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猫箱ただひとつ

物語追求blog。アニメ、マンガ、ギャルゲーを取り扱ってるよ

グリザイアの楽園。それは箱庭の少女達が紡ぎだす(14935文字)

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グリザイアの楽園

評価:★★★★★(5.0)

 

なぁ麻子……俺、5人救ったぜ……?
だから、もういいよな……?
 
 




<!>楽園ADV

  プレイ時間   32時間
  面白くなってくる時間   もうずーっと面白い
  退屈しましたか?   するわけがない
  おかずにどうか?   けっこー使えます
  お気に入りキャラ   由美ちゃん天音みちる幸蒔菜一姫

 

公式HP│ グリザイアの楽園

 

 

『グリラク』のポイント

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・ 『果実』『迷宮』をプレイしている人は、やらないと損!
・ 最初から最後までずーっと面白い、こんなのって珍しすぎる
・私的に泣きゲーに認定しました。同ジャンルが好きな人はぜひ!

 

 

『グリザイア』OP




「Fission」という曲なんですがかっちょいいです。ムービーの凝り具合もうたまらない……っ!!

 

 

 

キャラの好感度



愛してる!  

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もうみんな大好きです。嫌いなヒロインがいない。ああグランドENDの醍醐味ってこういうのだよねえ……。

『グリザイアの果実』でみちる、由美ちゃん、蒔菜が大好きになって、『迷宮』で幸、『楽園』で天音がもう大好きに。みんな愛しすぎる、ああ一姫…………。

 

グリザイアの楽園

 

 

 

 

 

 

 

ブランエールの種子

 

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未来を描くことが出来ない少女達。

社会では上手く適合出来なかったがために箱庭に移された5人が見る風景は、閉じた灰色世界でしかない。

―――生まれてきたことが全ての間違いだったと嘯く少女
―――死に続けながら生き続けている少女
―――無力感によって心を蝕まれている少女
―――逆らうことの恐怖により、自己を蔑ろにする少女
―――生き残った罪過に苦しみ続ける少女。

この5人は生きることがとても難しい。ただ「生きる」、それだけがとてつもなく苦しくて痛みを伴うものになっている。榊由美子、松嶋みちる、入巣蒔菜は本当に顕著だよ。この子たちは現実への感覚がとても乏しい。生きている実感っていうものがなければ、"ここ”に立っている感覚さえない。

そういう人間を私は、実存感覚が乏しいと呼んでいる。そして"実存退廃者”とも呼んでいる。

生きる動機がなく、生きていく理由がなく、生きる意味を感じられない。このクソッタレの世界で生きる価値なんて分からない分からない分からい分からない分からない分からない分からい分からない分からない分からない分からい分からない分からないっ___………… 

そういった感覚を持ちあわせている。世界に絶望した人間が感じる特有の気持ち。 

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自己の存在を生みの親にめっためったに殺された由美ちゃん。友人の死によって世界への価値が希薄になってしまったみちる、私なんて何もできないんだ……という無力感によって心を蝕みつづけている蒔菜。

三人が三人とも生きる動的エネルギーが圧倒的に足りない。古井戸のように、水が干乾び上がってしまっている。

こういう実存感覚が希薄な人間は、ほんとうに”宙ぶらりん”なんだ。今は生きていても、ふとした何かの拍子に死に傾斜してしまう。ああ、そっか、もう死んでいいんだ、というふうに。

『グリザイアの果実』のみちるENDを思い出すとわかる。みちるはふとしたきっかけ(=猫の死)で簡単に心がぺちゃんと潰れてしまった。生きていくための動機が失われてしまったからだ。

彼女には、自分の大切なものがかんたんに壊れてしまう世界を受け入れ切れない。

これはなにもみちるだけじゃない。由美ちゃんも蒔菜も、ふとしたきっかけがあれば、簡単に死に傾いてしまうそんな心を有しているように見える。


生きていくことに価値を見いだせない


対して周防天音と小嶺幸は実存退廃者ではない。彼女たちはどこまでも生き続ける強さを持っている。

けれど、生き続けることに”痛み”を伴う精神構造になってしまっている。

天音はあのバス事件から「生き残った罪」をずっとずーっと抱え続けて生きていかなければいけなくなっている。生きてるのに生きたいのに、生きることに苦しくて痛くて辛くて涙がでそうで、それくらいに彼女の中では"生き”ること自体が苦渋になっているように見える。

幸は、「逆らうことへの恐怖心」を持ち続けたままだととてもじゃないが社会でやってはいけない。そして彼女の異常なほどの「命令」に対する遂行する意志は自分を傷つけていくことと同義だ。自傷行為でしかない。愚直にどこまでも命令を受け続け、自己をも殺し、最後には心までをも殺してしまう精神構造の持ち主。それが小嶺幸。

 

―――美浜学園に集まった5人の少女は、全員生き辛さを抱えている。 

 

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そんな女の子たちを、風見雄二は救っていく。

窮地に喘ぎ、岐路で立ちすくみ、生きることに絶望している5人を5人全員とも救った。 

人を救うのって、そんな簡単なことじゃないんだよ。そいつとの人生に介入する覚悟を持ってなきゃ出来ないしそいつの運命に交わる意志がないと出来ない。 生きていることが苦痛だと思った人間にどうすればまた立ち上がらせることができるか? 前を向いて歩るかさせるのか?  

風見雄二は5人の女の子に「生きる」為の力を身につけさせた。未来を諦めないっていう意思を。

それは彼女たちが雄二を奪還するさいによく見られたものであろう。

 

『一度無理だと決め付けてしまえば、もう何をやっても上手くはいかない』

ともすれば軽く聞き流してしまいそうなその言葉が、『そうだ、確かにその通りだわ』と、何故かその時は由美子の心に深く染み込んだ。

(由美子)

 

そう、頑張る。何をやるにしても、最初から諦めていてはダメだって、キミは彼から学んだでしょう?

(ミチル)

 

生きて悔い続けるぐらいなら、やり遂げて死ぬ方がいい……
足を泥沼に浸けたまま、自分からは一歩も歩かずに、ジタバタもがくことも諦めていた私に、立ち上がる勇気をくれた人が居る……

その人を見て、あんな風に生きてみたいと、いつも思っていた……

(蒔菜)

だから美浜の学生は諦めない。学生風情と詰られようとキミたちには無理なことなんだよと諭されようと、風見雄二を奪還するために立ち上がる。 

生きていくことに喘いでいた少女たちが、未来に思いを馳せ、大切な人のために歩き始める。

たとえがこれが蛮勇に繋がろうとも、このせいでたとえ人生の全てが滅茶苦茶になろうとも私はこれを支持できる。

だってね、人間は世界の出来事に「何をやってもダメだ。私なんかじゃどうにもできないよ……」なんて感慨を抱くと腐っちまうんだよ。

無力感っていうのは自分を蝕んでいく毒でしかない。体表面から内蔵に血管から心臓へ脳へと、最後には魂まで融解させていく最悪の代物だ。

だからこそ「自分にできることはないか?」と考え行動していく必要がある。

……ねぇ、天姉ぇ……私たちに出来る事って、本当に何もないの?

(蒔菜)

 蒔菜の気持ちがわかるだろうか? 

 

うぅぅ……無力は罪じゃない……何もしないのが罪なのよ……?

(蒔菜)

 もうここらへんで堪え切れなくて、泣き続けていた。自分を助けてくれた大好きな人がいなくなって、けれど自分たちには何もできなくて、本当に何もできなくて、待つことしかできなくて、そんなの嫌だよ。 

だから、そうだからこそ

嫌なら立ち上がるしかない。

自分の大事なものを取り返すために、自分の内側にある大切な「宝物」を捨てちゃわないように克己しなければいけない。 

前へ歩き続けるために。 

 

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だから、私は私の意志で、もう二度と同じ後悔をしないために行動するって決めたんだよ

(天音)

 

……会いたい人が居る。それだけで、立ち上がる理由としては十分なのではないでしょうか……?

(幸)

 

このまま逃げているだけでは、何も変わらない。
ここが人生の正念場、生き方を変えるための分水嶺。逃げた先には何もないことは、もう十分解っているはずだ。

そこを自ら飛び出し、本当の自由と、大切な物を取り戻す為の日々が始まる。

薄暗くなった自室から通路に出て、部屋の扉を閉めた瞬間に、止まっていた自分の中の時計が動き出したような、そんな気がした。

(由美子)

 

もう1人で泣きたくないし、大切な人の手を掴んで放さないようにようにするために、私は自分に出来ることをする。

そして大切な人が帰って来られないと言うのなら、迎えに行く、ただそれだけのことなのよ?

(蒔菜)

 

そして今度はその風見雄二が、"絶望の穴”に埋まっているとしたら、こんどはあたしがアイツの手を引っ張ってやる番なのではないだろうか?

(みちる)

 

 もしここで"また”諦めてしまったら、「……結局わたしはどこまでいっても何もできない人間なんだ」と、また昔のままに戻ってしまう。 

でもそんなのもう終わりだ。

 

 

 

 

 

 

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前へ進むしかない。 

目の前に障害があるなら排除し、行く手を遮る敵がいるのなら倒すんだ。後退するなんていう選択肢はそもそも彼女たちの中には無い。

心から好きな人を、助けるために、
彼女たちは足を一歩、前へ運ぶ。 

 

わたしのしようとしていることを、人は馬鹿だと言うかもしれない。笑うかもしれない……きっと風見君も、わたしのことを馬鹿だなって、笑うでしょうね…。

それでも、わたしは馬鹿だなって言われたい…。
そして、少しは褒めてもらいたい…わたしの作ったお味噌汁を美味しいって言われたい…頑張ったなって、頭を撫でてもらいたい…。

(由美子)

 由美ちゃんの、この乙女心が分からない奴はもう砕け散ればいい。灰色の世界から、手を差し伸べたくれた人がいる。そこから自分を引きずりだしてくれた人がいる。

その人が今困っていて、もしかしたら助けを求めているかもしれなくて、もしかしたら勝手に死んじゃうかもしれなくて…………だったらわたしが助けに行かなくちゃって思う気持ちを。 

 

 

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麻子が雄二を救い。雄二が5人の少女を救い。そしてその女の子たちが死に向かっている雄二を救うこれに私は涙せずにはいられなかった。

どうしようもなくなった人間をどうすれば救済できるか? 生きる動機を枯渇させ、生きていることが徒労だと思った人間にどうすればまた"立ち上がらせる”ことができるか?

それは「愛情」を持っている人間でしか成せない。麻子は雄二にそれを与え、雄二はそれを箱庭の5人に与えた。そして今度は5人の女の子が、雄二にそれを受け取ってもらおうと必死になる。

人が死なないために、絶望しないためには、これがどうしても必要なんだ。 

ふつう、赤の他人に、人は自分の一生を賭けられない。面倒を見続けられない。偽善であるならば当然で、覚悟が存在しないからだ。

けれど麻子は雄二のことを本気で想っていた。どうしようもないクソキッタナイガキンチョを「こいつをどうにかしたい」と思ったのならばその未来は成就する。

麻子は雄二を気まぐれで拾ったかもしれない。けれど、そのあとは気まぐれで生活をしてきたわけじゃない。雄二のことが大切だから、大事だからこそ、手放さず一緒にいつづけたんだ。

絶望の淵で喘いでいる人間を救うには「愛情」という感情でしかありえない。これを他者から貰い、実感するからこそ「まだここで生きてみよう」と思える。愛こそが実存が退廃した人間を救うんだよ。

……大丈夫……世界中が貴方を嫌っても……私だけは、貴女を世界で一番愛しているわ……

(一姫)

  

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 私はこれを愛と認識し、一姫はこれを「ブランエールの種」と名づけた。

ブランエール…それは自由へ向かって飛び立つための白い翼。 それを手に入れるため、少女たちは、少年から貰った種を植えた。

ブランエール……は希望。生きることへの希望。希望があるから人は明日を夢見て生きられる。未来が絶望色に染まっていたら、人は明日へ生きようなんて思わない。 その真っ白な翼はどこまでも行ける、太陽の光に照り返された翼は銀色を振りまき―――どこまでも自由に飛び立てる。

翼を手に入れるには、「種子」を育てなければいけない。「種子」を持っていない人間は、誰かから貰い受けなければいけない。 

あの子が、師匠である日下部麻子に貰った恩を、他人である貴女達に返していったように、あの子が生きて、蒔き続けた種は、いつか花が開き、果実を成す…

そうして実った果実は、自分がしてもらったことを今度は他人に返していこうと立ち上がり、再び種を蒔く……

タナトス

自分が受けたものを、また誰かに受け渡していく。そうやって世界は廻り続ける。気まぐれによって、善意によって、愛情によって廻り続けている。 ぐるぐると。

このどうしようもない、クソッタレな世界にでも、純粋できらきらしたものがある。だからこそ数十億の人間をのせて、今日もまた地球は廻り続けていくことができるんだ。

陽だまりのように暖かい穏やかな日常から、電話一本で火薬臭い日常へ・・・。

それでも、いつだって私の隣にはパパが居るし、帰るべき場所も再び手に入れた。

温かくも居心地のいいこの世界。
多少つらいことはあっても、それもまた人生。

大きな安らぎと小さな不安、そして何十億もの人をのせて、今日も地球は回っていて、その星の一角で、今日も私は生きている。

これからも続くであろう苦難の道のりの果てに、いったい何が待ち受けているのだろう・・・?

だけど、生き抜いてこそ、意味がある。
生きれいればこそ、守りたいものがある。

小さな不安の先に見えるのは、人の優しさという灯。
あるいは希望という明かり。
目を閉じて、暗い大気の底を這うようにして走る車の助手席で、私は短い夢を見た。

それは、自分が進む先が光に満ちているという、希望にもにた明るい世界。

そしてそれが、私の唯一の祈りだった。

(入巣蒔菜・迷宮)

 

 

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苦難の果てに、雄二と由美ちゃん天音、蒔菜、幸、みちるは「楽園」を手に入れた。 

そこには自由があり、平和があり、幸せがあった。もう塞ぎ込まくていいし、世界に絶望しなくていい。 生きることを諦めなくていい。

今まで辛いこと悲しいこと苦しいこと痛いことたくさんあった、泥水を啜り、啜りながら吐き出し、辛酸を舐め、苦渋で身体を蝕んできた。だからもう幸せになっていいと、生きていくことは辛いことばっかりじゃないとそう見えた。

だって、これから、もっともっと幸せになるんだもの。 これくらいじゃ、妥協なんてしないんだから。   私たちは、これまでの幸せを全部取り戻すよ

 


そんなふうに。

 

 

 

 

楽園なんて、どこにもなかった。 


なかったのなら、作ってしまえばいい、
ただそれだけのこと。 


生きて良かったって、そう思えれば、それだけで楽園なのです。 

 

そうだよ、人生って、こんなにも楽しいんだから。

 

 

 

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グリザイアの楽園―――世界から疎外された少女たちが生きていてもいいんだよと、幸せになってもいいんだよと思える楽園を見つける物語。 

 

>「これは、たった1人の弟の為に、世界を作り変えようとした馬鹿な姉の壮大な野望なのよ…」

 

 

 

 

 

たとえ明日この世界が終わるとしても、


きっとこの島は、何も変わらない。 

 

これからも続くであろう穏やかな毎日を願って、

過去の自分に感謝します。

 

一つの目標に向かって、

仲間と共に立ち上がった、

 

あの日、あの時を―――

 

 

 

 

 

グリザイアシリーズに幸あれ 

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ここからはグリザイアの感想です。

いやああ……本当に良かった。傑作ですよこれ。グリザイアのの果実、迷宮、楽園とすべてをひっくるめての評価で文句なしに★★★★★をあげたいです。

果実、迷宮で人間の心情を丁寧に描き、積み上げてきてからの「楽園」。みちるが蒔菜を叱咤する場面、由美ちゃんと天音の立ち上がる意気込み、一姫との再会、麻子との会話、もうすべてがどうしようもなくきらきらと輝いていた。

序盤からずっと泣いて泣いてを繰り返して、後半までずっと泣き続けていた。なんなの? もうこれなんなの? とぐちゃぐちゃでした。

「楽園」が終わっても「楽園アフター」と続き、そこではみちるが子どもを授けて不安になってしまうところとかすごく共感できる。

 

だって……あたしの子どもだよ……? あたしの遺伝子を受け継いて生まれて来ちゃうんだよ……? 雄二は、自分と同じ遺伝子を持った子が生まれてくるの……不安じゃないの……?

 

……そういうことか……

本当に産んじゃっていいの……? あたしの遺伝子なんか受け継いで……この子は幸せになれるの……?

 自己肯定感がないものは、そう思っちゃうんだよね。とくにみちるは自身や自尊心というものが希薄な女の子。だからこそ、「自分の分身」とでもいえる子どもを産むことに不安を感じてしまう。 


そこで蒔菜の言葉、

 

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やいチルチル! なんでだよぅ! なんでせっかく授かった子どもを素直に喜べないんだよぅ!



子どもを産むってことは! 母親になるってことなのよ!? 母親がそんなことでどーする!! 母親に愛されないまま生まれてくる子どもはどーすりゃいいのよさっ!?



母親に愛されない子どもが! どんな気持ちなのか考えたことねーのかっ!?

 

私も! 由美ちゃんも! お兄ちゃんも! どんな思いして育ってきたと思ってやがる!

 

それをオマエ! "母親なんて無理” だぁ?! 私らの前でよく言ったな! ふざけんなっ!!

泣くなっ!! わかってるよ! 不安じゃない母親なんていねーよ! だけど! それでも愛情だけは! 頼むよ! お願いだから……それだけは! なくさないでくれよ!

じゃないと……あんまりにも……救われないのじゃないのよさぁぁぁぁぁぁ!! うあぁぁぁぁぁん!!

 

 

うんうん……そうなんだよね……。親から愛されなかった者は、ずっとずーっと苦しい思いを抱えて生きなければいけない。自分を作ったものからの否定は心が避けるほどの痛みなんだよ。

それを蒔菜は知っているからこそ、「愛情だけは頼むよ! お願いだよ!」と懇願してしまう。あんな思いをもう誰にもさせたくないから。

もうこういうところでまた目がうるうるしてくる。

このあとみちるの子どもが産まれるんだけど、またそこも良い。あのみちるが「母親」になり自分の子どもを見つめて、微笑ましそうにしている姿は心を揺り動かされる。

島に生まれたこの新しい命が、
これから先、どうなっていくのかは、まだ誰にもわからない。

でも、これからが本当の、新しい一歩なのだと。
そんな予感を胸に抱いて、わたし達は今日を生きていく―――

 そこには、その「楽園」には陽溜まりがいっぱい詰まっているように感じた。あったかくてぽかぽかしているそんな幸せな日々が。 

  ◆ 

グリザイアで嫌いなヒロインがいない。由美ちゃんも天音も、幸も蒔菜もみちるもみんな大好き。

楽園の「おまけ」に入っているプロモーションムービーを見たのだけど、そこのみんなの苦痛の声がたまらなく胸に突き刺さる。

"その少女は、生まれてきたことが既に間違いだった”
"お兄ちゃん捨てないで”
"……一姫”

そこでまた声を殺しながら泣いて、もう疲れ果てた。心の琴線に触れすぎると、ずっと泣き続けてしまうんだなと感じた。Key作品の「Air」とか「CLANNAD」も私にとってはそうだったりします。

あれも大事なものがいっぱい詰まっているから、泣いちゃうんだろうなあと。

グリザイアシリーズはダレないし、面白いし、人間の心情を丁寧に描いてくれた最高な作品でした。もうほんっとに出会えて良かった。

またこういう作品に出会えるようにと、祈っています。
そしてこの記事を見てくれた人、有難うございました。 

それでは、また、ばいばい。 

 

 

からの~~Prologue編の感想!!

 

 

 

 

グリザイア―Prologue― 感想

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 『グリザイアの果実』のとき、私は由美ちゃんが「天音たちにも」棘々しい接しているように見えた。 

心の壁をるくり、自分の内側へと入らせないようにそういうふうに見えた。でも違った。 風見雄二が来たことによって、由美ちゃんが変わらずにはいられなかったんだ。自分の居場所を守るため、必死だったに違いない。

彼女は一年の時間を積み重ね、天音、みちる、蒔菜、幸と仲良くなっていった。それは榊由美子が「ともだち」だと思える関係にまで。

 

すぐそばにある4つの笑顔を見て、
燻り続けていた自分の心に答えが出た。

ずっと宙に浮いていたもの―――

"悪くない” と、誤魔化し続けてきたもの――― 



「何度も言うけど、ごはんはみんなで食べた方が美味しいにきまってるんだからさ!」
「うむ、天姉ぇはいつも良いこと言うのよさ」
「観念してください、榊さん」
「そーいうこと!」

それを、わたしはずっと求めていたのだ。

 

 

 


過去の自分に、
お前は学習しない愚か者だと笑われてもいい―――
未来の自分が、
だから言ったのにと
後悔することになっても構わない―――

信じて、失って、抗って、奪われて。

流す涙も、吐き出す文句も、
全て失ってしまったと思っていたけれど……

わたしはまた、
失いたくないものを手に入れてしまった。 

だから、もう一度だけ―――


ほんの少し顔を上げて、目の前の現実に抗ってみよう。
例え、ここが用意された鳥籠だったとしても、
諦めさえしなければ、いつか飛べるかも知れない。

ここでなら……
この子達と一緒なら、きっと―――

 

由美ちゃんは自分で見つけ、育んできたみんなとの居場所が欲しかっただけなんだ。だからこその異常行動。雄二との接触にたいし、強烈なまでの敵対行為、カッターナイフでの威嚇……なるほどね……。

なんだ由美ちゃんは、あの時からもうぼっちなんかじゃないじゃん。大事だからこそ、大切だと思うからこそ必死にならなきゃいけない時がある。由美ちゃんはそれを実践していたに過ぎない……か。なんだか胸があたかかくなった。

 

一緒にお風呂に入って。

みんなで甘い物を食べる。

そんな、他愛もないやり取りばかりで。

だからこそ―――

紛れも無く、友だちと過ごした時間だった。

 

 

 

入巣蒔菜

 

ひへへ……やっぱり私は底抜けのマヌケなのよさ……

よくよく考えてみると、今回の顛末も、わたしの人生そのものを表しているような気がする。

昔から、私が欲しいと思った物は、何でも私の下から遠ざけられた。

お気に入りのおもちゃも―――
仲の良かった妹も―――

 

「あの時みたいなのはもう嫌だ……」

「苦しいのも、痛いのも、お腹が減るのも、ぜんぶ……全部嫌なのよさっ!!」

「うぅ……うぅ……」

 蒔菜の慟哭が、ただただ苦しい。自分の無能さ、世界の破綻した姿、大事なものが両手からこぼれ落ちていく感覚。そういったすべての出来事に、耐えられないと訴えるような叫び声。 

そんな蒔菜を、天音がぎゅっと抱きしめたとき、ああもうこういうの弱いんだよと思いながら、目を瞑っていた。

私ね、どうして入巣さんがずっと畏まったままなのか、ずっと考えてたんだ。

入巣さんは、ずっと頑張ってくれてたんだよね。
情けない自分の姿を見せないように……私達に迷惑を掛けないようにって……

……じゃあ……お腹が減ったらお腹が減ったって言ってもいい?

うん

好き嫌いがたくさんあるって言っても……怒らない?

うん……嫌いな物でも食べてもらえるように、もっと頑張る……

 

「うん……だから安心して……」

「うっ、うぅ……ひっぐ…えぐっ…」…

「うわあぁぁぁあああああああああああんんん!!!」

入巣さんが心の中に仕舞い込んでいたモノに気づき、その想いごと抱きしめる。

(天音、蒔菜)

 誰かを絶望の淵から救いだすとき、やっぱり愛情なんだなって痛感した。御為ごかしでもない。利益を度外視した行動。自分が"ここにいてもいいんだ”って思わせてくれる人に、人は希望を見出すのかもしれない。

 

 

小峰幸

あっ、みちる様……おはようございます……

おはようございますって……何でそんな普通に笑顔を浮かべられるのよ……。

だって、綺麗になるまでって、学園長さんに言われましたから。

……じゃあ……ホントにその一言のためだけに、一日中掃除を続けてたって言うの?

はい。言われたことを言われた通りに実行する。それが良い子ですから

幸の行動はほんとうに痛々しい。「良い子」でいなきゃいけない、そんな強迫観念によって突き動かされている。自分の時間や、自分の体調、そういうのもすべて放り投げて「命令」だけを完遂させようとする。

それは"ふつう”の人からみれば、異常者でしかない。そんな彼女を見た時、そんな彼女の精神構造を察した時、きっと「やめろ」とそう言ってしまうに違いない。

けれど、みちるの判断は真逆だった。

だったら、本当にあたしがご主人様になってあげる。
アンタが余計なことを考えなくてもいいように……誰も追いつけないところに飛んでっちゃわないように……

って言っても……あたしはバカだから、良いご主人様でいてあげられないかも知れないし、ポロっと迂闊なことも言っちゃうかも知れない……

他人の言うことを聞いて、良い子でいることが今のサチの生き方だとしたら、あたしはそれを否定しない……

だから、あたしのことも信じて

(みちる)

 

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 涙でいっぱいだった。盟約で互いを結びつけ、相手の生き方を是とし、それで壊れないようにする精一杯の気遣い。

みちるはバカだけど本物のバカじゃない。他者の心を気遣える素敵な人間。

ほっぺたをむぎゅっとして、額をコツンとぶつけているあの場面は、もう素晴らしい。ほんとうに最高だよ。

一生ついていくし、ついていかせるよと想いが滲んでくる。なんなんだろう、もうほんとうに。泣かずにいられるの?! ……ううなんか言葉までもおかしくなってしまった。

 

 

グリザイアの楽園のプレイ中の雑感コーナー

 

プレイ中のメモ書きです。

 

 

 

 

 

風見一姫との再会

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そう、風見一姫。貴方のお姉ちゃんよ?


涙が止まらなかった。ああもうなんていうかグリザイアの楽園は、ほんとうに泣いてしまくらいに大事なものがいっぱい詰まっている。

小さいころ、あんなにも大事にされ大切にされ、神がごとき力を持っているお姉ちゃん。この現実世界に引き止めていたのは、紛れも無い彼女なんだよ。

毎日毎日毎日、天才の姉と比べられ、クズな親父と、何もしない母親の暮らす家で1人静かに膝を抱える。そんな日常を送ってきている。

無力だと、無能だと、何も出来やしないんだと幼少期から叩きこまれた子どもはどうなる? 心が壊れていくんだよ。小さい頃からの実存欠落。 

生きていても仕方がない。生きたいだなんてとても思えやしない。だからって死のうっていうほどの度胸はない―――そんな宙ぶらりんの生き地獄。

そんな境界線上で立ち尽くしている、雄二を、それでもなお、ここで"生きさせ”てくれたのは他でもない風見一姫の愛情。

彼女は弟を心底愛していた。それがすこし歪でも、愛していた。愛された人間は、クソみたいな日常でも、それでもなおあとすこしだけでもと生き続けられる。そういう強さを持っていける。

――けれど、一姫はバス事故で死んだ。

そのあとの雄二の胸中を思うだけで、もう最悪だ。歪ながらも愛情を与えてくれた人間がいなくなった世界。

そこは灰色の世界でしかない。どこまでも静謐で、どこまでもモノクロで、どこまでも死に続けている伽藍堂でしかない。

世界に絶望した人間は、生きてたいという思いがなくなってしまう。生きる動機が枯渇してしまう。…………そんな姉さんに会えたんだ。たとえ、機械の体だとしても、肉体がないんだと言われても、嬉しいにきまっている。

いや……違うな。この想いをどう言語化したらいいのかわからない。一姫とホログラム越しの再会を果たした時、とても春らしい青空の中で、巨大な樹木で手と手を握っている一姫と雄二の姿を想起した。

それはとても幸せそうだった。
それは永遠の果てとでもいえる風景だった。

そんな想いが胸を打つ。いろいろな感情が胸を駆けずり回り、もう何を思ったらいいのかとか何を言えばいいんだとかそういうことで頭がいっぱいになる。


声を殺して泣くのは、もうこれで何回目だ。嬉しくて泣いているのか、郷愁の念に似たなにかを追想し泣いているのかよくわからなかった。ただ会えて良かったとそう思った。

 

 

 

 

麻子との再会

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オマエは、もう十分生きたのかって、そう聞いてんだよ…

そうだな…もう、十分だろう…
なぁ、麻子、聞いてくれ…。俺、アンタとの約束通り、ちゃんと5人救ったぜ?

だから俺…もう、いいんだよな? もう死んでもいいんだろ? 許されたんだろ?

(風見雄二)

 

雄二は世界に二度切望している。それは風見一姫の死亡と、日下部麻子の死によってだ。

麻子の死によって、雄二もおそらく死のうとしていたはずだ。それをここに繋ぎ止めたのは麻子との約束にほかならない。

「窮地に喘ぐ5人を救え」

 

それを成せたなら…………と。雄二はJBの存在によっても現実に引き繋がれていたのかもしれない。けれどやはり、いちばんは麻子との約束に思える。

死ぬために生きてきた。
死に続けるために生き続けてきた。
そしてそれももう終わりだ。契約の履行も済み、あとは自分で自分を殺すだけだ。

本当に、それでいいのか?
確かに言った、5人救えと、5人を守れと。そしてオマエはその約束を果たした。

だから、それでいいのか? と聞いている。もう、なにも思い残すことはないのか?

少なくとも、私は後悔した。オマエを残して先に逝くことに無念があった。

もう少しだけでも、オマエのそばに居てやりたかったと悔やんだ。死んでもなお霊魂となって、オマエを守ってやろうとさえ思った

(麻子)


麻子の無念を察して涙が出た。彼女の悔しさにぎりぎりと胸が締め付けられていった。なんていうか本当にさ、この人は陽溜まりみたいな女だよ。

いっつも暖かくて、ぽかぽかしていて、一緒にいると心が安らいでいく。コーヒーにいれた角砂糖のように、いつかはとろけていく日常。

そんなきらきらした過去を想ってまた涙がでた。もうだめだった。こういうのはほんとうに弱いんだよ……。「死」という概念が、黒く暗いものではなく、白くまばゆいものに見えてくる。麻子と喋っていると、なぜこうも楽園のように思えるのか不思議だ。

ああたぶんそれくらいに心地良からだろう。

……麻子……俺とアンタが過ごしたこの山小屋は……俺にとっての楽園だったんだ……

アンタが死んで、楽園を失くした俺には…アンタの行くことだけが目標だったんだ…

(雄二)

 

 

 

 

無理なんて言葉はない

 

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皆が参加するなら、じゃあ私もといった軽いノリで参加すれば、必ず後悔するし、志しなき者が参加することは、逆に不利益を発生させることの方が多い。

"その時は、わたしは1人でも行動に移そう……”
"うん、そうしよう、それがいいわ。うふふ……”
"待ってて風見君、
必ずわたしが助けに行ってあげるわ、うふふのふー”

(由美子)

 

ああもう由美ちゃんいいなー;;
あんなにも生きることに諦めていたのに、今じゃ生きることに前向きになっていて、それも絶望的とも思われる困難さに立ち向かっている。

ただの一介の学生が、国相手にどうにかできるわけがない―――けれどここで諦めてしまったら、由美ちゃんが今まで雄二と接してきたすべてが無意味になってしまう。

 

だって彼はいつもこう言っていたのだから。

「……風見雄二に苦手はあっても不可能ない……か……」

無理などという言葉はない、それを口にするから実現できなくなるのだと、彼はいつも言っていた。

(由美子)

 

 

 

マキちゃんと戦うよ絶体に

 

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……あのねマキちゃん。しつこい女だな、ウゼーなって言われるのはわかってるけど、もう一度言っておくね?

もしマキちゃんが戦うなら、私も一緒に行くから、絶体に1人では行かないでね?

(幸)

もうこれで何回目だろう、何回泣けばいいんだっていうくらいにもう止まらなかった。

蒔菜と幸のこういう友情大好きすぎるんだよ。蒔菜が無鉄砲にどこかに突っ込むんだとしても、それが無計画だとしても、勝てる見込みが0なんだとしても

それでも私は一緒に行くよ――

そう言っている幸がもう愛おしかった。今までは自分で「決断」をすることができなかった子が、蒔菜のために、友だちのために、自分が「どうするべきか」を選び、決断する。

これが成長じゃなかったら、何が成長なんだろうか。


髪が燃えそうなほどの赤い太陽の下で、約束を交わしている二人がもうなんだかとっても良く見えた。きらきらしているのは、太陽の光だけじゃないはず。

でもさ…私と違って、サッちんは帰れる場所あるんじゃね……?
それに、病院のお母さんはどうすんのよさ……

それに…もしお母さんの意識があったら、きっとわたしにこう言うよ……? それが幸にとってどれだけ大切なことか、もう一度よく考えて、自分で決めなさいって…

「……だったらわたしは…マキちゃんを見捨てたり裏切ったりなんて出来ないよ。それが友だちっていう物でしょう…?」

「同じ釜のゴハンを食べて、ずっと一緒に戦ってきたマキちゃんが逝くというのなら…護国の鬼になるというのなら、わたしも地獄の底までついていくよ…」

『……きっと、後悔するのよ……? もっと普通に生きることも出来たのにって……』

しないよ…」

 

わたしね? あの時、すごく楽しかった…
今はまだ…どうでもいい些細な思い出でしかないけれど…

10年後、20年後に思い出した時、素直に"あの頃は楽しかったな”って、そう思えるような記憶になるといいなって、わたしは思ってる……

でも、今ここで背を向けたら、きっとそんな記憶も、思い出したくもない記憶になっちゃう気がする……どうしてあの時わたしは……って、それこそ絶体に後悔すると思う……

……10年経とうが20年経とうが……パイ缶はパイ缶だぜ?

そうかも知れない…でもきっと、1人で食べてもあんなに美味しくはないよね…。
だから、またみんなで、パイ缶食べたいね…今度は風見さんも一緒に…

…馬鹿だなあ…サッちんは…馬鹿なのよさ…

うん、馬鹿でいいんだよ、マキちゃん。あと、鼻水垂れてる

 

たった一つのパイ缶が、あんなにも美味しく感じたのは、きっと空腹だけが原因ではないだろう。

苦楽を共にし、互いの傷を理解し、思いやることの出来る仲間と口にしたパイ缶の味は、きっと何物にも比べようのない味がするものなのだろう。

友が過酷へと志願するのなら、自分もまた志願しよう
取り残される悲しみと悔しさは、もうウンザリだ――

 

 

生きてさえいればいい、だなんて言わないけどさ

 

…こんばんは、タナトスです。

…一姫ぃぃぃぃ~~…

タナトス、天音)

 

生きてさえいればいいだなんて、とてもじゃないけど言えない。けれど、生きていてくれて良かったなって思うことはある。

もう死んだと思っていて。日々の暮らしのなかでふとその人のことを思い出して、胸がきゅーっと苦しくなって、枕で涙を濡らすそんな夜。

天音にとって、日常の切れ端に、想い浮かべるのはいつだって風見一姫という女の子だったのかもしれない。そんな彼女と再会できたので、これいじょう嬉しいことなんて無い。

どこまでも神聖で、不可侵で、聖域然とした女の子。髪は銀で、目は緋色。時折みせる可愛らしいユーモアーさに、知的なミステリアスな雰囲気が合わさって、…………ああもうかっこいいなあ……。

もうほんとうに可愛い……。一姫かわいい……。

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