異世界転生で得られる教訓は「今までの全てを取り替えることで人間の行動は変わる」という考え方(無職転生~本好きの下克上)

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 *両作品はほんのすこし触れる程度。

 

 

異世界転生と環境

 

『無職転生』『本好きの下克上』『この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ)』『Re:ゼロから始める異世界生活(アニメ)』を読んでいると目をひかれるのは転生者は前世とは違う行動を取っていることである。

『無職転生』ならばルディは転生前は34歳無職で家族に更生を促されても聞く耳を持たず一日中PCに向かい無駄に無駄を極めた生活を送っていた。ときには幼子をオカズにし、養ってもらっている母親には傲慢な態度を取っては、周囲からはゴミを見るような視線を集めていた。

きっと彼からPCを遠ざけても働くことはなかっただろうし、または家を追い出しても(結果的に追い出すんですけどね)「俺これから一人で生きなきゃ」なんて思うこともなく流れのまにまに野垂れ死んていただろう。

彼に何かを与え、あるいは何かを失ったとしても、何も変わりはしないだろう。変わらずにいつまでも養護される立場を望み続けたに違いない。そう思わせる行動の数々であり、どこからどう見ても社会的には要らない存在であり、人として尊敬されるような人物ではないのである。

け・れ・ど

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『つよきす Full Edition』レビュー ゴキブリをかばう前代未聞のヒロインに腹筋が震える

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 *前半は作品紹介、後半は感想。

  

 

1)可憐でお淑やかなヒロインなんてものは存在しない

 

あなたはゴキブリを庇い立てるヒロインに出会ったことはあるだろうか? 私は『つよきす』をプレイするまでただの一度もお目にかかったことはなかったし、これからも出会うことはないと思う。

だって、あの、黒光りする生物だぞ? 

見つけたら即刻悲鳴を上げながら殺虫スプレーを撒き散らし残骸をゴミ箱にいれるのすら嫌悪を催す存在を、例え、一時でも守りぬいたヒロインなんてそうそうお目にかかれるものではない。物語至上、一体何人の女の子がゴキブリを庇い立てる暴挙に走っただろうか。(もちろん相応の理由はあるのだけど)

 

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――『つよきすFull Edition』(CandySoft-きゃんでぃそふと-)

 

そんな「ヒロイン」という像からどこまでも掛け離れたヒロインが登場するのが本作であり、強気で勝ち気でわがままで――一筋縄ではいかない――女性陣が待ち構えているのも『つよきす』の醍醐味である。

可憐でおしとやかなヒロインなんてものは存在しないのだ。存在するのは何かにつけて主人公をしごく上級生(体育会系)、主人公を手駒として扱う生徒会長、滅茶苦茶口が悪い幼なじみ、ガンをつけてくる後輩などなど。

彼女たちによって男性主導の男女関係は終焉を迎え、女性主導の男女関係がはじまっていく……というと大げさだけど女性の立場が強い作品である。

 

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 ――http://www.candysoft.jp/ohp/01_products/tuyokiss/chara/character.html#nagomi

 

一見すれば、癖の強そうな女性ばかりなのでストレスのかかる物語なのかな?と疑心暗鬼になってしまいそうだが、これが最高なのである。

女性に主導権を握られるというのは尻に敷かれるのと同義ではあるが、合意の上ならば安心感に変わる。気軽に甘えられるということでもある。まるで「姉と弟」のような、その延長線上のような恋愛。案外これはこれでいいものだなと気付かされた。

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『ランス03』レビュー 正直おすすめできない作業作業RPGだった。(9417文字)

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1)なぜランス03はこんなにも作業ゲーなのか

 

『ランス03 リーザス陥落』(以下ランス03)をプレイしたものの、序盤から終盤までひたすら「作業」感の強い作品だった。楽しむとは縁遠いゲーム設計であり、面白いか?と聞かれれば面白くないと答え、おすすめできるか?と問われればおすすめできないという返事になる。

こうなった最大の原因は「自由がない」ことに尽きると思う。

本作はRPG+ADVと銘打たれており、ストーリーに沿いながらカード形式のダンジョンを探索し敵と戦うシステムを採用している。つまり①ADVパート、②コマンドパート、③MAP移動パート、④ダンジョン探索パート、⑤バトルパートによって『ランス03』は形作られている。

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物語における『視点取得限界』を考える(24463文字)

*Charlotte』『アオハライド』『プロポーズ大作戦』『いろとりどりのセカイ』『Re:ゼロから始める異世界生活』『恋色空模様』『はつゆきさくら』のネタバレ注意。  

 

 

視点・取得・限界

 

いずみの氏が言う『視点取得限界』について考えたくなった。

 

togetter.com

 

上記事は一言でいえば「劇中の視点と読者の視点は違う」というお話だ。

例えば『W.L.O.世界恋愛機構』の主人公・黒田祐樹を見て「どこが平均より劣っている男の子なんだよめちゃくちゃイケメンじゃん」という言う者はいるが、それはあなたから見える黒田祐樹の姿であって、劇中にいるキャラクター達から見える姿ではない。

例えば漫画で使用されるトーンを指して「こんなグレーな肌の人いないよ」と言う者もいるが、それはあなたの視点であって漫画世界の視点ではない。

例えばADV特有の皇帝液射出時における白画面フラッシュを指して「こんな現実で起きたことないわ」と言う人はいるが……あの、もういいよね? 何で私はこんな馬鹿げたことを説明をしければいけないのだろう。

つまり「劇中の見え方」と「自分の見え方」を区別できず、理解できない者がいるということであり、そしてそれは情操教育が育まれてこなかったせいではないか? という内容になっている。

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