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「Angel Beats!」の面白さは、世界の不確実性がむき出しになっているから__1話・感想。(7042文字)

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ここは死んだあとの世界
何もしなければ消されるわよ

 

 

 

Angel Beats!』のゲーム版の決定が正式発表され、「もう1回見てみようかな?」と思い立ちました。

このアニメも、まどか☆マギカと同じく自分の中でうまく掴みきれていないので、思考していきます。もうねこれすごい楽しい。

 

んでは行ってみましょうー。

 

 

 

 

 

 

 

Angel Beats!が面白いのは、世界の不確実性をむき出しにしているから

 

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順応性を高めなさい。あるがままを受け止めるの」

「受け止めてなにをすればいいんだよ……」
「戦うのよ」
「なにと?」
「あれよ」

――――ゆりっぺ、音無

 

よく分からない場所、見たこともない世界の中で、音無は目を覚まします。

知らない女の子が、戦うだの、神だの、死んだ後だのと、銃を構えながら語る姿は意味不明です。滑稽です。馬鹿馬鹿しいです。


しかしそこからどんどん訪れる、「世界の不明」さが、むき出しになっていくんですね。


心臓を突かれても死なない身体。
死んでここに来たと言われる人間たち。
NPCという、命を持たないキャラクター。
天使という存在。

 

そういった自分が知っている "世界ではない” という事実を目の当たりにしていきます。この「予測不可能」な状態が、たまらなく面白いんです。


「え。でもアニメって得てしてそうじゃない?」


という意見もあるんと思うんですけど、Angel Beats!はどの「型」かわからない点が予測不可能な状態を作り上げているんだと思います。



例えば、「異世界モノ」だったら、剣と魔法が存在して、オークとかゴブリンとかそういったモンスターがいて勇者がいて魔王がいる。そういった「前提」を知っています。

多少物語の内容が、違ってても、大枠の意味ではもう既に"知っている”お話ですよね。
これは「学園恋愛モノ」「セカイ系」「世界荒廃系」「SFモノ」「吸血鬼」「日常」…………といったジャンル然りです。 

大枠の「型」を知っていれば、当然、知らない→知るから起るワクワクドキドキ感が起きにくいです。既に知っていることに対して、感動することは難しい。 対して、この『Angel Beats!』はどの「型」なのかイマイチよくわからない。 


学園は体しているけれど、みんな死んでいるらしいし? 天使がいるらしいし? 恋愛とは程遠い空気が醸しているっぽい?……みたいな。そんな「世界のルール」が全然見えてこない。そして、知らないルールがどんどんどん明らかになっていく。

物語の先が読めない、自分が今いる位置が判然としない。なのに展開は目まぐるしく変わり、様々な選択を突きつけてくる


そんな「世界の不確実性」がむき出しになり、自分という個体にぶつかってくる様がとても面白いんだと私は思うんですよね。“分かってる” 、“先が読みやすい”っていうのって、つまらないからです。

当時、レコーダーを所有しているにも関わらず、私はほぼ毎話リアルタイムでABを観ていたんですけど、 その理由ってこの「よくわからない世界」・「予測不可能な現実」という点がとてもワクワクドキドキしていたんだなと、今更ながらに思いました。

 

 

 

 

音無が感じる「世界の不確実性」の戸惑いは、私達の世界でもある

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世界というのは、本当によく分からない。予測は可能でも、予言は不可能。なぜなら、この世界は不確実なモノだから。


唐突に自動車に跳ねられたり、強盗に財産を奪われたり、地震によって生活をめちゃくちゃにされたり、他者の怨恨によって殺される――――そんなノイズと乱数に満ちた世界。

本来、私達が生きている世界って、そういうものだと思います。確定していることが無く、不確実なことで溢れている。少なくとも、私の知っている世界はそんな感じです。



けれど私がのほほんと、わりと安寧に暮らしているのは、「この世界のルール」をよく知っているからです。


人を殴れば拳は痛くなるし、太陽が昇れば温かい日になる。6月21日は夏至で、12月24日はクリスマスイヴ。人は必ず死ぬものだし、生き返ることはない。地震が起こる原因はプレートによる…………etc

といった具合に、私が知覚できるごくごく狭い範囲の「世界」でもそういうあらかたの「前提」は"知っている”んですね。

それは長い年月とともに、培われてきた知識といえます。自分の経験則や、人類の積み重ねてきた学問、人間が何千年と積み上げてきた確定した結果の羅列によって 絶対的な安心感が生まれています。

夜になったら月が現れ、朝になったら東から太陽が昇る。そのことにいちいち驚かないのは、それが世界のルールだと分かっているからです。


けど、もし、自分が、全然知らない世界へ、今、今、放り込まれたらどうなるんですかね

 

 

――――人間は病みも老いも死にもしない世界。
――――神に抗い続ける集団。
――――天使の超常の戦闘力。

 

 

 

 

「天使の言いなりになって、授業や部活を受けると、私達人は消えちゃうの」

――――ゆりっぺ

 



そんなまったくもって 知らない 世界に足を踏み入れたとき、恐怖を覚えると思うんですよね。もしくは「どうしたらいいかわからない」という錯乱状態に。

だって「知らなかった!」じゃ済まされない世界のルールが山盛りになって、自分に襲いかかってくるんです。並の人なら茫然自失になってしまうかもしれません。


幸か不幸か、音無結弦には「記憶が無い」です。生活に支障がないようなので、自分のパーソナリティに関するものだけが消失してしまているのでしょう。その為か恐慌状態や混乱とまではいっていないようですね。ただ、戸惑っている。

 
心臓を一突きにされても、血が肉から溢れだしても、生きている世界。そんなルール知らないよ! 聞かされていないよ! と。

さらにいえば、ゆりっぺ達にも「知らない」ことが山盛りにある。神の存在とは? なぜ天使がいるのか? 彼女の目的は? なぜ自分たちがここにいるのか?

 

「神についてだ、存在するのか?」

「私は信じるわ。まだ見たことがないけど」


――――音無結弦、ゆりっぺ 



そういった「世界の不確実性」がむき出しになっていると言えます。


これって……すごーく意識がズレます。私達がいる世界って本来「こういう場所なんだな!」と気づけますから。ルールがわからないって、すごい怖いことなんだなとも。

 

 

 

「来世があったとして、人間じゃないかもしれないなんて冗談だろ? だって、そんなの確かめられないじゃないか」 

「誰か見てきたのかよ」 

「そりゃあ確かめられないわよ」 


――――音無結弦、ゆりっぺ

  

先述した「世界の不確実性」「予測不可能な現実」「ルールがわからないところで生きる」っていうのは、"世界”が丸裸になったカンジがするんですよね……。それを生身にぶつけられているような気がします。

そっか……私が生きている世界って、本当はよく分からないこういうものなんだな。そんな所では、「知らなかった」「教えてくれなかった」「聞いてなかった」なんていうことは通じないんだと。

その場その場で「最善手」を選択して決断していかなければいけないんだと! そういう場所だったんだと!
思わせてくれます。

 

 

 

 

私はあなたの味方よ、銃を向けるなと言うなら向けないわ。私を信用しなさい。 

――――ゆりっぺ

 

 

 

ガードスキル・ハンドソニック 

――――天使

 

 

 

 

(……クソっ、撃ってやる!! 
……でも、あんな華奢な身体を銃弾でか?…… 
……やらなきゃやられるんだ。 

なんの容赦もなく、な) 


――――音無結弦

 

 

そんな基本情報 0 のスタートから、経験・痛みによって、音無は「ああ、ここはこういう世界なんだな」と実感していきます。

 

で、するとこの状況って、今までの「善悪観」が一切役に立たなくなるんですね。当たり前なんですけどね……善悪観というのは、その時代、その国で、その場その場の大衆の総意で決まっていくものです。 

そして「この世界の善悪」がわからない上で、音無は「行動」し「選択」し「決断」していかなければいけない



――――死なない世界で人を傷つけることは悪か? 
――――授業を受けないのは善か? 
――――天使を攻撃することは?

 


一体なにが最適解で、どれが最善手なんだ? どうすれば理想の未来に近づける? この状態から抜け出せる?!

 

 

 

「対天使用の作戦本部というわけ。
ここ以外に安全に話し合える場所などないわ」

「少し時間をくれないか?」
「ここ以外でならどうぞ」

 

「…………っ。っおーけーだっ!! 」


――――ゆりっぺ、音無結弦

 

 

音無は、常に選択を迫られているんですよね。よく分からない場所だとかそんなこと言ってらないんです。知らないルールがあるからって、決断していかないと、「なんかヤバイ」っていう感覚が満ちているんじゃないですかね。

一歩先が真っ暗というのは、こういうことなんだなあ……と。

 

 

なあ、こんな所で話して大丈夫なのか?
ああ、作戦の話以外ならね。
……っ、騙された気分だ……。

――――音無結弦、ゆりっぺ

 
当然、自分が選択してきたことが、「間違い」だった場合もあるんですけど、それを非難するのはおかしいと思うんですよね。


"生きる” っていうことは、選択と決断の連続ですし、優先順位をどれに高く設定しておくかも重要です。その場その場のリアルタイムで求められる決断、それが「間違いだった」ことなんてざらなんですよ。

確か10話あたりで、天使ちゃんの真実が分かるんですけど、あれを見て「ゆりっぺ達が行ってきたことは、音無がやってきたことは"悪”だ!」と断じるのは安易すぎかなーと思います。


私たちの倫理観・常識を、外側から一歩引いた目線で、ゆりっぺ達がいる死なない世界に当てはめるのは、条件が違いすぎるんじゃないのかなって。 

そもそも私達は自分が生きている「ここの世界のルール」をある程度知っていますからね……ここの差って、大きいんですよ。


そして、これは


一歩先が真っ暗でよくわからない世界で必死で生きるって、こういうことだよ」と思うのです。

 


余談ですが、さらに音無には記憶がない。
これは自分の経験則から「善悪」を判断できないこと、を示唆しているように見えます。

 

 

 

 

「これだけの統率力と力があれば、何だってし放題なのに。こんな地味に飯食って暮らしているのか。

敵は本当にたったひとり。 天使だけなんだ。あいつと戦っているだけなんだ。

でも……正当化するのか? その行為。
……いやまだ早い。
俺には記憶がないんだから」

――――音無結弦

 

 

 

 

 

 

世界と抗い続ける

 

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あたし達がかつて生きていた世界では、人の死は無作為に無差別に訪れるものだった。だから抗いようもなかった。

でもこの世界は違うのよ。
天使にさえ、抵抗すれば存在し続けられる。抗えるのよ

――――ゆりっぺ

 

 

「死に抗える」っていうのは、なんつーかもう、ほんっと! 良いよね!!

死ぬっていうのは、私が生きてる世界の中でもうほんとうにどうしようもないレベルの「ルール」なのです。生きることを長く伸ばしても、それは死に抗ったとは言えません。「死」という概念、ルールに直接 "手を触れる” わけではありませんから。


でもこの『Angel Beats!』の世界なら出来る! 可能かもしれない! だからやるんだ!! そういうゆりっぺの意志が素晴らしいなあ……、ああ可愛い……。

 

 

「でも、待て、その先にあるのはなんなんだ?
お前らは何がしたいんだ?」

「私達の目的は、天使を消し去ること。
そして、この世界を手に入れる! 」

――――音無結弦、ゆりっぺ

 

 

これって要するに「生きたいんだ!!」という叫びなんだと思います。

もっともっと、存在していたい、生きていたい。消されるなんて絶対に嫌だ! 死にたくなんてない生きてやる!! って。

ああ人間らしくていいなあって……。そうだよね「生きたい」これにまさる生存動機はないと思う。

 

 

んでこの「生きるために天使(&神)を倒す」という信念が、SSSの行動動機に繋がっているんです。

ギャングスタ・リパブリカ』でも言っているんですけど、この共同体でもっともコミュニケーション強度が強くなるのって、「信念を共有」することだと思うんです。

信念とは、自分が信じている思想、生き方です。自分の人生でこれだけは譲れないとか、これだけは成し遂げるとかそういった考えが、共同体全員(=死んだ世界戦線)と「共有」している。

もうねめっちゃくちゃ強度が強いんですよねこれ。 目的ははっきりしているので、共同体としてはブレないですしね。

 

それとこの「死なない世界」では、生きるってなんなんだろう? という疑問に直面すると思うんですけど、これって「命を再定義」することに繋がるので、"生きてる”って実感が生まれやすいのかもなと。



「生きる→死」の構図が「生きる→→→」になってしまっている。天使に消されるという懸念はありますけど、致命傷や病気では死なないことはわかっている。すると、生きることって、ただ生き続けているだけではダメなんだなと思う気がするんですよね。何をすれば人として「生きる」ことになるのか? とてもいいテーマです。

 

 

 

 

死んだ世界戦線という、戦い続けるっていうこと

 

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一話でゆりっぺは、しつこいくらいに「戦線」という言葉を連呼する。戦線という言葉は絶対に外せないとも言う。


ゆりっぺの中では「生きる=戦う」ということなんだと思う。そう――――戦線に入隊するということは、「戦う覚悟をしろ」というものだろう。生きるってことは、そういうことなんだよと。

 


そういえば

 

銃火器による他者の攻撃、爆音、閃光による「天使との戦い」。これはおそらく……快楽になるんだろうなあ……とも思うのよね……。

敵という傷つけてもいいという大義名分、誰もが抱えている攻撃性の発散――――これは……うーんたぶん「生きててよかった」とか「人生に満足した」とは思わないんだろうなあ……。

人間の本能の部分を満たしても、たぶん、ダメな気がする。理性的な、感情の延長線上にある「場所」を満たさなければいけないのかなって。 愛です? 愛ですねええ愛です。

 

 

 

 

 

 

Angel Beats1話の疑問点

 

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1.かなではなぜ音無の心臓を貫いたのか? 思考経緯。

 

ゆりっぺ曰く、音無が「死なないことを証明してくれ」と言った発言が悪いとのこと。 「彼女にしてみれば職員室を聞かれて答えるのと同じ」なんだそうな。

でも……本当にそうなのかな? いくらなんでも短絡的すぎない?


天使「聞かれたら答える→でもおそらく信じてもらえない→なら実際に体験させてあげる」

という思考経緯なんだろうか?

…………ん?

そういえば天使がここにる理由って――――だったはずなので、毎度新しく来た人の心臓を貫いているのかもしれない。ありえる? うんありえそう。

 

(ABの記憶がだいぶぼろぼろな故に、素直に楽しめるこれはなかなかに趣深い)

 

 

 

 

2.なぜ天使と対話しないのか

 

 

二回目の視聴だと、こう思っちゃうんですよね。

なぜゆりっぺたちは「天使との対話」を積極的にしないのか。と。

 

 

無感情で、無愛想で、言葉数が少ないくても、彼女との心のふれあいをするだけで疑問は氷塊し、一歩先へ進めるのになー……とおもったんですけど! けど!

これって「天使に接触し過ぎると消える」という考えの元なのかもしれませんね。

 

 

 

「模範通りに校内活動を行わない生徒に対しては、まず口頭注意。逃げれば追ってくるし、先回りして行く手を阻む」

「実力行使は?」
「目には目を! こっちが仕掛けたときはね」

「あと模範通りは "ふり” だけでもしないことね。それで消えたやつもいるわ」


――――ゆりっぺ、音無結弦

 

前述したとおり、この世界の「ルール」が全然分からない。もしかしたら不用意に天使と会話するだけで、「消えて」しまうかもしれない。

そして誰も、そんな実験に付き合ってくれるわけがない。消えるのは嫌だからSSSに入隊したのだから。

 

だから、どうしても手探り状態で進むしかないのか……。慎重に慎重に。自分も仲間も消えてしまうのは嫌だから……。

 

 

 

3.なぜライブ? 歌?

 

 

Angel Beats!』にはガルデモっていうバンドが登場するんですね。歌うわけです。歌い続けるわけです。けれど「歌」は根幹に関わってくるわけではない。

ガルデモという存在、歌はなんなのだろう? と思います。


血を流さないように、食事券を回収するには、まあわりと?いい戦略なのかな? どうなんでしょ。

歌……かあ……ふーむ。

 

 

 

メモ言葉

 

 

今俺がもっとも優先すべきもの、それは自分の記憶を取り戻すまでの時間を無事に稼ぐこと。それだけだ。それからは…………それからはわからない……。

――――音無結弦



 

「合言葉は?!」
「神も仏も天使もなし」

――――音無結弦、ゆりっぺ

 

 

 

 

おわり

 

 

一話の記事だっていうのに、めちゃくちゃ書きたいことをありすぎて楽しいです。

Angel Beats!」はそういった点でも私は好きなんですよね……。いろいろ考えられるのって、私的にとても重要です。

 

じゃあ今日はここまで、またね!



<参考>

 

この本は、「音無がくる前」の世界を描いているんですけど、こっちすごい面白いんですよね

Angel Beats! -Track ZERO-
 
 
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