今この瞬間を生きない、いろとりどりのセカイ

*ネタバレ注意 「いま、この瞬間に解らないこと、どうしても知りたいって思うこと、その内容の全てを理解している、そんなお前がこの先のいつかの時間に必ずいるから」 ――二階堂真紅/いろとりどりのセカイ この言葉はたまに思い出すくらいに好きだったりする…

HOLY BREAKER!感想―理解が及んでしまえば、もう終わりだ

※否定的な態度を取っているので注意。 HOLY BREAKER! 感想 「あなたが私に対して容易してきた批判文句は一通り言ったことにしましょう。シナリオが致命的につまらないとか、屏風のように戦闘が薄っぺらいとか、そういうこと全部ね。だから前置きは以上。本題…

エロゲのE-mote(=動く立ち絵)をプレイヤーは求めているのかな。ぶっちゃけ要らなくない?(コロナブロッサム~トライアンソロジー)

参考 www.youtube.com↑ E-moteに限らずLive2Dやモーションポートレートを用いた「動く立ち絵」というのは今では見慣れた表現になってきた。そしてそれは作品を「リッチ」にするために、あるいはキャラクターに「存在感」を出すために導入されることが多いと…

2016年にプレイしたエロゲ総括(おすすめ~駄作まで)

例年どおりその年に "プレイ" したエロゲ(含む一般ノベル)26作品を気のむくまま語っていきます。核心的なネタバレはしませんが、作品内容には触れますしダメなものはダメと言いますのでそこはご注意下さい。 ・2014年にプレイしたエロゲ18作品・2015年にプレ…

立ち絵がぐりぐり動く『Corona Blossom vol1』レビュー

*Steam版(全年齢)を購入。18パッチは当ててないのでその前提でどうぞ。 (あと今回書き方(ないし書く立場)を変えてみたので以前の書き方が好きな人はあまり好ましくないかもということで一応注意)

つよきす 三学期レビュー 無印版を全てなかったことにして新たに作り直された本作は「つよきすとは何か?」を考えさせてくれる

*本記事は『つよきすCHRONICLE』(『つよきすFull Edition』→『つよきす三学期Full Edition』)の流れのもとで記述されており、また筆者は制作背景に関わる全てを重視しておらず《物語そのもの》の視点で語っていることにご注意。 ▼関連記事 「アニメ化」と…

『BALDR SKY Dive1』は過去と現代・ADVとACT2つのスイッチングで退屈をはぎとる!(作品紹介)

*今回大まかな作品構造に触れざるを得ないので、そういうのが嫌いな未プレイ者は読まないほうがいい。逆に「序盤のちょっとした情報くらいなら大丈夫」って人は、ここから先どうぞ。 2つのスイッチングで"退屈"を剥ぎ取る『BALDR SKY』 ヒロインに起こされる…

異世界転生で得られる教訓は「今までの全てを取り替えることで人間の行動は変わる」という考え方(無職転生~本好きの下克上)

*両作品はほんのすこし触れる程度。 異世界転生と環境 『無職転生』『本好きの下克上』『この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ)』『Re:ゼロから始める異世界生活(アニメ)』を読んでいると目をひかれるのは転生者は前世とは違う行動を取っていることであ…

『つよきす Full Edition』レビュー ゴキブリをかばう前代未聞のヒロインに腹筋が震える

*前半は作品紹介、後半は感想。 1)可憐でお淑やかなヒロインなんてものは存在しない あなたはゴキブリを庇い立てるヒロインに出会ったことはあるだろうか? 私は『つよきす』をプレイするまでただの一度もお目にかかったことはなかったし、これからも出会う…

『ランス03』レビュー 正直おすすめできない作業作業RPGだった。(9417文字)

1)なぜランス03はこんなにも作業ゲーなのか 『ランス03 リーザス陥落』(以下ランス03)をプレイしたものの、序盤から終盤までひたすら「作業」感の強い作品だった。楽しむとは縁遠いゲーム設計であり、面白いか?と聞かれれば面白くないと答え、おすすめでき…

物語における『視点取得限界』を考える(24463文字)

*『Charlotte』『アオハライド』『プロポーズ大作戦』『いろとりどりのセカイ』『Re:ゼロから始める異世界生活』『恋色空模様』『はつゆきさくら』のネタバレ注意。 視点・取得・限界 いずみの氏が言う『視点取得限界』について考えたくなった。 ▼ togetter.…

レビュアーは返り血を浴びる覚悟がなければならない。しかしそれを自覚したレビュアーほどやめていくのだ(2305文字)

*「レビュアー=作品を語る者」と本記事では広く定義する。 レビュアーもまた評価を下される身である 作品に感想・批判・評価を下していくレビュアー。一見すれば作品を<従>にし自身を<主>にするその在り方は、お気楽で威勢のいいように見えるかもしれな…

やや強引なストーリーだが心地よい『fault milestone one』の購入経緯+感想レビュー(6303文字)

*想定読者=既プレイ者のみ

DMMエロゲの導入方法をざっくりと説明するよ

*2016年8月時点no記事 DMMのエロゲ作品は気になってるけどまだ触れたことがない人向けに、エロゲの導入方法をざっくり語ってみようと思います。 「そういうものか」と眺めてもらえれば幸いです。

立ち絵が美しい!5時間以内に終わる同人ファンタジーノベル『fault - milestone one』を紹介するぞ!

『fault - milestone one』(ディレクターズ・カット版) 「これは私達の現実と陸続きの物語ではない」 開始早々、そう認識せざるをえない固有語による固有語のオンパレードによって『fault』は幕を開けた。「クラフト」「カラード・マナ」「風言語」……登場人…

「ネタバレを過剰に気にする人は作品の筋(すじ)しか楽しみ方を知らないのでは?」と問われれば、(8825文字)

1)ネタバレについての指摘 以前からこのブログでは、作品に対して一定ラインを超えていたら「ネタバレ注意」と記してきた。かっちりとした区切りはないが「未プレイ者の楽しみを奪う」ような情報を載せていたら「ネタバレ」だと判断することが多かった。 だ…

「アニメ化」とはつまり原作の批評行為なんじゃないか?(Fate/stay night)

*Fate/stay nightネタバレ注意 「アニメ化」とはつまり原作に対する批評行為である(4747文字) 小説のアニメ化、ラノベのアニメ化、ノベルゲームのアニメ化。それぞれ媒体は異なるものの、まず原作ありきで、その原作をアニメ(映像媒体)へ落とし込むことを「…

ゆのはな―ある冬の暖かい物語―(感想レビュー)

ゆのはな(PULLTOP) 季節は冬。 外に出ればぶるぶると震えてしまう寒さが待っている。手はかじかみ、吐き出す息は白い。手のひらで溶け出す六花を見てはやっぱり冬なんだなあって実感する。すると「この気温は堪えるでしょ?」と声をかけてくれる人がいて「ほ…

物語における『世界観』は十全に使い切るべきか?と言われればそうではないが、そう思ってしまうのは何が原因なんだ(甲鉄城のカバネリ~こなたよりかなたまで)

※『こなたよりかなたまで』『甲鉄城のカバネリ』ネタバレ注意 Q,「世界観が十全に使いきれていない」という不満はどこ?(こなかなからカバネリまで)

批評と創作はある一点において本質的に同じである。(1812文字)

*内在的考察とは別領域のお話なので一緒くたにしないようにね。 批評=創作 印象批評からフォルマリズムまで、批評行為とは「ある対象が存在しその対象を語るもの」である。 視聴した作品が己の心を揺さぶったならばそれは如何なる場所で、如何なる高揚があっ…

恋色空模様―神那島の空が緑茶色に染まる―感想レビュー④

<恋色空模様・一連エントリー> 恋色空模様のどこがダメで、どこを批判したいのか語る① 恋色空模様に『失敗』はあったのか?② 恋色空模様の表現力の低さは『失敗』にはならないのだろうか③ 恋色空模様 感想 これまで『恋色空模様』へ3通りの記事を書いてき…

恋色空模様の表現力の低さは『失敗』にはならないのだろうか③

恋色空模様の表現力のなさ 『恋色空模様』の記事をこれまで書いてきた。一つ目は私の価値観を優位にした批判を、二つ目は物語の価値観を優位にして一つ目の批判が批判足りえるのか探ってみた。 詳細は当該記事を見て頂くとして、 ▼ eroge-pc.hatenablog.jp e…

恋色空模様に『失敗』はあったのか?②

<恋色空模様・一連エントリ> 恋色空模様のどこがダメで、どこを批判したいのか語る 作品における『失敗』を「作品が描こうとしていたものを作品自ら阻害しているもの」と定義する。自ら反目し、矛盾を引き起こし、障害と立ちはだかる要素要素が存在する時…

恋色空模様のどこがダメで、どこを批判したいのか語る①

<恋色空模様・一連エントリ> 恋色空模様に『失敗』はあったのか?② 恋色空模様の表現力の低さは『失敗』にはならないのだろうか③ 恋色空模様―神那島の空が緑茶色に染まる―感想レビュー④ 『恋色空模様』の何がダメなのか、どこが引っかかり批判したいのか語…

戦国ランスは81時間吸われるくらいに楽しい。しかし最後はぐったりする程に疲れてしまうSLG作品でした(褒め言葉)

戦国ランス 感想 2006年にアリスソフトから発売された本作は、ランスが織田信長家の影番を務めながら全国統一を目指す『地域制圧型戦略シュミレーションゲーム』である。 北は北海道から、南は鹿児島まで進軍しては地域から金を巻き上げたり、その大金で雑兵…

『Ruina』おもしろいなあ……

私的満足度:★★★★(4.3)擬似客観視:★★★★(4.3) 『Ruina 廃都の物語』(以下Ruina)はフリゲ名作という評価は伊達ではなく、とても楽しく遊ばせてもらった。 初プレイ6時間でクリアできる短編RPGだけど、完成度高く、満足度高く、結局4周・4主人公のお話を…

累計800,000ダウンロードされた『NOeSIS』の文章レベルが低くてGiveUpしたお話

(1)NOeSIS 感想 2016年2月に『NOeSIS〜嘘を吐いた記憶の物語〜』(以下NOeSIS)をプレイしたのだけれど、その文章力の低さに思わず投げ出してしまった。結局、全4章中1章しか読み進められなかった思い出がある。 ノベルゲームにおける「文章」を「物語を牽…

Humanity(一本道エディション)の感想

人口の激減にともない「労働力」も激減の道を辿っていた。 もちろん人間だって手をこまねいたわけではなく、自らと同じ姿の生き物――亜人――を試験官から生成することで労働力の補填を狙ったのである。そうしてあらゆる仕事が亜人に流され、危ない仕事も亜人に…

『Rotation Girl』やりました。感想もレビューも私達は望んでいないって?まあまあそう言わずに

(1)Rotation Girl 紹介 本作は「放置型RPG」である。 つまり最初に「行動ロジック」と呼ばれるコマンドを設定してから、主人公をダンジョンに潜らせると、自動的に戦闘を処理するゲームデザインになっているのだ。戦闘の際プレイヤーはいちいち技コマンド…

アルカディアの灯火―らくえんはあるよ ここにあるよ―(感想レビュー)

※未プレイ者は閲覧非推奨 アルカディアの灯火 内在批評