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『明日の君と逢うために』 藤崎あさひ 感想 (3638文字)

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評価:★★★(3.4) 

 

キスをして、触れ合って、体を重ねて……それで答えが出るのかな。

どんな強い想いも、それが本当のことなのか、みんなわかってるのかな

 

 

 

 

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明日香とシュウを分けたもの

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でもさー、わたし、不思議に思うことがあるんだ

なんですか?

神かくし―――森に消えた明日香ちゃんと、こっちに留まった君


二人を分けたものはなんだったのかなー?


あーちゃんには、この世界に未練が無かったんだと思うよ。大事なものも好きな人もたった一人しかいなかったんじゃないのかな。

八代修司。彼だけがあーちゃんにとって大事な存在だったけれど、この世界に留まり続けるのと天秤にかけたら、向こう側のほうに傾いてしまった……のかな。


シュウは大事なものがこっちがわにいいっぱいあった。それは里佳姉だったり、リコだったり、学校の友だちだったり、多くの人の絆がこっちにあった。

だからあーちゃんから、向こう側に一緒に行かない?と誘われても断ることができた。

 

二人を分けたものは、それは人との絆……もしくは大事な存在の有無だったんだと思う。

 

 

感情の偽装

 

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「好き、愛してる、そう言葉を重ねて、一緒にすごして……」

「キスをして、触れ合って、体を重ねて……それで答えが出るのかな」

「どんな強い想いも、それが本当のことなのか、みんなわかってるのかな」

「わたしたちは……ううん、わたしは本当に笑ったり泣いたり、感動したりしてるのかな」


藤崎あさひは神様だ。神様が人の世に憧れ、人の暖かさに焦がれ、人間になった存在。

そんな彼女だから、自信の感情に「これは本物なの?」と疑問をもってしまうんだろうか? 神様→人間になったせいで、あさひは現実感覚が欠損しているのかもしれない。

原因は、神様の記憶を欠片でも持っているせいだろうか。それとも人間としての記憶が未だ足りないせいなんだろうか。

 

 

 

神様は必要ない

 

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人間はもう、神を必要としてないから

そう。人は神を忘れようとしているの

 

誰かを忘れてしまったらどうなる? 自分の中でその人はいなかったことになる。”いない"とさえ思わない。

それが忘れる。自己の中で他者の存在を消してしまうこと。いや能動的ではないから、消えた……か。

「神隠し」「記憶」「忘れる」「奇跡」「選択」「約束」

 

ここらへん重要だと思う。

 

 

 

なんで付き合っているんですか

 

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シュウ先輩は、明日香さんのためにここへ戻ってきたんじゃなかったんですか?

だったら、なんであさひ先輩と付き合うことになっているんですか?


リコの疑問は当然だ。シュウは明日香のために―――いやあーちゃんのために―――帰ってきた。

しかし、シュウが明日香を見ないで、別の人の―――小夜、リコ、あさひ―――ところへ行ってしまうのは何が原因としているんだろうか。

小夜は同種の悲しみを、リコは同種の想いを、あさひは…………

 

まだ分からない。ただみんなどこかしらシュウと同じものを共有している気がする。

 

 

 

 

性別なんてさ

 

恋愛相手の性別なんて、ささいなことだよ。そうじゃない?


私は本気で同性を好きになったことがないから、よくわからないといえば分からない。ただ好きの延長線上の出来事でいいならなんとなくわかる。


その好きから恋愛の壁はどれほどの高さなのだろうか。案外低いのかも?

 

 

 

現実感覚

 

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目の前にいる先輩を見てよくわかった。
先輩は……ここではないどこかを見ている。
それはここではないどこか。今ではないいつか。

この世界とは違う……俺たちには届かない場所。
そんな……気がした。

 

あさひ先輩が感じているのはなんなんだ? 現実感覚の欠如というのは分かる。

自分がここにいてはいいのかなとか、
ここは私がいるべきところなのかなとか、
ならこの感情は本物なのかなとか、

 

そういう想いを、独りぼっちの感覚を持っているのは分かる。けれど彼女は自分で願って、「人間」になったんだ。なぜそうなってしまう?

あさひは、少し混乱しているだけ……

放っておいたら、”少し"じゃすまくなるかもしれない


前の記憶が混濁しているのかな……。

 

 

誰といても、話をしていても、そばにいても、わたしは―――いつも、どうしようもない寂しさを感じていた。

違うよ。

わたしは、たぶん君たちとは違うの


そうか異質性か。記憶の混濁によって、生まれた疎外感……なんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

願いは言わなければ―――

 

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みんな、忘れてしまった。あなたは忘れられてしまった。

りんたちは、みんなの輪の中には入れない

あなたの寂しさはわかる。だから聞いてあげる。

もしも、寂しさを消したいのなら、心から望むことがあるのなら―――りんが聞く

 

あなたの望みを聞かせて。自分で願わなければ叶えられない

 

これは至言だなあと思う。何を望んで、何を求めるか。それを自分の言葉で言わないと、「願い事」にならない。願わなければ、神様でさえ叶えることはできない。

 

 

 

言葉の価値

 

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「…………」
放っておいて欲しかった。
今は、他人になにも言われたくない。

「……なんか、怖い顔してるよ」
「え……」
自覚してなかったことを指摘され、俺は戸惑う。

「ごめんね。あたしにはシュウ君の気持ちはわからないよ」
「……そうだよな」

同情や、理解の無い同意はいらない。

「そうだよね。だから言葉があるんだと思うの」

 

ほんと明日香の言葉は毎度心に染みる。

「ごめんね。あたしにはシュウ君の気持ちはわからないよ」

分からないことを分からないと言う明日香が、本当に大好きだ。ついつい場の空気を読んで、愛想笑いや理解してないのに首肯してしまったりするからほんとにさ。

 

 

七海美奈

 

 

目が覚めて真っ先に八代ちんの顔が見えたときのことは、覚えてる。

すごくほっとした顔してた。なんだか泣きそうな顔してた。七海のこと、本気で心配してくれてるのが、胸が痛いほどよくわかった。

そのときだよ。

八代ちんって、すごく優しい人なんだなって思ったのは

「溺れてる奴がいたら、誰だって手を差し伸べるし、心配するだろ」

他の人のことなんてどうでもいいんだ。
七海は、八代ちんが優しいなと思った。それだけのことなんだよ。

 

こういうことがさらりと言えるから、七海は可愛いんだろうなあ。恋に理由なんてそんな必要ないよ、決め手じゃないんだよって言っている気がしてとても良い。

 

好きになった人が、自分のことを好きになってくれるとは限らないんだから。
でも……七海は気持ちを伝えたかった。八代ちんに届かなくても、後悔なんてしてないから

 

こういう高い強度をもった意志は好きすぎて困る。乙女度が高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

あさひの選択

 

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わからないのに、なんでもないような顔をして。演技して、無理に笑って。

演技はすごくすごく上手になったけど。たぶん少しづつ心は壊れていってるの。

望んで、望んで、望んで……やっと叶ったはずなのに。おかしいよね。あんなに望んだ場所にいるのに、どうしてなんだろう……

―――

だからもう一度、探そうと思ってる
自分が自分として生きられる『どこか』を
神でも人でもない、わたしが求めた場所を求めて


泉水小夜、夕霧瑠璃子はシュウが自分で選択をして、二人の未来を築き上げた。

しかし、あさひ先輩では、あさひ先輩自信が「選択」することになる。実際の分岐はないが、彼女の中でたしかにその”分岐"は存在していたと思う。

残るか、残らないか。
行くか、行かないか。

そして今回は「奇跡」はお呼びじゃない。現実感を失った少女が、少年の「願い」を聞いて「叶えた」だけなのだから。



りんはこう言った。

 

自分で願わなければ叶えられない

 

と。あさひ先輩が自分の明日を選択したのは確かだと思う。でも「願った」のは八代修司だ。彼が彼女を引き止めた。

 

でも、本当にいいの? このまま、いつまでもずっと騙され続けても?

騙してください。先輩は名女優なんですから、できるでしょう?
これからも……ずっと……?

ええ……これから、一生


修司の願いを聞いて、それを「叶えた」のが神様でも人でもないあさひ先輩。ああそうかもしかして、「願い事を叶える」のに神様の力は必要ないのか。

自分の望みを強く持って、それを言葉にして、形にして、選んで、願う。願い事を叶えるのは、想いと選ぶことが出来ればいい。

だから……選んでください。この世界を、俺たちと……俺と一緒にいることを

 

 


だから、小夜の場合も、リコの場合も最善の明日につながったんじゃないだろうか。

 

 

 

 

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