猫箱ただひとつ

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世界を疑え。そして選択しろ_悪魔のリドル2話

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悪魔のリドル(1) (角川コミックス・エース)

 

私『悪魔のリドル』大好きになるかもしれない。そんな予感がします。

以下感想

 

 

 

世界には□□が満ちている

 

「こんな問題に答えなんてあるわけねえ」
 

「正解があるとしたら他人の言葉、お前からじゃゼッタイ出てこない言葉なんだよ。―――兎角。お前の部屋にやっと誰か入れたのかよ。いつまで眠ってんだ。そろそろ目覚めろ。

先生の言っていること全てが嘘だって早く気づけよ」


カイバ

 

悪魔のリドル 2 (角川コミックス・エース 449-2)

悪魔のリドル 2 (角川コミックス・エース 449-2)

 

兎角という少女の生い立ちは不明。どういう少年期だったのか分からないが、それでも把握できることはある。

それは彼女がカイバの言っていることを「信じている」ということ。ただこれはカイバという男の言葉を鵜呑みにするならという前提付きだが。

でもおそらくそうなんだろう。兎角はカイバの言葉を信じている。どの程度までかは知らないが、少なくとも「世界は赦しで満ちている」という言葉を受け止めてしまう程度には。

そこで考えられることは、兎角は自分の「世界」を疑っていないということだ。ここでいっている世界とは、兎角が今まで見てきたこと、教官に教えられてきたこと全て。

だから兎角が世界を「疑った」時、彼女の人生ははじめて駆動するんじゃないか?

私がお前を助けたのは、お前に寝返ることにしたからだ―――

(兎角)

 


それは黒組というゲームの乗らないことを意味する。ゲームに従わないということは、ゲームを疑っているということ。一ノ瀬晴という少女を殺すことの意義を見いだせないからこそ、兎角はこのゲームを放棄した。

兎角の生涯が分からないけど、私にはこの兎角の選択が、はじめて彼女が自分の意志で「なにかを選んだ」んじゃないのかなと思った。

自分の意志で、なにかを選ぶ。
誰かに言われたから、誰かの考えで、誰かの思惑で動かないということ。

確か一話か2話でカイバは教壇に達、こう言った。「喋るな話すな黙れ」と。立場が違う者同士が、会話したところで理解なんてできるわけねえ、それにお前らはすぐに合わなくなるのに相手のことを知ってどうなる? そう語った。

兎角もおそらくカイバの言葉を順守して、人となるべく話さず関わらず生きているように見える。

けれども一ノ瀬晴と「会話」することで、晴の生い立ち、抱えているものを少し分かってしまったんだろう。相手の痛みが少し、理解できてしまったんじゃないか?兎角は。

それも晴の抱えているものは、兎角と近かったのかもしれない。「呪い」という共通点で。

「晴が生きているだけで困るっていう人達がたくさんいるんだ」

「晴を今日まで生かす為に家族はみんな死んじゃった」
 

「お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんも弟も、お爺ちゃんも皆。晴の命は晴一人のものじゃない。皆が守ってくれた命なの。お母さんが晴を庇って死んでしまった時、晴はさようならさえ言えなかった。 

でもお母さんはいつもここにいて、正しいことを教えてくれる」

 

―――呪いだ

 

「晴の笑ってる顔がみんな好きだって言うから。晴は泣いたりしない

 

―――これは呪いだ

 

「晴は笑うために生まれてきたんだから」

 

―――死者が遺した強すぎる想い

(晴、兎角)

 
誰かと会話するということは、その誰かに自分を重ねあわせるものに等しい。そして相手に自分との共通点があると知ってしまった、相手は"自分"になる。相手のことを自分のように思えてしまう。

それが人間なんだと、共感性と他者読解性を有した人間なんだと私は思っている。(Cf.なぜ「殺人」が起きるのか? 倫理的価値観と自己拡大化の影響について(2030文字)


つまりね、兎角は、晴に、自分を見た。ということです。


 

 

 

黒組のゲームルールを、晴が了承している可能性

 

「黒組の皆は晴を殺すために転校してきたんだよね」 

「知っていたのか」 

――晴、兎角

 「これが最後の試練なの。晴は絶対に負けない。必ず黒組を生き延びて……」

――晴
 

 

この2つの言葉から、黒組のゲームは一ノ瀬晴了承のもと執り行われている可能性があると思います。(そりゃそうだよね!って気もします)


そして気になるのが黒組のゲーム内容。これもなんだかおかしい。なぜなら「一ノ瀬晴を殺す」為だけだったら、殺しを「一回」に限定する必要がないから。

一ノ瀬晴が強すぎて一般人では手に負えないから、腕の在る暗殺者を呼び寄せ早く殺してくれ的なゲーム内容かな?って思ったんですがそうじゃなかった。

暗殺者は一回限りの殺しの予告しか出来ない。そして48時間いないにターゲットを殺害できなければ即退学。このルールの意味するところは、晴と黒組ゲーム提案者となんらかの交渉・契約が行われているという可能性。

―――12回の暗殺を回避できれば、もう手出しはしない。代わりに12回暗殺されろ。

そんなところだろうか? これを真実だと仮定。すると晴の家族を殺してきた組織こそが、この黒組のゲームを仕切っている奴なのだろう。

それがゲームを仕切っている「走り 鳰」なんだろうか? いや違う気がする。彼女はただ取りまとめているだけであって、晴の生い立ちに深く関与していないように思えるが……果たして?



 

 

晴の呪と、恐怖しないその心

 

兎角「私もお前の命を狙っている」
晴「うん知ってる

兎角「怖くないのか? なんで逃げないんだ。お前はどうして……」

晴「兎角さん、晴は殺される為に生まれたんじゃない。生きる為に生まれたんだ

 

―――傷だらけのくせに、どうせすぐ殺されるくせに、どうしてこんな目をしているんだ

 
晴ちゃんすげーよ……なんだよこの子。

自分が殺されると理解しながら、誰にも怯えたりしていない。恐怖心すらも感じていないように思える。

それも「黒組ゲーム」の渦中に自分がいると分かりながらも、暗殺者と仲良くしようとするところが本当に凄い。殺そうとしている相手と仲良く出来るってこと、それはつまり自分は"死なない"って思っているからこその芸当だ。 

 

晴は死にませんよ。晴には魔法がかかっています。晴には絶対死なない魔法が……

――晴 

 そう晴は言っているじゃないか。殺される為に生まれてきたんじゃない。生きる為に生きるんだと。彼女は自分の為に死んでいったものに「死んだ意味」を与えたいんだろう。

―――あなたたちが死んだのは無駄じゃなかった。

ならその為に出来ることはなんだろうか? 

→自分が笑って生きることなんだと。

晴が笑って(=幸せ)に生きる事が出来れば、死者に報えると彼女はそう信じたんじゃないか?

 

 

晴「これが最後の試練なの。晴は絶対に負けない。必ず黒組を生き延びて…」 

兎角「無理だ。」 


「晴が証明するの。皆の死は無駄じゃなかったんだって」


兎角「無理だッ!」 

―――晴、晴

 
一ノ瀬晴という女の子が、12人の暗殺者からの襲撃を回避して生き残れる未来はあるんだろうか?

晴が12人の暗殺者の技能・精神ともに、すべてを上回っていればありえることだろう。しかし現状の彼女を見たところ……そんな力はあるんだろうか?………分からない。

もし彼女が自分の力を冷静に分析でき、かつその能力が12人の暗殺者をまわしてまで生き残れないと知りながらも

知りながらも!!

この黒組ゲームを生き残ると言っているんだとしたら!!彼女は「未来」を見ることをやめている人間だよ!!

私が言っているこの未来を見ていないというのは、考えなしとか、自暴自棄になってるとかそういうことじゃない。言い換えれば【今】だけを見ることが出来る人。

この【今】だけを見れる人間ってのは、中々にいない。だいたい今と過去を計測して、ありえるだろうなという未来を予測するものだからだ。

スポーツであと一点で負けるゲームがあったとしよう。敵チームはあと一点取れば勝てる試合。そして自チームは後20点連続で・取らなければ勝てない試合だっとする。

この時自チームの選手はこう思っているだろう、「これはもう負けだ」「負けしかない」と。決してこの戦局で連続にポイントを取り、敵チームを打破することなんて不可能だと。

そうして"負けが決まった"戦いに、士気が高まるはずもなく、凡ミスを繰り返したり、勝ちに行こうという姿勢がプレイから消える。


でもそれは「未来」を見ているからだ。勝ちにいく姿勢がなくなってしまうのは、当然起こりえるであろう未来を予測した結果、今の自分が負けた結末を迎えた自分になっているのだ。

しかし【今】だけを見据えられる人間は違う。たとえ戦局が圧倒的に悪くてもまだ「負けてない」と言うだろう。だってそうじゃないか、まだゲームは終わってないのだから。負けは決まっていないのだから。なら自分達が勝てるという結末ももちろんある。

すると負け戦のような姿勢がなくなる。勝ちにいこうとする貪欲なプレイに生まれ変わる。

【今】だけを見るとは、【今】だけに最善を尽くすことである。


―――もしかしたら一ノ瀬晴という女の子も、そういう【今】だけを見据えられる人間なのかもしれない。

 

 

<参考>