『ランス03』レビュー 正直おすすめできない作業作業RPGだった。(9417文字)

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1)なぜランス03はこんなにも作業ゲーなのか

 

『ランス03 リーザス陥落』(以下ランス03)をプレイしたものの、序盤から終盤までひたすら「作業」感の強い作品だった。楽しむとは縁遠いゲーム設計であり、面白いか?と聞かれれば面白くないと答え、おすすめできるか?と問われればおすすめできないという返事になる。

こうなった最大の原因は「自由がない」ことに尽きると思う。

本作はRPG+ADVと銘打たれており、ストーリーに沿いながらカード形式のダンジョンを探索し敵と戦うシステムを採用している。つまり①ADVパート、②コマンドパート、③MAP移動パート、④ダンジョン探索パート、⑤バトルパートによって『ランス03』は形作られている。

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物語における『視点取得限界』を考える(24463文字)

*Charlotte』『アオハライド』『プロポーズ大作戦』『いろとりどりのセカイ』『Re:ゼロから始める異世界生活』『恋色空模様』『はつゆきさくら』のネタバレ注意。  

 

 

視点・取得・限界

 

いずみの氏が言う『視点取得限界』について考えたくなった。

 

togetter.com

 

上記事は一言でいえば「劇中の視点と読者の視点は違う」というお話だ。

例えば『W.L.O.世界恋愛機構』の主人公・黒田祐樹を見て「どこが平均より劣っている男の子なんだよめちゃくちゃイケメンじゃん」という言う者はいるが、それはあなたから見える黒田祐樹の姿であって、劇中にいるキャラクター達から見える姿ではない。

例えば漫画で使用されるトーンを指して「こんなグレーな肌の人いないよ」と言う者もいるが、それはあなたの視点であって漫画世界の視点ではない。

例えばADV特有の皇帝液射出時における白画面フラッシュを指して「こんな現実で起きたことないわ」と言う人はいるが……あの、もういいよね? 何で私はこんな馬鹿げたことを説明をしければいけないのだろう。

つまり「劇中の見え方」と「自分の見え方」を区別できず、理解できない者がいるということであり、そしてそれは情操教育が育まれてこなかったせいではないか? という内容になっている。

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レビュアーは返り血を浴びる覚悟がなければならない。しかしそれを自覚したレビュアーほどやめていくのだ(2305文字)

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*「レビュアー=作品を語る者」と本記事では広く定義する。

 

 

レビュアーもまた評価を下される身である

 

作品に感想・批判・評価を下していくレビュアー。一見すれば作品を<従>にし自身を<主>にするその在り方は、お気楽で威勢のいいように見えるかもしれない。

しかしレビュアーもまた、他の読者によって評価を下される身なのである。

 

例えばW.L.O.世界恋愛機構で「どこが主人公平均以下の人間なんだよイケメンじゃねーか」と否定すれば「劇中視点ではなく自分視点でしか物語を捉えられない鰯頭」と否定されるし、はつゆきさくらに「ナツユメナギサみたく考察できる要素がなかったのがダメだった」と評価を下せば「本作もまたナツユメナギサと同じくらい考察すべき点はあるのにそれに気づけないのはお前に読解力が無いからだ」と評価を下され、こなたよりかなたまでに「なんで能力バトルを最後まで続けなかったんだよ」と批判すれば「作品が描きたいものとお前が見たかったものをごっちゃにするな」と批判されるし、Charlotteに「伏線回収できていない」と怒鳴れば「作品の筋しか楽しみ方を知らない豚野郎!」と怒鳴り返される。

NOeSISは哲学要素を含むのだから文章が難しいのは当然だと主張すれば、「こんな薄っぺらい浅学非才な作品を哲学だと語るとはいかにあなたが哲学を学んでいないのか分かりますね」とか「まさかこの駄文が駄文であることすらも分からないんですか?ろくに本も読んだこともなければまともなノベルゲームもやってないんでしょうネ」とド突き回されカチンとくるものの実際その通りで愛読書が『恋空』だったら死にたくもなる。

 

 

何かを「いい」と褒めただけでその程度の作品を「いい」と思えるなんて可哀想……何かを「悪い」と否定しただけでその作品の価値に気付けないなんて可哀想……という視線に晒され続ける地獄がここにはある。

もちろんお粗末な考察を提出すれば「お前がやっているのは今後の予測展開だろうが」と馬鹿にされるし、amebaブログ特有の「1,2行書いたら段落空け」でだらだら要領を得ない文章を書いていれば頭悪い人なんだなと思われ、未プレイ者の好奇心をくすぐれない作品紹介を書けば「Wikipediaをコピペしたようなこれが作品紹介とか勘弁してよw」と嘲笑されるのである。

2016年にもなってVNI形式のレビューを上げれば「気持ち悪い」と一蹴され、そのVNIレビューに管理人が擬似人格として出張れば「気持ち悪い」と唾を掛けられ、否定されたことに根を持ってじゃあ見るなよと怒り出せば「駄サイクルお疲れ様」と冷えきった目で見つめられるものだ。

そういったあらゆる否定に怯えてあらゆる作品に高得点をつけていれば、「目が腐っている」「作品批判する力もないのかこの人」と見下されるのも日常茶飯事。よくいるでしょ?そういう日和見なレビュアー。低評価をつけないのが美徳だとでも思っている哀れなレビュアー。

10年レビュー活動を続けているにも関わらず文章力が壊滅的で小学生が書いたのか?と指摘されるようなテキストサイトとか、物語の読み込みがてんでダメでダメダメで新しい視点を切り開くことも出来ないアニメブログとか、規範批評しか知らない多くのツイッタラーとか。

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