猫箱ただひとつ

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ギャング部。残りのテキスト 【ver2】

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散逸しています

 

 

▼ ギャングスタの感想記事を書きました。 

ギャングスタ・リパブリカ 感想レビュー__悪は世界を変えていく (15543文字) 

 

 

 

 

 

 

 

LASTEpisode Genius

 

 

幸いなことに、というか、奇跡的なことに、俺たちは共有ループを起こしうる条件を満たしていた。
「成員のループ周期の比が、近似的に素数比をとること」という条件を。

すなわち、8614:5:2:37:107:13:947

 

 

5760時間30分。240日とすこし。約8ヶ月
1年の奥山さんの縁結びをアシストした日。
『雨乞いグレッツ』

キーホルダのモチーフを合言葉にした。
叶、こおり、ゆとり、希、シャールカ、春日

禊とともに―――
夏休みをすごし―――
2学期をすごし―――
冬休みをすごし―――
3学期をすごし―――

3月8日、終業式の手前で引き返し、前年7月11日に戻る。

 

 

それは知ってしまったから
禊と出会い、仲間となり、救世主という望みを知った。

禊の周期ははるかに稀少だ。8ヶ月というループ周期を持つやつなんて、数百万人に1人、もしかしたら数千万人に1人。

圧倒的な強者。

他人をループに巻き込むから。

 

 

 

「悪は孤独。わりと納得的」

―――禊とは、そんなことを言う奴だ。
強者は、支配者は、救世主は、孤独であるべき。

そう考える禊は、みずからのループ周期を両親以外に秘していた。

 

「LASTEpisode.Genius」は凛堂禊を孤独から救う物語。

禊の信念はとても厳格だ。衆生の幸福を願うのならば、救世主にならなてはいけない。救世主には覚悟、資格、信念が必要。

孤独であるべき。
孤高であるべき。
孤絶たらんとするべき。

そういうとてつもなく厳しい思想のもと、禊は生きてきた。

 

そうして、禊は1人、強者としての人生を歩んでいた。
そんな孤高な生き方は、楽なものじゃない。
人間にとって、とても負担のかかる生き方だ。

だから禊と同志になり、そのループ周期を明かされたとき、俺は決心した。

 

「禊、おまえの共有ループに入るよ」

禊に、そう言った。
俺は、禊が孤独でいるのが耐えられなかった。
禊の痛みを、悲しみを、覚悟を、共有したかった。


もうここまで来れば分かったと思う。

「共有ループ」とは、誰かの「世界」を分かち合うこと。相手の信条を尊重し受け入れること。その人が壊れないために、寄り添うこと。相手を理解するということ、救済装置の―――メタファーだ。


それは、ギャング部全体の望みとなった。みんながみんな「禊の共有ループ」に入ることを願った。

みんな、俺と同じ気持ちだった。
仲間だから。
心のなかにガラクタをもつ、仲間だから。

(叶)

 

仲間という、プロトコルによって、私たちは互いを理解できる。理解しようと思える。

 

禊が忍耐強いやつであることを。
助けてというサインをなかなか出さないことを。
周りが気づいたときには、きっと手遅れになっていることを。

だから、手遅れになる前に―――
俺たちは、禊とともに、8ヶ月のループに入った。

禊と気持ちを共有するために。
禊を孤独にさせないために。

 

そう友達が溺れないように、仲間を見捨てないように。だから寄り添って生きていく。それは大勢の人間に適用はされない。

自分たちだけの世界を理解できる、そういう人間だけのもの。

世界から外れてしまったもの、異なってしまったもの、疎外されてしまったもの―――そういう少数派が溺れないように。

 

……それなりに、細工も必要だった。
俺たちはたまに、アホ毛を立てた。
つまり、『ループしているふり』をするために。
『ループしていないこと』が、世間にバレないように。

禊が『強者』であることは、隠さねばならない。

 

世界から、大勢から「異」ってしまったものは、自分の「異質」さを秘匿する。

なぜなら、それは排除の理由になるからだ。大勢は自分たちと違うものを受け入れられない。嘲弄し、愚弄し、ときには恐怖し、畏敬を覚える。

どちらにしても、彼らと禊は交じり合うことができない。根本が違うから。生き方が違ってきたから。思想信条がまったくもって異なるからだ。

生き方が違うものは、他人の生き方を理解できない。これは摂理だ。自分の生き方と似たような生き方しか、人は想像できない。射程距離は、いつだって自分基準だ。

だから隠す。

自分が圧倒的に"違う”ものだと悟られないように。少数派が生きていくためには、とても重要。大衆に知られてはいけない。

だからこその孤独なんだろう。
孤高なんだろう。
孤絶なんだろう。

けど、そんな生き方は折れてしまう。ぽきりと乾いた音を立てて。

だから……だから『仲間』が必要なんだ。

……俺たちはこのループで、禊と添いとげようとしていた。

強者としての人生を。
禊とともに歩もうとしていた。

進級することもなく。
卒業することもなく。
8ヶ月周期の学園生活を。

みんなで強者の苦しみを分かち合うということ

 

みんなで分かち合う。苦しみや辛さを。1人ではだめだ。1人で背負い込んではダメなんだ。

 

叶が提案した、「みんなが救世主」なるという道は、計画に支障が出始める。禊が精神的に辛くなってしまった。叶とドキドキできないから。

 

私はドキドキする。そのかわり、みんなは共有ループから抜ける。私は、孤独な苦しみに戻る。

それでいい。ムダだったわけじゃない。
共有ループのなかで、仲間と、叶と出会うことができたから

みんながいるなら、共有ループじゃなくても、
孤独な孤高の道を乗り越えていける。
……そう信じてる。

 

共有ループじゃなくても、共有ループから抜けても、『仲間』であるならば『ギャングスタ・リパブリカ』ならば、救世主の道をずっと歩み続けられる。

 

 

だけど、そうすると、共有ループから抜けてしまう。
みんなで救世主になるって約束を果たせなくなってしまう

だから、お願いがある。
ことあるごとに、集まってほしい

これから、卒業しても、就職しても、どこかに引っ越しても、ことあるごとに、集まってほしい

そのたびごとに、俺と禊のために共有ループに入ってほしい

そのときみんなはそれぞれの人生を歩んでると思うけど、それでも、そこからいったん抜けだして、集まって、共有ループに入ってほしい。

いっしょに救世主になるって約束を、
みんなで果たしつづけてほしい

 
この救世主の道は、奥遷宮の衆生を救うための「救世主」ではない。禊と叶を―――ひいてはギャング部に集まった異質なものたちを"みんなで”救うということ。

みんながみんな、誰かの救世主になるっていうこと。


おそらく学園を卒業しても、ギャング部に属している連中は、社会に適合できない。

演技やごまかし、ふりで乗り切ることは可能だろう。けどそこには自由がない、安念がない。

そのための居場所―――それが『悪党どもの共和国』と繋がる。

 

 

叶はループできない

なぜ演技をするのか?
ループできるふりなんかするのか?
そんなことは、決まってる。

俺が『変わってる』ことを周りに悟られないように、だ。

生きていくためには必要なことだと、親から教わった。
ループできないというのは、一種の烙印みたいなものだから。
世界の摂理から、疎外されている。

 

 


生きていくために、生きていくために。
だからこそ叶は、みんなを巻き込むことを決意した。

 

このままみんなで8ヶ月を周回しつづけるか、
叶といっしょにドキドキする道を行くか?

……やれやれ、結局叶って、巻き込まれる覚悟はあっても、巻き込む覚悟がないのよね

「…………!」

 

 

 

 

叶がループを失ったの「あの人」と会った日。

 

……ヒッパルコスの天使は、人々に生贄を求める。

天使であり神という存在。この世界の摂理に介入しうる超越的存在の1つ。

生贄を欲する。生贄からループを奪い、引き換えに世界を安寧をもたらす。具体的には天候を安定させる。

なぜ生贄を必要とするのか?

なぜループを奪うのか?

しかし俺にはその理由がなんとなくわかる気がする。
―――『悪』になるためなんじゃないか?


叶は希が迷子になったあの日。邪悪なあの人とで会ったあの日。
天使からループの力を奪い取られてしまったという。

天使は神で、悪だった。

 

他人から傍若無人に何かを奪う者は、問答無用で『悪』である。

であるからこそ、
天候を安定させるような行為ができるのではないか。

よくよく考えてみれば、神みたいな超越的な存在は、立場が立派になればなるほど、簡単に天候を操ったりできないはずだ。

なぜなら、そこにはどうしても偏りが発生してしまうから。天候の変化が、ある者には利益をもたらしたとしても、他の者には不利益をもたらすかもしれない。

そんなことを考えるならば、簡単に天候など操作できない。超越的存在は公平でなければならないからだ。

しかし、悪は違う。

悪ならば、不公平や偏りなど意に介さず、批判に動じることもなく、人助けを行うことができる。

そんな、行動の自由を得るためにこそ、
天使は生贄からループを奪うのだ。



悪は世界の理を無視できる。人々の同情を勘案しなくてすむ。倫理に縛られなくてよくなる。

だからこそ、成せることがある。

正義はさまざまな制約にがんじがらめになっているからこそ、悪はひたすら自由なのだ。自由な行動によって、不自由な人を救うことができる。

人の運命に介入できる。悪によって。

 

 

 

 

 

生け贄と安念

 

天使という存在を抜きにして考えてみれば、生け贄の存在こそが世界に安念をもたらしている。

生け贄の犠牲によって、世界は救われている。
この世界は、少数の人間の犠牲の上に成り立っている。

それが、世界の摂理だ。

 

これはなにも「天使ヒッパルコス」が存在する世界だけの話じゃない。

この世界もまた、少数派が贄とされ燃やし尽くされている。多数派は不寛容だから。自分たちの世界だけを是としてしまう。なぜなら、それが「正しい」からだ。


だからその正しさにはずれてしまったものは、疎まれる。疎外されてしまう。それは「生け贄」という概念に近い気がする。

自分と異なるもの、理解できないもの、理解したくもないものそういう「気に食わない」存在を世界から排除しようとする暴力。

排除したあとにのこるのは、多数派の「安堵」だ。ああいなくなってせいせいした、よかったよかった―――と彼らは安心するんだ。

ね、平和でしょ?

 

 

 ループできないことの弊害は、
『みんなと違う』ということに表れる。

人と違っているということは、人の尊厳みたいなものを、真綿で締め上げるように傷つけてゆく。

 

他人と違うだけで、私たちは、自己を見失う。
それはこの世界が倫理観によって大きく支配されているからだ。

周りと"違う”だけで、「ダメな奴」「穀潰し」「出来損ない」「木偶」などと嘲弄される。

人と異なるだけで、人は人を許せなくなる。 


世界から弾かれた、少数派はどうやって生きていけばいいんだろう。どうやって幸福を手にすればいいのだろう。

 

……俺がループできないことを、
あるとき、ギャング部のみんなは知った。

みんなは言ったのだ。
これから、ループしない、と。

ループできない俺に合わせて、ループしない人生を送ることを決断した。
俺を一人にしないために。

 


「気にするな。こんなナイーブな若者1人救えずして、
救世主になどなれない」


「仲間だもん。どんなことがあっても、私は助けるよ」



「日本に戻ってきてよかった。
お兄ちゃんの役に立てるから……」



「まぁ……シャールカだって、
いちおう自分の意志でかなえに付き合うって決めたんだ」



「もしも叶が一度きりの人生を歩むなら、
あたしもそうする。ループなんかしない」

 

 

うん私は何度も繰り返し言っている。仲間がいればいい。
それは普段いう、友達とかそういうものじゃない。
環境によって、場所によって関係性が移ろう他人のことをいっているんじゃない。


ある1つの信条を持って、互いにつながった存在が『仲間』だ。
『悪』という信念をみんなが持ち合わせ、それに向けて歩み続けられる同志という意味での『仲間』だ。

 

 

LASTEpisodeこおり編――誰も溺れないように――

 

あたしね、学園を作りたいの。
ループする人もしない人も、
同じように暮らせるような学園を作りたいんだ。

たまたま天使に選ばれた人が
つらい思いをしなくても済むような場所を

(こおり)

 

誰も溺れないように―――

 

たとえば、個人のループとはぜんぜん関係なしに、
学園全体が同じ1年をえんえんとくりかえすような、
そんなものができたらなって思う

 

ループすること自体を学園に組み込むってことは、社会のなかでの学園の意味がぜんぜん変わってくるってことなのよ

 

 

学園って、社会から人材を集めて、教育して送り出すって目的があるんだけど、この学園の場合、
そういう目的からかけ離れてるから

 

ねーねー、こんなのはどうかな?

私がおうちのお金を自由に使えるようになったら、聖天義学園を買収して、みんなが楽しく暮らせる学園を作るの。

「ダメよ、ゆとりさん、そんなのは」
「一部の特権階級が遊んでるだけなのは、その外側に新しく溺れる人を作ることになるでしょ」

 

 

 

根本的に間違えている。

その学園の構想が。1人を救うために膨大な資源をつぎ込んでる。そんなものは……やめてしまった方がいい。

もしも溺れる者が1人ならば、その1人を溺れさせておけばいい。その1人を救うために多くの資源を投入するのは誤りだ。

 

 


「……禊だって、叶といっしょにループしないことに決めたじゃない」

あれは、叶が仲間だから。
しかし、この学園は公的なもの。
公的な施設が少数の者を救うことは許されない。

「じゃあ禊は、叶を……叶みたいな人を見捨てろっていうの」

はっきりと言う、そのとおり

「そんなことできないよ。
たとえ仲間じゃなくても、弱ってる人を見捨てるなんて」

べつに、こおりの罪じゃない。

 

学園だなんて規模が小さい。もっと、大胆に変えてしまうべきだ。

……社会全体を。

この学園を世界中に作って……、
この学園を前提として社会を作ったらいい。

世界中にこおりの学園があって、
ループしたい者だけがループしつづけられるようになればいい。

それくらいの夢は、見てもいい


 

では、もう1つ言おう。
『誰も溺れない』だけでは不足だ。

弱い者を救うだけでは足りない。
もっと積極的な価値を作りだす必要がある。

でなければ、この世界で生き残っていくことはできない。

 

子どもの王国を作ればいい。
子どもの時間を永遠にすごす場所を作り上げればいい。

「ループする学園って、結局はそこに行き着くのね。
たしかに、考えてみればそうか……」

(そんな夢を語っていても、時間は流れ行く)

 

 

 

そりゃ、ドキドキしたら、その瞬間に、共有ループから抜けるかもしれない。
俺たち、またべつべつの時間を生きることになる。

 

ドキドキを耐える必要はない。禊は自分のことを道具だとおもっているからこそ……か

 

 

 

禊の妊娠。

筴さんも叶の母親も奔走してくれた。

 

女の子の名前は、禊と筮さんがいっしょに考えたという、
『周』に決まった。

 

 

たとえ何度周回をくりかえしたとしても、何度でも妊娠して
何度でも叶の子どもを―――周を産んでた、って

叶、ずっと好き。
周回してても、しなくても、ずっと、どんなときでも

 

 

 

 

 

プランの問題

 

 

9月なかばのある比、禊は訴えた。
禊としては、とても珍しいことだった。

「苦しい――――」

私は叶のことが好きなのに、
叶に対してドキドキすることを禁じられている

(禊)

 

 

 

叶のドキドキ

 

 

叶は今、ドキドキするのを我慢したって言った。
……でも、それは嘘。

ドキドキしたらいけないと思って、気持ちを押し殺してる。最初に出会ったときからそうだった。
公園で、楚々音と水遊びしてるときから

たぶん、私と出会うずっとずっと前からそうだったはず

(禊)

気がついたときからそうだったんだ。
俺はドキドキできない。しちゃいけない。
そんなことしたら、きっとたいへんなことが起こる。

そんな気がしたんだ。

(叶)

 

 

 

俺は、人はかわいそうと思われたくはない。
だから、ループできないってことを人には見せない。

ループできるかのようにふるまい。
共有ループにも入れるふりをする