猫箱ただひとつ

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Angel Beats! 6話・感想__この「不完全」な世界を愛せますか? (6026文字)

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お前の人生だって本物だったはずだろ!!

 

 

 

 

 

 

 

なぜNPCを攻撃してはいけないか?

 

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ゆりはしきりに「NPCを攻撃してはダメ」と繰り返す。 

しかし、何故ダメなのだろう? なぜ攻撃してはいけないのだ?



今回を観る限り、NPCを攻撃すると「何かヤバイことが起る」といった類のものは観測できなかった。(←グラウンドで天使がNPCに攻撃)

何が、ゆりっぺに「攻撃してはダメ」と言わせるんだろうか。


1、NPCを攻撃すると「NPCはこの世界から消える」
2、NPCを攻撃することで、「人を攻撃」しているという罪悪感に苛まれる


(1)。天使はグラウンドでNPCをおそらく殺害してみせた。その後彼らNPCがどうなったのか分からない。もしかしたら消えるのかも?

(2)。消えても消えなくても、NPCを攻撃するのは否応なく「人に向けて」殺意を放っているのと同じかもしれない。 "他者を殺す" という最大級の倫理観に触れてしまっている為、「理由なく」ダメだと言っている可能性。

んー、どうなんだろ。一応思考の履歴として残しておこう。

 

天使ちゃんの心模様

 

「休み時間の食事は校則違反だ」
「忘れてた。 そうだったわね、校則違反だった。忘れてた」

(コイツ素で忘れていたに違いない。好物の麻婆豆腐恐るべし……!)

――――直井、天使、音無

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天使ちゃんは、規律に厳しいのかな? と思っていたけど、あーそうじゃないのかーと。

私のなかで、天使ちゃんが生徒会長のときの思い出がすごい引っ張られている。実際彼女はゆりっぺの言うとおり「ただ責任を感じて」、規律正しく折り目正しい学園生活を管理していただけなんだろう。 「ルールと慾望」秤にかけたとき、ルール<慾望 という決断を下してしまう(←麻婆豆腐食べる)のは、それだろうと。


彼女にとって、学校の校則なんてものは、ほんとうにどうでもいいものだったのだろう。忘れてた、と二回繰り返すくらいには。


となると、天使ちゃんは「与えられた責を全うする」ことに関しては、とても強い思いれがある? もしくは責任感がやたら強い?


あと天使ちゃんの心もようとして、面白いと思ったのがここの場面だろうか。

 

「つーかここはどこだよ!! まるで独房じゃないか!!」

「眠い……眠るわ」
「お、おいおいそんな場合かよ!?」

「他なにかすることあるの」
「おかしいじゃないか! こんな独房みたいなところに閉じ込められてよ!!」

「それで反省になるのだから仕方ないじゃない」


――――音無、天使

 

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麻婆豆腐を食べていたとして、いきなり独房に閉じ込められる天使と音無。

音無の取り乱し具合は納得できる。「麻婆豆腐食ってたくらいでなんで?!」と。反対に天使ちゃんは「……どうでもいいなあ、眠いなあ、じゃあ眠るかな……」みたいな感じに見える(笑)

彼女にとって「独房に閉じ込められる」ことはすでに予測していたのかも? もしくは私が突飛な状況だと思うところでも、彼女は「当たり前」なものとして受け入れられる心のあり方を有している?……。


それで反省になるのだから仕方ないじゃない


この言葉がなんだかとても怖い。異質さをとても感じる。

反省になるのなら、こういう状況でも耐えられるのか? それとも「反省=贖い」ならば、 "どんな" 罰でも耐えるという決意の現れなんだろうか……(穿ちすぎ?)

なにを考えているのだろう……奏は。

 

あとここもちょっと奏の行動にて思考。(奏=天使、なんだけど名前の呼び方どうしよう……どっちも好きなので……むむ)

 

「助けてくれ、仲間が大変なんだ」
「おかしなことを言うのね。
助けて欲しいのはこっちじゃない」

「それは重々承知だ。でもお前なら出来るかもしれない、みんなが待ってるんだ!!」

 

―――ガードスキル・ハンドソニック

 

――――音無、天使

 

天使ちゃんは音無の必死の頼みにより、扉をぶち壊してくれるんだけど、あれじゃあ、彼女は、「抜け出す力」はあったけど、「抜け出す気」はやっぱり無かったのかと。

校則は忘れるくらいにどうでもいい存在だったけれど、「破った」ことには変わりがない。悪いことをしたのなら、反省する必要がある→だからこの独房で反省する。

という考えなのかな?……。


あと、この行動原理は「意固地」なものじゃなくて、わりと臨機応変にシフトできるもよう。(←音無の頼みによって、抜け出そうとするので)

fmfm。

 

 

 

いじわるな世界のシステム

 

 

 

「もしも俺に記憶があったら……もしも最初にバカな質問をしなかったら、この世界で俺はお前の味方でいたかもな」

「そんな人はいなかったわ」
「…いても……いいじゃないわ」

「いないわ、いたとしても皆消えちゃうもの」

 

(そっか……こいつの味方をするということは、楽しい学園生活を送ってこの世界から消えてしまうということ、なのか。 ……ははっ……そっか、なんか笑えてくる……こいつが可哀想すぎて不憫すぎて……なんて世界のシステムだっ)

――――音無、天使

 

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たいていの人は、記憶による「心からの願い」を、学園生活によって満たしちゃうんだろうね……。

でも天使は未だに消えていない。今もなおこの世界に居続けている。天使の「心からの願い」は、学園生活では叶えられないんだろう。

そして「願いを叶えられない」者は、ここにずっとい続けることになる、そんなことを示唆している気がする。 

 

 

 

 

なぜ直井は、天使を閉じ込めたのか?

 

 

「あそこからどうやって出てきた」
「扉を壊した」

「何年かけて作ったと思っているんだ」

――――直井、天使

 

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なぜ、直井は天使を閉じ込める必要があったのか?


状況だけを観るならば、「天使はNPCを攻撃できるから」だろうか? 直井がゆりに催眠術をかけるところで、「ダメだあああ!!」と叫びながら音無が突っ込んでくる。

このとき、音無は催眠術によって操られたNPCによって、身動きができなかった。銃を向けられ、立ちすくむしか無かった。けれど、直井に向かって走り寄ることができている。どうして?

天使がNPCを殺したからだ。だから音無は動くことができた。

 

直井が、ゆり率いるSSSを従順にしようと思ったら、NPCを盾にして攻略するのがとても効率がいいはず。(←現にその戦略を実行してきた)

なぜなら、ゆり達は「NPCを攻撃できない」からだ。(理由は不明)。しかし、「NPCを攻撃できる」ものがいた場合、この戦略は塵と化す。


だから「NPCを攻撃できる」天使を幽閉したのかなって思います。 

 

「私ね天使は幽閉されていると思うの。(中略)
もっと簡単に抜け出せないような場所にいると思うの」

「天使を連れてきて、この酷い戦いを終わらせるには、天使の存在が必要なの」

――――ゆり

 

 

 

 

神になりたかった

 

 

「逆らうのか、神に。
 僕が神だ」

「ここは神を選ぶ世界だと、誰も気づいていないのか?
生きてきた記憶がある。みな一様に酷い人生だっただろう。なぜ? それこそが神になる権利だからだ。

生きる苦しみを知る僕らこそが、神になる権利を持っているからだ。僕は今そこに辿りつけた」


――――直井

 

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神に抗うゆり、神と間違われ続けた奏、神になりたかった直井。



神、神、神さま。


私が彷彿する神さまは、全知全能の唯一神。指をこすれば全ての万物が生まれ、息を吹きかければ命ともしゆく、そんな存在。運命も宿命も因果もすべて神が握っている、お前さえどうにかすれば、全てがどうにかなるとそういう幻想的概念。

……でもそんなものは本当にいるんだろうか?……。 神はもう死んでいるの? それとも全知無能なだけ? 荒唐無稽の無知無能なの? ねえ?!

 

……だからこそ、神を敵視し、抗う存在と位置づけることで救われると信じる者、または万能な神に自分がなることで、救済を求める者が出てくるんだろう。


直井がいう「ここは神の選ぶ世界」という、主張は正しいのか? 間違っているのか? 彼がそう想っているだけなんじゃないか?

 

この「死後の世界」で "消えて" しまう条件が、「心からの願い事を叶える」ものだと思っているんだけど、これはつまるところ

 

生前の人生を許せることができたか?

 

という問いに繋がるんだと思う。酷く辛い出来事をそれは「在ってよかった」と認められますか? と。 絶望から希望を見出すことはできましたか? と。

岩沢で言えば、彼女は、自分が今まで生きてきたことを全肯定できたからこそ、成仏できたんだと思う。ライブで夢を叶えられた=「Aletheia」を叶えられたと。

生まれてきた意味、絶対に叶えたい願い事を満たすことができたから。


でも、どうなんだろうね? 直井の

 

生きる苦しみを知る僕らこそが、神になる権利を持っているからだ。僕は今そこに辿りつけた


という言葉は、「最低な人生があったから、僕は神になれた」というもの。それに、最後には音無によって「直井は一番聴きたかった言葉、認めてくれた言葉」を受け止める。でも直井は消えない。

んー、まだちょっと仮定にしとうこうAletheiaは。

 

 

 

 

本物だった人生


 

 

「神は決まった。ならお前たちに安らぎを与えよう」
(中略)
「貴様も今から成仏するんだ、幸せな夢と共に」

「僕が時間をかけて準備してきたのは、天使の牢獄を創ることだけじゃない。催眠術だ。……さあ目を閉じるんだ。貴様は今から幸せな夢を観る。こんな世界でも幸せな夢を見れるんだ」

(まさか……まさかって、まさか……そんな)

 

――――直井、ゆり

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直井は自分を神になったとそう思っている。神はなにをするか? 苦痛で喘いでいるものに、安らぎを与える。それが彼の「神の像」なんだと思う。

苦しい痛みを与える神、ではなくて安らぎを与える神だと。

 

「君たちは神になる権利を与えられた魂であると同時に、生前の記憶に苦しみもがき続ける者たちだ」

――――直井

 

 

なぜ直井が思う神は、安らぎを与えるのか? それは直井が安らぎを欲しているからではないか? 自分の生前のどうしようもない記憶をどうにかしてほしいからじゃないか?

 

 

(よかった。厳しい父について、これからも修行を続けていこう、そして日本一の陶芸家になろう)

(――――その父が床に臥せった。回復の見込みは無いらしい。もう轆轤は回せない。僕を陶芸を教えることはもちろん、僕を叱ることもなくなった。……食事を与えるとやさしげに微笑むのだった。

僕の人生の意味は……。
こんな腕じゃ工房も持てないし、一人立ちもできない。

ずっとこの人の世話をしていく人生なの?

――――ねえっ、神さま!!

 

 


「死んだのはお前だ」

 

あの時死んだのは本当に僕だったよ。あそこから頑張ったのはずっと兄で、ここにいるのも兄で、父と兄しかいなかったんだ。

僕の人生は偽りだった。僕はどこにもいなかったんだ。 

――――直井

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直井の生前の人生。そして最後の切実な叫びは、「生きてきたことへの全否定」だと思う。

偽物な人生に、価値なんかないと。だから直井は、神になって、自分と同じ「偽物な人生」を味わった他者。

そんな他者の人生を「本物」にする為に、催眠術を覚え、「人生(=記憶)を書き換える」という行為に及んだんだろうか……。

 

 

 

 

そんな紛いもんの記憶で消すなあぁああああ!!! 俺たちの生きてきた人生は本物だ!! なに一つ嘘のない人生なんだよ、皆懸命に生きてきたんだよ!! そうして刻まれてきた記憶なんだ、必死に生きてきた記憶なんだ、それがどんなものであろうが俺たちが生きてきた人生なんだよ!!

 

それを結果だけ上塗りしようだなんて……おまえの人生だって本物だったはずだろっ!! 頑張ったのはお前だ! 必死にもがいたのもお前だ違うか!?

 

「何を知ったふうな 」

「分かるさ、ここにお前もいるんだから 」

「なら、あんた認めてくれんの、このぼくを 」



「お前以外の何を認めろっていうんだよっ!」

 

「俺が抱いているのはお前だ、お前以外いない、……お前だけだよ」


――――音無、直井

 

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「だが、隼人もやりおる」

一番聴きたかった言葉、ぼくを認めてくれた言葉。

――――直井

 

 

音無の言葉、直井が最後にいたった心境、
それらはすべて

 

この不完全な世界を愛した」と言っていいんじゃないかな。



死にゆく世界、理不尽な世界、唐突に不幸になり、突然に苦渋に満ちた日常を送るそんな世界。 親が毎日喧嘩をし、酔って瓶で殴打してきたり、それが原因で脳梗塞になりベッドで死んだ人生。 30分で妹2人と、弟1人を殺された人生。

 

……そういったもうどうしようもないほど欠陥だらけのこの世界を愛せますか?

苦しく辛く痛いだけの人生だったけど、そんな世界を肯定できますか? と。

 


直井がおこなった催眠術による、「幸せな世界」っていうのは、ようするに「完璧な世界」なんだと思う。痛くもない悲しいこともない、ただ幸せで笑顔にあふれている世界。偽物な世界。 


いつも思うんだけど、この偽物の世界って、たいてい「幸せ」なものなんだよね。逆に本当の私達が生きている世界って「苦しい」ものなんですよね。 


「偽物の世界(幸せ)」と「本物の世界(苦しい)」

この2つが提示されてきたとき、どっちを選ぶか? 偽物でも幸せなほうがいいか? 本物でも苦しいほうがいいか?

 

私は「偽物の世界(幸せ)」でもいいと思うんですよね。わざわざキツいだけの世界なんて選ばなくていいよ。だって人間さまが生きる動機って幸せになりたい、ただそれだけでしょ?って。


でも "この" 本物の世界をたいてい、みんな選ぶ。そっちを選ぶの、なんで? と。

なんで苦しい世界を選ぶの? 偽物だからって別にいいじゃない? と。

 

そして行き着く、差異が、「不完全なもの」を受け入れられるか? そうでないかの違いなんだと気づきました。


まあ何度も繰り返しているので、ちょっとくどいなとは思うんですけど、音無の「お前の人生だって本物だったはずだろぅっ!!」って言っているのは、

音無は記憶が無いながらも、本物の人生(=生前の世界)を受け入れているんだと思います。不完全な世界を "愛" していないと、この言葉は吐けない。

んで、音無は生前の記憶がないのに、どうしてそんなことが言えるのか? それは「神(=生前の人生)に抗っているゆり達」がとてもカッコイイからなんじゃないですかね?

彼女たちは「あんな人生なんて許せない!」でもだからって、それを "無くしたい" とは思ってないのが伝わるからかなとか。そんなふうに。

 

 

 

 

言葉メモ

 

「でも陰湿にね、影で一般生徒に暴力を振るっていたの。表で模範的な活動をし、裏で悪事を働く、それでこの世界でのバランスを取っていたというわけ」

――――ゆり

 

 

 

おわり

 

 

直井なんか好きなんですよね。

またね!

 

 

 

<参考>

Angel Beats! -Track ZERO-