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スマイルプリキュア23話 感想――このセカイで一番大切なものってなに? (5681文字)

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スマプリの22、23話を見た。

なんて良い物語なんだろう。なんで今まで見なかったんだろう。なんで、「プリキュア」という名前だけで敬遠していたんだろう。 

そんなことを思うくらいに、とってもとっても良かった。


これはある程度年齢を積み重ねた大人がみると、それもまだ"大切なもの”を捨てていない人がみると、痛いくらいに胸にくる。


それは「世界は実利じゃない」ってことを知っている人。お金や名誉、社会的優位、利益や実利……そういうのよりもっともっと大切なものがこの世界にはあるっていうことを。世界にはそういうので溢れているていうことを。

友情、愛、絆、勇気、克己、意志、固有性、心象風景…………。


―――言葉で聞くと、軽く聞こえるかもしれない。文字で見ても薄っぺらくしか意味が伝わらないかもしれない。

けれど私たちが見ている世界って、「実体」と「観念」が同時に存在する場所なんだよ。「実体」というのは、そこに実在する物、触れられる物。「観念」とはそんな"物”から、幻想を見出してしまう心のこと。

そんな2つの世界を同時に見ている。

私には実体よりも、観念の方が大事だと思える。観念の世界を見れるからこそ、人間が人間たりえるのだとそう思える。

この世界には、本来あらゆるものに"意味”なんてない。道端に転がっているのはただの石だし、美術館でみる絵はただの絵の具の塗り合わせ。

けれど私達は、石を"神”とみなし崇め信仰できるし、ただの絵を"美しい”ものとし時には2億円の絵画をさらりと買う人だっている。

ただのモノに、"魂”の存在を認識することができる。動物には出来なくて、人間だけが出来ること。人間だけが世界を『観』れる。 

動物に石を見せても、それはただの石という"鉱物"でしかない。絵を見せても彼らにはただの"模様”としか認識できない。

そんなふうに私たち人間は、「実体」から「観念」を見いだせる。もっとも大事で大切なものを感じ取れる。

 

 

 

 

 

 

スマイルプリキュア22話  全てを失うっていうこと

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プリキュアたちは大事なものを奪われてしまう。キャンディという妖精のお友だち、今まで必死で集めてきた「キュアデコル」というアイテム。

彼女たち5人はそれを突然に、理不尽に、敵に奪われてしまう。


私はこれが「現実にありえる」ことだと思った。私たちのこの世界は欠陥製品だと言ってもいい。青信号を横断していても、蛇行してきた車に跳ねられて死んでしまう人。天災によって降ってきた看板に頭を直撃して即死する人、悪人に騙され人生を閉じてしまった人―――

そういった「理不尽」に、大切なものをさくっと奪われてしまう世界。自業自得でもなければ自縄自爆でもなんでもない、そんな出来事。


そういった出来事が「簡単」に起きてしまう世界。そんな現実に生きている。大事だったもの大切だったものが、数瞬後には手のひらから溢れ落ちてしまう。

スマイルプリキュアの5人が経験したのは、まさに「簡単」に「理不尽」に「大切」なものが奪われてしまったということ。

 

そして

 

 

 

 

―――絶望してしまう。

 

 

 

 

 

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もしこの世界にラスボスがいるならば、それは”理不尽”っていう名前だ。

どんなに頑張っても、戦っても、絶対に勝てない相手。打ち倒せない敵。それがスマイルプリキュアの世界では、「ジョーカー」と呼ばれている。

 

 

 

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ジョーカーは強い。

 

プリキュア5人の必殺技を放っても、弾き返してしまう。へらへらと笑い「もうこれでオシまいデスかぁ~?」と聞いてくる。そんな相手。

ゆえに彼女たちも、心を屈してしまう。

こいつに勝てれば、全てが戻ってくると思っていた。すべてを取り戻せるとそう信じていた。キャンディもメルヘン王国を救うためのデコるも両手に取り戻せると信じていたんだ

 


―――けれどそんな希望は砕かれ失われる。希望を消失すれば、絶望へと転じてしまう。 心の容器は絶望であふれ、バッドエナジーを体中から湧き出せてしまう。

 

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今までは、誰か「1人」が絶望しかかっても、のこりの「仲間」がそれを跳ね除けてくれた。

 



18話のナオのお話では、敵はこう言う。「仲間? くだらない。競争に負ける弱者に意味もないし価値もねーよばーか」と。

 

もう諦めるオニ、いくら頑張ってもどうせおまえたちの負けオニ。

力を合わせたって弱いやつは、弱いオニ。足手まといは要らないオニ。

(赤鬼)



そこで、黄瀬やよいという女の子は、泣きそうになってしまう。


やよいは足がすごく遅い。かっけこが遅いせいで、仲間たちには迷惑をかけてしまっているんじゃないか、自分はお荷物なんじゃないかとそう考えてしまっている。

そんな黄瀬やよいに向かって、緑川なおはこう言うんだよ。

 

違う!!! 仲間と一緒じゃないと出来ないことがある! 私はやりもしないで、諦めたりしない。

 

どうせなんて絶対言わない!!

 

 

 

19話のやよいのお話では、敵が「やさしさぁあ? はあ? そんなの意味もねーんだよ」と言い放つ。

 

それに対し、やよいはこう言った。

「わたしはパパから一杯の愛を貰ったおかげで、人に優しくしようと思える。優しさはきっと、人から人へと伝える愛の表現なんだよ


「うるせぇっ、愛のかけらもねえ攻撃でとどめだ。 」


あなたに愛がないのなら、パパから貰った愛を受け取って

(やよい、ウルフ)

 

 

そうやって誰かが絶望の道へ歩みだした時、友だちが、仲間が、家族が、プリキュアが「そうじゃない!! もっともっと大事なことがあるんだよ!!!」と言ってくれる。

そのことで、"そっかわたしはここにいてもいいんだ”という希望を見いだしてきた。世界は実利や利益で動いているんじゃない。人間の感情のうねりからこの世界は創出されてきた。幻想を見、夢を見てきたんだ。

 
だから、足が遅いとか、体育祭の勝ち負けだとか、誰かに優しくするのはバカだとか、利益に繋がらない行動に意味がないとかそうじゃない。

そうじゃなくて、もっともっと大切なものがある。

誰かに優しくすることの意味とか、勝ち負けよりみんなと走ることに価値があるとか、れいかが行った紙芝居はみんなを笑顔にしてきたし、毎日をウルトラハッピーにしよう頑張っているみゆきが意味の無い存在なんてあるはずがない。

そうやって事あるごとに、「幻想を否定してきた敵」をスマイルプリキュアは「違う!! この世界にはもっともっと夢や希望であふれている。利益や実利よりもっともっと大切なものはあるんだよ!!」と訴えてきた。

 

けれど今回は違う。みんながみんな絶望してしまった。一片の希望をも砕かれてしまった

 

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世界に絶望してしまったら、どうすればいい?

 

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今までは1人が絶望しかかっても、違う誰かがそれを引っ張りあげてくれた。 けれど5人が5人とも絶望してしまった。ならどうする?

 

 

 

私どうしたらいいのかわからない。

でも、これはすごくちゃんと考えなきゃいけない気がする。うまく言えないけど……
自分にとって……なにがいちばん大切なのか

(みゆき)

「それは全てを捨てでもキャンディを助けるということか、それとも自分たちの家族や友人を取るかということですか」

それとも、もっと違う、なにか

(れいか、みゆき)

 

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みゆきは提案した、「考えよう」と。

考えて悩んで、今のこの状況からどうすればいいか、どういう道を歩めばいいかの結論を出そうと、そう言った。


それも「みんな1人だけで考えよう」と。


この子はすごいなと私は思った。誰かの意見に馬乗りするんじゃなく、流されるんじゃなく、「自分の大切なものを自分で考える」そのことこそが意味がある行為なんだと、みゆきはそう言っている気がした。

 

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だからみんなちゃんと自分で考えよう
自分にとって何が大切なのか

 

 

 

 

 

 

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今うちの心のこのもやもやした感じ、それがうちの答えや。
なにを取るかやない、今うちがなにをしたいか

 

 

 

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大切な友だちを失うことのほうが
もっともっと怖い

 

 

 

 

 

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大切なものを分けて考えるなんて、無理だったんだ。
だったら私が選ぶ道は、最初から決まってた。

 

 

 

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世界、人々、その笑顔、プリキュアが守るべきものはたくさんあります。

ですがプリキュアとしてではなく、私自身が今守りたいもの。
それは―――

 

 

 

 

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わたしね、結局なにがいちばん大切なのかよく分からなかった。

 

でもひとつだけハッキリした。
わたし、キャンディが大好き。

それと同じだけ、友だちも家族も大好き。

だからみんな一緒がいい。
みんな一緒の未来が―――わたしのウルトラハッピーなんだって。



………………

……

 

 

すべての希望が無くなり、進むべき道が絶望色に染まったとき、私達ができることは、「考える」こと以外にない。


大事なものがその岐路にあったら、例え希望が見えない道でも進むしかないし、大事なものがその岐路にあっても、もっと大事なものを優先するために片方を諦めてしまうことだってある。

勝てないステージなら、わざわざ勝負を挑まなくていい。けれど……ほんとうに大事なものがそこにあるなら、無理でも無茶でも無駄でも突っ込まきゃいけない時がある。

それを「選んで」「決断」するのは、絶対に絶対に自分1人だけなんだ。

 

 

その過程を経たからこそ、彼女たちは克己できる。心の中にある恐怖に打ち克つことができる。だからこそ、絶望を乗り越えていけるんじゃないだろうか。

 

 

 

 

スマイルプリキュア 23話 絶望を乗り越える力

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今までは「絶望」を乗り越えるとき、誰かの助けてもらっていた。

けれど22話を経て、彼女たちスマイルプリキュアは、「自分だけ」で立ち上がることを覚えた。

 

 

格が違う敵、それも1対1との勝負。

 

 

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それでも彼女たちは諦めない。
1人でも、敵が強くても、絶対に諦めない。

キャンディとみんなで一緒に帰る」という約束を守りたいから。未来の希望を紡ぎたいから、明日を絶望色になんて染めたくなんてないから。

 

……………………

…………

……

 

 

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だから……だからぼろぼろになりながらも、"理不尽”な敵に立ち上がることができる。

 

 

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あんなにも弱く、泣き虫なやよいが、敵にひっしに食らいついていく様子に涙しか出なかった。

 

涙でぼろぼろだった。

 

 

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大事なものを守ろうと必死になるとき、その心はもっとも貴いなだと、尊いんだと私はそう思ったんだよ。


自分がどんなに弱いか知っている、
自分がどんなに泣き虫なのかわかっている。
でも
―――でもさ、それでもどうしても守らなきゃいけないものがあるんだよ。全身全霊で身をやつしてでも手に入れたいものがあるんだよ。

敵が"理不尽”という名の化物でも、立って前を向いてぶん殴らなきゃいけない時があるんだよっ!!

 

 

 

痛い怖い、でもここで逃げたらみんなと一緒にいられなくなっちゃうから、それが一番こわいからぜったい逃げない!!

 

 

ハッピーはキャンディを絶対に助ける。
だからうちらは絶対あんたらを食い止める。ほんでみんなで一緒に帰るんや

 

 

それがあたしたちの約束
約束は絶対に守る!

 

 

あなた方のおかげで知ることができました。自分たちにとっていちばん何が大切なのか

 

 

キャンディを返して、わたしたちのとっても大切な友だちだから!!!!

 

 

 

 

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「なにが大切なのかですって?」

 

「けっ、なにが友だちだ」


「くだらんおに」


「そんなもの必要ないわ」

 

「それは

 

命を欠けて守るほどのものですか 」

 

 

 

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友だちはくだんくなんかないっ!!

 


辛いときも楽しいときも、いつも側にいてくれる!

 

 


みんなで笑ったり、泣いたり、励まし合ったり

 

 

 

一緒にいればどんな困難も乗り越えていける

――そんな力が湧いてくるんです!!

 

 

 

 

 

みんな一緒じゃなきゃダメなの

 

 

キャンディも

 

 

友だちも家族

 

 

みんな一緒じゃなきゃ―――

 

 

 

それが私達のウルトラハッピーなんだからあああああああああああああああああああああぁぁぁっぁあああああああっ!!!

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か が やけえええええええええええええええええええええええ

 

 

「「「「「 スマイルプリキュアァァァああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!! 」」」」」」

 

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このあと、スマイルプリキュアは覚醒するでもなく、新たな力が手に入るでもなく、敵を倒す。


克己する意志をもったからこそ、「絶望」という敵は倒せるのかもしれない。そう思った。


後半はずっとうるうるか、声を殺して泣いていた。もうね……もうほんとうに良すぎるんだよ。ダメだと、諦めてしまう場面でも、「立ち上がる」それだけで波だが出てしまう。

克己する、自分に打ち克つことはそれだけで輝いて見える。自分の大切なものの笑顔を守るために、強大な敵に立ち向かえる―――その心の在り方はほんとうに尊い。

プリキュアがこんなに良い物語だなんて! 観ていない人はぜひ見よう。(とっていもここまで見てくれている人は、スマプリをすでに見ている人だけか……(涙))

 

 

<参考>

 

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