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「Angel Beats!」10話__日向がユイの人生を「物語化」し救済したという見方(3408文字)

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 ユイと日向が交わしたこの言葉は一体何なんだろう?

 

 

 

 

 

Angel Beats!10話「Goodbye Days

 

 

10話「Goodbye Days」で、音無はユイの願いを叶えさせていく。
生前、身体が不自由になり、歩くことも立つことも出来なくなった彼女の願いプロレスの技を決めたい、サッカーでドリブル5人抜きなどなど。

そしていろいろな夢を叶えたユイは満足感でいっぱいのように見えたけれど、消えない。それは、彼女が最も叶えたい願い事が果たされていないからだ。

 

「結婚」

「女の究極の幸せ」

(ユイ)

 

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ユイが求めている「結婚」って、形式上のものではなく、ちゃんと内実(=相互に愛しあう)がある究極の幸せの形を言っているんだと思う。ようするに、愛がない結婚はダメってことですね(きっと)。

でもこんな自分じゃ無理だよね? 愛していくれる人なんていないよね? だって私の身体は……。とユイは「結婚」を叶えたいけれど、自分自身に愛される要素が無い、という諦めが滲みでています。

「でも、家事も洗濯も出来ない。それどころか一人じゃ何にもできない、迷惑ばかりかけているこんなお荷物。……だれが貰ってくれるかな……

神さまってひどいよね。わたしの幸せ全部……奪っていったんだ」

「…そんなこと……な…い…」

「じゃあ先輩、わたしと結婚してくれますか 」

「…それは……」

(音無、ユイ)

 

ユイの一番叶えたいことを、叶えるには、「自分を愛してくれる存在」が必要なんですけど、それは音無足り得ない。だって彼はユイをそういう目で観ていないから。

ユイという女の子の「生前の苦しみ」を救うには、死後の世界にいる五体満足のユイじゃなくて、「生前の歩くことさえ出来ないユイ」まるごとを愛してくれる人じゃないと、彼女はきっと心が満たされないと思うんですよね……。

この何度も何度も繰り返す「……だって私は歩けないし立てないんだよ……」とか「家から出られないんだよ……」っていうのは、今を認めてほしいんじゃなくて、生前を受け止めて欲しいことの現れないんじゃないのかなと。

 


「――――俺がしてやんよ! 」

 

「俺が結婚してやんよ。これが俺の本気だ」



「そんな、そんな先輩がほんとのあたしを知らないもん」
「現実が、生きてきた時のおまえがどんなでも、俺が結婚してやんよ! ……もしお前がどんなハンデを抱えてでも」

「ユイ歩けないよ、立てないよ」
どんなハンデでもつったろ!! 歩けなくても立てなくても、もし子どもが産めなくても、それでも俺はお前と結婚してやんよ!!


「ずっとずっとそばにいてやんよ。ここで出会ったお前は、ユイの偽物じゃない。ユイだ。どこで出会っていたとしても、俺は好きになっていたはずだ。また60億分の1の確率で出会えたら、そんときもまた、お前が動けない身体だったとしてもお前と結婚してやんよ」

「出会えないよ、ユイ家で寝たっきりだもん」

「俺野球やってるからさ、ある日お前んちの窓をパリーンと打った珠で割っちまうんだ。それを取りに行くとさ、お前がいるんだ。それが出会い。話するとさ、気が合ってさ、いつしか毎日通うようになる。介護も始める。そういうのはどうだ? 」

「……うん、ねえそんときはさ……わたしをいつも一人でさ、頑張って介護してくれたわたしのお母さん……楽にしてあげてね…… 」

「任せろ」
「…っ……良かった――――」


(日向、ユイ)

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そして「結婚」にこだわるのは、迷惑をかけ続けた母親の存在も大きいのかなと思います。結婚という異性を家に迎えることで、母親にかかる負担を抑えたい、楽にしてあげてと。(ユイの心残りって、母親への罪悪感のほうが大きいのだろうか?……)

 

 

 +++

 

で、やっと本題。

 

日向とユイが交わしたこれって、一体「なんなの」? ということです。

 

 

これいったいなんなの?!

 

 

 

これがいわゆる「約束」なら分かるんです。「未来で結婚しよう」「うん!」ってことですから。死後の世界で結婚しようってことなら分かるんですけど……そうじゃない……。 それなら、ユイは生前の過去について言及なんてしませんから。

彼と彼女が交わした言葉は『死後の世界』の先の世界のことについて? という線も考えられますが、これも無いと思います。なぜなら「死後の世界」から消えたらどうなるか? それが今のところ明らかになっていません。消えたあと、ミジンコになっているかもしれないしゾウリムシになっているかもしれない。 

もしくは人間として新たな生命が与えられて、再び生きることになるかもしれない。あるいは無と帰すかもしれない。そういった確定していない未確定な領域にあるんですね、死後の世界の「次」というのは。

日向は「また60億分の1の確率で出会えたら」と言っていますが、どうも「死後の世界→生前の世界に戻る」と言った意味でも、「死後の世界→新しい人間としてやり直す」といった意味には聞こえません。


これはなんていうか……未来に向けた遂行宣言であるところの「約束」ではなくて、「過去の物語化」とでも言うのかな?

日向が言った「お母さんを楽にする」「お前と結婚してやんよ」「窓ガラスを割ってお前と出逢う」っていうのが、未来に向けた話じゃなくて、全部ユイの生前の過去を救済するためのものだったとしたら、納得できそうな気がします。

過去を改変するんじゃなくて、「過去を物語に落とし込んで、ハッピーエンドにする」そんなやり方な気がします。

というかですね……この概念……っていったらいいのかな? この「過去を物語化」って……一度も見たことなくて、大きすぎる考え方すぎて未だに私は掴めていない(汗)

……話を戻すと、ここのミソは、日向の言葉では「過去は改変」できないことです。もちろんそうです。日向が「母親を楽にする」とか「お前と結婚してやんよ」と言っても、過去が変わるわけじゃない。


生前のユイの人生が変わるわけではない。

 

 

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け・れ・ど、日向の言葉によって、ユイは「納得」した。満足してしまった。だからこの死後の世界から消えてしまった


日向は生前の過去を実際に変えたわけじゃないけれど、「物語化(=あったかもしれない人生)」に"置き換えた"ことで、ユイは願い事を叶えてしまったんですから。

 

(うまく説明できているかな?……)

 

 

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■ まとめてみます。



1、ユイの「心からの願い」を叶えるには、「結婚」してくれる存在が必要。その存在は、生前のユイの身体的欠損を、そして家族である母親をまるごと愛せる人ではないといけない。

ユイの望みは『死後の世界』のの自分ではなく、『生前の人生』である過去の自分と結婚してくれる人、という言い方もできる。


つまり、『死後の世界』で「結婚」することが彼女の本意ではない。『生前の世界』で結婚をしたいんじゃないか? という指摘です。


となると、未来へ向けた約束をするのではなく、過去に向けた救済という目線だと思います。 しかし実際のところそれは不可能です。この『死後の世界』から過去を改変することも、あるいはここの世界から消えて、『生前の過去』に戻れるなんて保証は無いのですから。

ゆえに、日向がユイと交わした言葉は、未来に向けての言葉ではなく、過去に向けた「幸せな物語化」であると私は見ます。

日向は、ユイの生前の人生を改変したわけじゃないですが、「幸せな物語」と「本当の生前の人生」を置換したんじゃないですかね? 


――――「お前の生前の人生、こういう結末はどうだ?」と。


ある日、交通事故によって歩けなくなって、立てなくなってしまった女の子いてさ、んである日その子のの窓がパリーンと割れて、俺とお前が出逢うってわけよ。で気がつけば話があって、通うようになって、介護もはじめて、お前のお母さんも幸せになって、もちろんユイお前も幸せになったよ――――と。

そんなハッピーエンドを聞いたユイは、本物である生前の人生より、偽物である"虚構"のほうに価値が上回り、勝ってしまった。だから満足して納得して、この『死後の世界』から消えた、そんなふうに思います。

過去を物語として"置き換える"。日向が行なったことは、もうとんでもなく凄いことだよこれ……。(もう凄すぎて私の語彙力じゃうまく言い表せないですね……)

 

てことで、終わりです。

 

 

 

んじゃまったねー!

 

 

<参考>

 

 
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