやお父様の見たものが確かな現実であると考えるなら、それが妥当だと思いませんか? 偶然とはいえ、おふたりが、子供の頃にたどりつけた場所なんですよ。誰にも見つからず、しかもそこで人知れず暮らすだなんて考えづらいことです」
(中略)
「…」
そうだ、マヨイガって…そういう場所の事。
僕は誰かに…でも、誰だ?
死んでしまった母さんだろうか。とても優しくて、僕に安らぎを与えてくれる、そんな人の声だったように思う。

なんにせよ、無駄な時間を浪費せずに済んだ。声の主が、僕を導いてくれたのかもしれない。

(…ありがとう)
にこり…優しく、笑い返されたような気がした。


――雪、透矢

f:id:bern-kaste:20140505165733j:plain

これきっと雪さんが現実世界に干渉したからこそ、透矢はマヨイガの話を思い出すことが出来たんだと思うんだよね……。

たぶん雪さんは、目に見えないだけでずっとずっと側にいてくれているんじゃないだろうか。

 

 

 ナナミのお友達って?

「ねえ、どうして、こんなところに住んでいるの?」
「ここが、おうちなんですの」
「雨とか降ると、大変じゃない?」
「大丈夫ですわ」
「ひとりだと怖いでしょう?」

「今は出ていますけれど、お友達もいるんですの」

――少年期・透矢、ナナミ???

f:id:bern-kaste:20140505165725j:plain


このナナミは、那波の母だと思っている。ではその彼女がいう「お友達」とやらは誰だ? 那波父のことか? それともまた別の人? よくわからない。

 

「頭を撫でであげることは出来ませんけれど…天国のママと一緒にずっと見守っていますから」

「本当に?」
「本当ですわ、いつも、その石を身につけていなさいな。目印になりますわ」

「うん!」
――少年期・透矢、ナナミ???

 透矢の夢の中にでてくるナナミ様は「ずっと一緒にいるって約束しました」と言う。んで、この約束ってこの少年期の透矢がしたものなんだと思う。

となると、この眼の前にいるナナミ?は……いったいどういう存在なんだろうか。

那波=那波母=ナナミ様

って具合?みんな同期生がある存在っていうのなら、納得できる。アリスが那波を怖がっていたのってここらへんが原因か? またしかにもう人間じゃないものね、この仮定が正しいのなら。

あの時、僕と遊んでくれたのはナナミ様で、だから歳をとっていないっていうことなんだろうか? そうじゃない……気がした。何か違和感を感じる
――透矢

 透矢のことを信じるのならば、「ナナミ様」じゃないってだけで、「ナナミ様」でもある可能性。
 

とすると、あの願いだけ叶わなかった?

(違うか…)
そういう存在が必要なくなった、ということなのかもしれない。母さんがいなくても、僕には友達がいて素敵な恋人がいて、そういうものが大切な日常として定着したから…

だから…今まで、ありがとう
誰に向けたのか、自分でもよくわからなかった。

――透矢

 

f:id:bern-kaste:20140505170812j:plain

ナナミがいったお友達って……もしかして雪さんっていう可能性もあるのかな?と思った。彼女もまたあっち側の人間だし、仲良くしてても不思議じゃないよなーと。

そして少年期の透矢の約束の1つである「見守ってくれる存在」ってのが、雪さんだったのか……ふむ。

あれは透矢の想いが具象化した存在、いやま至るところで言われているんだけど、どうも雪さんの存在がいまいち把握できてないんだよな……。

 

 

涙石の採掘

神秘的な光景だった。
水中のところどころに発光するものが転がっている。
湖の中央部にはそれが密集しているのかぼんやりと青白い光が周囲に拡散し、わずかにゆれる水面を漂っている。

和泉ちゃんと海中で見た涙石の光はあんな感じだったし、ズバリ、涙石が転がっているのかもしれない。

だとすると、海底やら鍾乳洞やら妙なところにばかり転がっているものだ。

 なんで涙石は海底や鍾乳洞などにあるんだろう?
放射線
よくわからない。

 

 

写真

夢…そうだ、ここは夢で見た風景。僕が牧野さんを射抜いてしまう場所。そしてこれは…夜だから印象が違うけど、あの写真の場所じゃないか?

僕はサイフの中に入れっぱなしになっていた写真を取り出し

f:id:bern-kaste:20140505170853j:plain


そういえば
なぜ
透矢は

マヨイガの写真なんてものを持っているんだ?
マヨイガで写真をとって、かつそれを現実世界に持ち出すのってすごいことなんじゃ?

というかなんで、写真を取ろうおとおもった?……。

 

透矢が目を覚ましたのは病院。そしてそのときにはもうサイフの中に、マヨイガの風景の写真が存在していた。

これは何を意味するんだ?
前語ったように、透矢は交通事故で入院していたのではなく、マヨイガに踏み込んだせいで、(花梨√の最後のように)現実が改変された結果、病院の一室で記憶がなくなったまま目を覚ましたのでは? 

 

 

もう嫌だよ

花梨「もう、嫌だよ

くたびれたように、彼女はうつむき、黙り込んだ。

f:id:bern-kaste:20140505205048j:plain

花梨「透矢がいれば、大丈夫と思ってた。どんなに失敗してもいいし…って」

透矢「そうだよ。大丈夫だ」

花梨「大丈夫なんかじゃない。舞に失敗して…ああ、もう何やっても駄目だって。気づいたらここにいた」

「…」

花梨「ここね、何にもしなくていいんだ。夢の中だから。ただ寝てるの…たまに透矢の声が聞こえて…」

 

花梨「疲れたよ、もう。背伸びして透矢について行こうと思ったけど、無理だ」

透矢「待つ
花梨「…え?」
透矢「僕が花梨を置いてけぼりにしてるなら、待つから」
花梨「…」

透矢「僕の側にいて。花梨にしか出来ないことだよ」
花梨「…馬鹿だなぁ」

透矢「は?」
花梨「私なんかにこだわって、馬鹿みたい」
透矢「馬鹿で結構」 

花梨「本当に待っていてくれる?」
透矢「もちろん」
花梨「それじゃあ…ずっとここにいて」
透矢「…」

花梨「ここなら、ふたりっきりでいられる。どんなに透矢に甘えても、和泉に白い目で見られたりしないもん」

透矢「本当にそれがいいの?」
花梨「うん…」

→<それが花梨の望みなら>
→<そんなの駄目だ>

 それが花梨の望みなら私はいいと思うんだよね。
ここにずっと残ってもいいし、マヨイガで一緒に暮らしてもいい。
誰かの意志を尊重するのと、自分の意志を尊重するかの違いでしかないと思う。この選択は。
 

僕がすべき事は、弓を引くこと。ありったけの想いを乗せろ、とも言っていた。その想いは、涙石を通して確かな力となり、僕たちをこの世界から別の世界に運んでくれるのだ、と。

 
ただ元の世界に帰るにしても、別の世界に移動するにしても、弓矢は引かなければいけないってことなのかな? 


 わたくしを射抜きなさい

ナナミ「ママから透矢へ、お願いです。わたくしを射抜きなさい」

透矢「どうしてそんなことを、しなくちゃけないのさ」

ナナミ「宮代さんと帰りたくないんですの?」

花梨「ちょ、ちょっと! なんで牧野さんが私の夢になんか出てくるわけ? ここは私と透矢の世界なんだから…」

ナナミ「違いますわ。これは、わたくしの夢
「…」
ナナミ「ここは、私が透矢さんを、見守るための場所ですの
花梨「なに…なんの話しているわけ?」

ナナミ「ナナミは、必要なくなりました。この世界はもうじき消えますわ」
彼女は、ただ真っ直ぐ、僕に向けて話し続ける。

 

f:id:bern-kaste:20140505205207j:plain


このマヨイガという世界は、ナナミが透矢を見守る世界……か。となると神社でナナミが姿を表したり、という出来事は、この世界を経由して透矢と話しいたってことなんだろうか?

透矢「僕が願ったから、ずっとひとりで僕を見守っていてくれたの?」

ナナミ「ひとりではありませんでしたわ。ただ…その方はもう、役目を終えてあなたの側にはいません

悲しい顔をする―――だからきっと、その人が役目を負えるというのは、悲しいことなんだと思った。

 やっぱりナナミのお友達は雪さん間違いないような気がしてきたぞ。
ただひとつ懸念があって、少年透矢とナナミが廃村であったときに、既に雪さんが友達になっている状況ってなんなんだろうみたいな。

透矢のお母さんが生きている頃、彼女から「風船ウサギ」の話しをきいた。そのとき透矢のなかに「雪ちゃん」という存在が生まれた。→そのまま雪ちゃんはマヨイガ(ナナミたちの世界)に居続けることになったんだろうか?

透矢「…わかんないよ」
ナナミ「それが、役目を終えたということです。わたくしのことも、今日で忘れていただきますわ」

あの日、僕は願っただろう…
誰かに見守っていてほしいと。
だけど、それが必要なくなった。

素敵な友達、恋人を見つけることができたから――。
だから、この人も消えてしまうって言うのか。

 

透矢は雪さんを認知できない。ナナミはそれが役目を終えたということですという。ふむ。
ナナミもまた「役目が終わる」←ナナミ父の話しではなく、透矢の「約束」という意味で。

透矢の約束が誰かに見守って欲しい、そんな願いをナナミはずっと叶え続けてきたのだろう。遠くで、いや近くで?見守ってきた。

けれども花梨が現れて、透矢を見守る(あるいは傍にいてくれる)存在を担ってしまった。だからナナミはもう役目を終えたと。

あと想ったんだけど、雪さんが、透矢のお母さんという視点も……あるのかなあと想ったんだけど、これはないか。 

 

 

ナナミからすれば

ナナミ「あの日から、わたくしたちは、長い夢を見ていますの」
透矢「…」
ナナミ「今、透矢さんは、本来いるべきではない世界にいる。宮代さんも…夢から、目覚めなさいな


ナナミ「わたくしという存在が消えるということは、あなたが『忘れてしまった』という事実の証明。そうすることで、すべてが夢に帰ります」

透矢「あなたとのことが、ぜんぶ夢だったことになるの?」

ナナミ「夢というのは、通常、記憶されないものですわ。それが常識から外れていればいるほどに」

ぜんぶ、忘れてしまうっていうことだ。やっと思い出してきたところなのに…。 

 ナナミからすれば、透矢がマヨイガにいるのは「いるべきではない世界」なんだろう。でも雪さんとマヨイガに安住することを彼自身が良しとしたように、その分水嶺なんて本来どこにもないんじゃないか?

夢の国のお姫さまが、夢の国に居続けなくてはならない理由なんてどこにもないのだから。
―――
 別世界の現実を思い出せること自体が、それは夢ではなく、現実へと昇華させてしまうっていうことか。

つまり夢を覚えられた時点で、それはもう「現実」ってことだ。なんら変わりない現実である。

 

 

 不存在

透矢「嫌だよ、そんなの」

ナナミ「聞き分けなさいな。あなたとわたくしが出会う事はもうないでしょう。つまり、あの日の願いは届かなかった。だからナナミという神様は、やっぱり存在しないんですの。
あなたの世界から、ナナミという存在は消えます…そうすれば、儀式でおかしな事になることもないでしょうし、あなたが夢に悩まされることもないでしょう」

透矢「僕が忘れて…それであなたは?」

ナナミ「目覚めるだけですわ。本来あるべき所に帰りますの」
透矢「どこなの、それは?」
ナナミ「旦那さまのところへ」

透矢「そう…」
ナナミ「さあ、お早く。この世界はもうじき消えてしまいますわ」
透矢「消えるって…どういうこと?」

ナナミ「夢が覚めるわけではなく、ただ消えて無くなってしまう―――未来がなくなってしまうんですの。終了ですわ…」


透矢がこれからすることは世界改変か。
今の世界でも、昔の世界でもないまた新しい世界を作る。
そのとき、ナナミという神様はいなくなるし、それに纏わることも全て消失する。花梨の舞も、夜な夜な夢でうなされることも。

なぜこれが起きるのかというと、"忘れる"からか。ナナミのことを透矢が忘れてしまうからこそ、次の透矢の世界に「ナナミ」という存在がいない状態ではじまる。


可能性の否定

黙り込んだきりの花梨を見やる。
彼女と、みんなとの未来をつかむためにここに来たんだろう。

僕たちが消えるっていうことは、その可能性を否定しまうっていうことだ。それじゃあ、いけない。

 

夢と同じ光景だった。

ナナミ「夢ですわ、透矢さん。 覚めれば忘れてしまう夢

そんなふうに割り切れたら、どんなにか楽だろう。これは罰なのかもしれない。

絶対に忘れないなんて言って、忘れてしまったりするから。
どうして僕は大切なものを、すぐに手放してしまうんだ。

 

ナナミ「あなたは、思い出してくれましたわ。 だから今ここにいる。だから傷ついて…それでも弓を手に取った。約束通り、頑張りましたわね」

透矢「頑張ったって、結果が出なきゃ…」
花梨「透矢…」

中越しに声がかかった。
そうか…これが、いつも花梨の抱えているものか。

花梨「透矢…頑張れ
透矢「花梨…」

 ふむ。透矢がおもだしたからこそ、ナナミはここに存在できているのか。そして透矢もまたここにいるのか。

約束……か。

 

 

忘れる可能性

ナナミ「見過ごした可能性だと、お教えしましたでしょう?」
透矢「うん…」

ナナミ「あなたがわたくしを忘れてしまう可能性も、忘れなかった可能性も、ひとしく存在していますの。 ただ、今あなたが見ている可能性は、宮代さんと見つめる可能性…

透矢「どこかで、僕たちが幸せになっている可能性もあるのかな」
ナナミ「あなたを、愛していますもの」

「ぁ…」

ナナミ「帰りますわ。わたくしを愛してくださるあなたの下へ

  

花梨「私たちも帰ろう。迷惑かけてごめん。辛い思いをさせたみたいで、ごめん。向こうで返すから…目を覚ましても、ずっと私と一緒にいて。あの人のところに行ったりしちゃ…やだ…」

透矢「…行かないよ。花梨を迎えに来たんだから」

帰ろう、あるべき所へ。
友達の待つ場所へ、ぼくの恋人が待つ場所へ。
夢は、いつか覚めるんだ。

 夢はいつか覚める。そして覚めない未来もまた等しく存在している。
この世界はなんていうか……なんだろうなあ、撹拌された世界みたいだ。

境界線が曖昧で、どこからどこがあっちなのかこっちなのか全然分からない。だから死も生も等しく同じなんだと思う。というか「死」っていう概念が希薄だよねここまでくると。

 

ナナミ「ふふ、今度は、宮代さんに負けたくありませんわね」

花梨「…駄目。透矢は、誰にも渡さない」

ナナミ「そう、その気持ちがあれば大丈夫」 

 

 

想いが世界を動かす

想いが世界を動かすならば、今度は、ただの夢にしよう。
夢はいつか見た過去に、過去はいつか見た夢に変わり―――

やがて、かけがえのない思い出に。

ナナミさま、ナナミさま――
願わくば、この大切な人と、共に歩める未来を。
そして、誰よりもあなたが幸せでありますように。

透矢「いつか、どこかで」
ぎしぎしとしなる弓。

ナナミ「ええ。すぐにまた、笑顔で会えますわ」
僕は、手を離した。

"びゅっ"

放たれた矢は、まっすぐ、彼女をめがけて飛んでいき、

 

"ざさーん、ざさーん"

波音がした。
不確かな、この世界のゆらめく音が。
次の世界へ、僕をいざなう音が。

「さようなら」

ほほえんで、あの日見た、少女の現像は、波間に消えた。 

僕は夢を、見ていた。
長い長い、夢を――

 

f:id:bern-kaste:20140505212321j:plain

 

 

はじまった花梨との世界で

花梨「あー、もうバッチリバッチリ」
透矢「…さんざん心配かけたわりに、異様に元気だよね」

得意の舞で倒れた時は、どうなることかと思ったけど…。

いわゆる日射病だった、それに普段、弓道をやり舞の練習をやりという生活が裏目に出たらしい。

f:id:bern-kaste:20140505212427j:plain


これは元の世界じゃないんだろうね。新しく出来た世界。なぜなら花梨が一週間以上も昏睡していたのに、「日射病」で片付けているなんて不自然すぎる。

それと花梨の透矢の会話を見てみると、どうも、マヨイガで起きた出来事とかそれ以前の出来事を覚えていないように思える。そりゃそうだよね。あれは"夢"だったのだから。夢になってしまった。忘れてしまったんだから。

そして牧野さんは死ぬ。 

ただ…
牧野さんが、倒れた。
詳しいことはわからないけど、危ない状態らしい。お見舞いにいっても面会すら出来ず、僕たちに出来ることは何もなかった。
――透矢

牧野さんが亡くなったという連絡を受けたのは、大会を終えた数時間後、霧雨の降る、うすら寒い夜のことだった。

ぼんやり差し込む月明かりを受けた雫の輝きは、あの、不思議な石の輝きにどこか似ている気がして、かすんでいく視界を意識し、僕は、自分にもこんな美しい涙が流せるのだろうか、と、そんなつまらない事を考えていた。

さようなら、ナナミ――

f:id:bern-kaste:20140505212407j:plain

違う分岐だと

花梨はマヨイガでのことをあまり覚えていない。

だから、あれは夢だったのかもしれないし、そうじゃなかったのかもしれない。目が覚めると自分の部屋だった。その足で病院に向かうと、花梨が、笑顔で迎えてくれた。

牧野さんが、僕たちを助けてくれた事。
そして、ナナミという一つの生命をこの手で奪ってしまったこと。僕にとって確かな、そして受け入れがたい記憶。

けれども、僕はあれが現実だったと、強く信じていた。

透矢が「覚えている」ことが重要。覚えているからナナミは死なず、息を吹き返すのだろう。役目が終わるとしぬナナミ。でも透矢が覚えていることで彼女の役目は延長される…ってとこじゃなだろうか

 

最後に見た、ナナミの笑顔。
牧野さん、庄一、和泉ちゃん―――みんなが僕にくれた優しさ。あのとき背中に感じた花梨のぬくもり、ずっと一緒にいてほしいという言葉。

なにより、すぐにまた、笑顔で会えると言った彼女の事を、僕は信じていたいと思うから。

 

 

波打ち際に立つ少女。
あの日、彼女は確かに存在していた。
今という名の、世界で唯一確かな場所、現実をつかさどる、僕の意識という空間に。

記憶の海へと消えたそれは、思い出というモノに姿を変えて、今も僕の中に生き続けている。
たとえ彼女が、彼女と過ごした日々が夢や幻であったのだとしても、僕という記憶の固まりは、確かに彼女をこの目で見、感じていたはずなんだ。

だから、それでいい。
世界の仕組みなんて知りはしないけど、僕にとっては、それだけが現実として存在したもの―――確かな、思い出なのだから。

"びゅっ"

放たれた弓は、まっすぐに的の中心を射抜き、僕は、やはりすべてが終わりを告げたのだということを、肌で感じ取っていた。

 

f:id:bern-kaste:20140505212934j:plain

牧野さんが息を吹き返したという連絡を受けたのは、大会を終えた数時間後、霧雨の降る、うすら寒い夜のことだった。

ぼんやり差し込む月明かりを受けた雫の輝きは、あの、不思議な石の輝きにどこか似ている気がして、

おかえり、ナナミ――

 

 

 

和泉「まさか、大和神社のご神体が、梓で出来た弓矢だなんてね」

庄一「ああ、俺だって知らなかったんだぜ。なぜか今日に限って、滅多に来ない客が神社にいてさ、うちの親父にいろいろ説明されてんだもんなぁ…弓と舞の銘酒だろう? きっと、神様にでも守られてんのさ、あいつらは」

 

 

はいもう思考リソースががりがり無くなっていって、もう嫌だ。という弱音をはきたい。

 

おわり

 

<参考>